サッとわかる! 栄養療法のトリセツ

  • 未刊
定価 3,520円(本体 3,200円+税10%)
編著吉村芳弘
熊本リハビリテーション病院 サルコペニア・低栄養研究センター センター長
熊本リハビリテーション病院栄養サポートチーム
A5判・216頁
ISBN978-4-7653-1878-5
2021年10月 刊行
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★2021年10月上旬 発売予定!★

栄養療法の疑問点をサッと解決!

内容紹介

現在のところ万病に効く薬というものは存在しませんが、栄養療法は万病に効く可能性があり、非常に重要な医療の土台です。

本書はそんな栄養療法のトリセツ(取扱説明書)となる書籍です。

Chapter0、1、2では栄養療法を進めるうえで必ず知っておきたい基本の知識をコンパクトに解説し、Chapter3、4では栄養アクセスや個別症例毎のより実践的な内容を、Chapter5では多職種連携について解説します。

臨床栄養に既に携わっている、もしくはこれから従事する予定のある医療従事者すべての人の疑問点をサッと解決できるよう、栄養療法の基本から個別症例毎への対応法、多職種連携についてまで本書では解説されており、臨床における栄養療法のトリセツの如く末永く活用するでしょう。

序文

「主治医は誰だ!?」

私が外科のレジデントだった頃に、胃がんの胃全摘術のKさんを担当したときのことです。手術は無事に終了し、術後補助化学療法を行い、転移や再発などがないかを経過観察するために外来フォローしていました。手術から2年ほど何事もなく経過したある日、Kさんは若い娘さんが押す車椅子で私の外来にあらわれました。娘さんいわく、「先生、お父さん栄養失調じゃないですか?家ではほとんど寝ています。というか、どうやらうまく動けないんです」。娘さんの鬼の形相に私は言葉を失いました。急いでKさんに体重計に乗ってもらうと、目盛りは42kgを示していました。BMIで14.9kg/m2の重度の低体重です。カルテを確認すると2年前の術前体重は70kg超でした。Kさんに正面から向き合うと、手足はやせ細り、頬はげっそりとこけていました。

私は一生懸命に胃がんの診療を行っていたつもりでした。しかし、私が外来でKさんを通して診ていたのは「胃がん」であり、患者さんとしての「Kさん」ではなかったのです。

この症例はすぐに外科のカンファレンスで提示され、NSTチェアマンであった外科部長から胃がん術後の栄養管理について厳しい指導を受けました。「主治医は誰だ?栄養管理ができない医師は主治医になる資格はない」とはっきり言われたのを今でも鮮明に覚えています。

栄養療法は医療の土台です。万病に効く薬はありませんが、栄養療法は万病に効く可能性があります。本書はKさんのような不幸な転機を迎える患者さんを一人でも救いたいという切実な願いから企画したものです。臨床栄養や病態別の栄養管理を専門的に解説する書籍は多いですが、本書のように「臨床でよく遭遇する疑問や病態、症例」に焦点を当てた書籍は多くありません。また、初学者から上級者のすべての医療従事者を対象にした、いつでもすぐに参照できる、そして、そもそもどんな患者に栄養療法が必要かを明確に示した点は他書にはないものだと思います。私自身、「こんな書籍がほしかった」という思いをそのまま具現化できたと嬉しく思っています。

本書の読者対象は臨床栄養に従事している、あるいはこれから従事するすべての医療従事者を念頭に置きました。各専門領域の最前線で活躍している仲間に疾患別やセッティング別に低栄養の病態の基礎をできるだけわかりやすく解説してもらいました。まさに「サッとわかる!」栄養療法の解説書です。一部のコラムなどには上級者向けの記述もありますが、繰り返し読むことで十分に理解が深まると思います。病態の理解なくして本質的な栄養療法はありえません。

どうか臨床現場における低栄養の予防と対策に本書が少しでも貢献できたら、と執筆者一同心より願っています。

2021年8月吉日
吉村芳弘

目次

Chapter0 はじめに
0-1 どうして栄養管理が必要なのか:栄養は医療の屋台骨
0-2 適切な「食事のオーダー」出せますか?:すべての治療のベースは食事

Chapter1 栄養管理のキホン
1-1 エネルギー代謝:代謝を知らないと栄養管理は始まらない
1-2 3大栄養素:あなたのカラダは食べたものでできている
1-3 運動と代謝:ニートは肥満と関連する!?
1-4 疾患と代謝:どうして病気をするとやせるのか
1-5 加齢と代謝:年を取れば代謝が落ちる?

Chapter2 栄養ケアの基本
2-1 栄養スクリーニング:アルブミンを過信しない!
2-2 栄養アセスメント(特にGLIM基準):世界基準の栄養診断とは
2-3 栄養プランニング:栄養管理はオーダーメイドで
2-4 栄養モニタリング・評価:多角的なモニタリングで患者や多職種と信頼関係を
2-5 栄養評価に必要な臨床検査:データを駆使して栄養管理に強くなろう

Chapter3 栄養アクセスのキホン
3-1 栄養アクセスの選択:使えるルートは3 つだけ
3-2 経腸栄養:腸が動いていれば積極的に腸を使おう
3-3 静脈栄養:病態に応じて配合調整できるスグレモノ
3-4 複数の栄養アクセス併用:栄養の選択肢は多い方がいい

Chapter4 栄養療法の進め方
4-1 脳卒中:栄養療法が予後を改善する
4-2 整形外科疾患:栄養障害は転倒、骨折を引き起こす
4-3 消化器疾患:病態や消化機能に応じた栄養療法の選択を
4-4 肝疾患(特に肝硬変):肝臓は栄養代謝の要
4-5 心疾患(特に心不全 ):心負荷の軽減を目指す栄養療法
4-6 呼吸器疾患(特にCOPD):体重減少を制御するためには
4-7 腎疾患:栄養療法が予後を改善する
4-8 糖尿病:カロリー制限は時代遅れ!糖尿病は個別化対応の時代へ
4-9 周術期(特に消化管手術):感染症予防と回復促進のための栄養管理
4-10 サルコペニア:筋肉は新しい栄養指標
4-11 摂食嚥下障害:食べられないことは負の低栄養スパイラルの主要因
4-12 褥創・熱傷:微量元素の管理が創傷治癒を左右する
4-13 認知機能障害、食欲低下と摂食障害(高齢者、がん):元気なうちからACPを

Chapter5 栄養サポート-多職種での関わり方-
5-1 栄養サポートチーム(NST):栄養管理は医療の基盤、NSTは病院の柱
5-2 医科歯科連携:口腔から医療レベルがみえる
5-3 薬剤管理とポリファーマシー:ポリファーマシーはフレイルのリスク
5-4 チームビルディング(多職種との協働):チームの質は医療の質、患者アウトカムに直結する
5-5 栄養管理のなぜ? を臨床研究へ

付録:栄養管理に役立つリファレンス

執筆者一覧

■編著
吉村芳弘  熊本リハビリテーション病院 サルコペニア・低栄養研究センター センター長

■著
熊本リハビリテーション病院栄養サポートチーム

■執筆者一覧
上野いずみ 熊本リハビリテーション病院 管理栄養士
工藤舞   熊本リハビリテーション病院 管理栄養士
嶋津さゆり 熊本リハビリテーション病院 管理栄養士
福島宏美  熊本リハビリテーション病院 管理栄養士
小堀加菜恵 熊本リハビリテーション病院 看護師
砂原貴子  熊本リハビリテーション病院 看護師
辻友里   熊本リハビリテーション病院 歯科医師
白石愛   熊本リハビリテーション病院 歯科衛生士
長野文彦  熊本リハビリテーション病院 理学療法士
備瀬隆広  熊本リハビリテーション病院 理学療法士
濵田雄仁  熊本リハビリテーション病院 言語聴覚士
松本彩加  熊本リハビリテーション病院 薬剤師
丸山葵   熊本リハビリテーション病院 薬剤師
下津衣美  熊本リハビリテーション病院 臨床検査技師

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