WEB動画で学ぶ人工呼吸管理 基礎がわかれば実践できる

    定価 5,940円(本体 5,400円+税10%)
    編集日本呼吸ケア教育研究会
    B5判・192頁
    ISBN978-4-7653-1809-9
    2020年03月 刊行
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    約130分のWEB動画付き、人工呼吸管理がしっかりわかる!

    内容紹介

    人工呼吸管理は、しっかり教わることがあまりありません。そのため、人工呼吸管理に、苦手意識をもつ医師や医療従事者も多い状況です。現場では、エビデンスに従った人工呼吸管理が行われず、経験による人工呼吸管理を行っている場面によく遭遇します。

    本書は、人工呼吸管理に苦手意識をもっている医師や医療従事者向けに、日本呼吸ケア教育研究会が行っている好評な人工呼吸管理のワークショップを書籍化しました。人工呼吸管理を基礎からしっかりと体系的に伝えた内容で、また、そのワークショップで伝えている内容もWEB動画で学べるようにしました。本書を読み、WEB動画をあわせて見ると、独学で、人工呼吸管理がしっかり学べる1冊になっています。

    序文

    ワークショップディレクターからのメッセージ

    本書のキーワードは、「人工呼吸」と「教育」です。いずれも日本の臨床で抜け落ちている部分です。我々は、数年にわたり「人工呼吸」を「教育」するために多くの時間をかけてきました。本書には、その全てが詰まっています。

    まず、「人工呼吸」に関してですが、日本の医学教育には、人工呼吸管理の時間はほとんどありません。臨床の現場で若い医師が人工呼吸管理に接する環境は少ないと思います。さらに、人工呼吸管理は集中治療に精通した集中治療医が管理しなければいけませんが、日本では集中治療医が不足しています。2018年の時点で、日本の集中治療専門医は467名で認定施設は293病院しかありません。全国には地域診療の中心となる特定機能病院と地域医療支援病院は合わせて628病院あり、46.7%しかカバーしていません。多くの施設では呼吸器内科医が人工呼吸管理を行っているのが現状です。しかし、人工呼吸管理の専門ではないため、エビデンスに従った人工呼吸管理が行われず、経験による(伝承された)人工呼吸管理を行っています。そのため、今でも初期設定はSIMV+PSという設定が多く見られます。

    我々の行っているワークショップは決して難しい状況(症例)を設定しているわけではありません。基本的な症例を想定して基本を繰り返し様々な観点から説明しています。基本の凡事徹底こそが重要なのです。

    次に「教育」です。我々のスタッフは医師だけではありません。看護師・臨床工学技士・理学療法士・米国呼吸療法士などで構成されています。人工呼吸管理はチーム医療です。いろいろな視点で教育をすることも重要です。当初、本ワークショップでも、多くのコメディカルスタッフが医師を教育することに非常なストレスを感じていました。そこで、我々は教育の質を高めるためにインストラクターに求める能力(competency)とそれらを達成するため教育システムを作りました。具体的には、competencyの要件を満たすための段階的なスタッフ教育です。まず、見学し、我々の教育に対して賛同してくれるかを確認し、スタッフの同意を得てメンバーになります。そして、スタッフ教育のためのトレーニングを行い、実際のワークショップでアシスタントインストラクターとして、“デビュー”するための教育を行います。実際のワークショップで指導経験を積み、シニアインストラクターのフィードバックと承認を得たのちに、インストラクターになります。インストラクターになるまでの道のりは険しく、それだけ教育の質を高めるために力を注いでいます。ワークショップ終了後、毎回数時間かけて反省点を議論し、厳しく切磋琢磨してきました。

    本書は「人工呼吸の基本」を「教育のプロ」として、わかりやすく理解してもらうための我々のエッセンスが詰まった本です。ただ単に知識がある医師が得意な分野を分担執筆したものではありません。統一された意志のもと、一つのストーリーとして成立しています。人工呼吸に困っている医療従事者(医師だけではありません)やどのような教育をしていいか悩んでいる医療従事者に是非読んでいただきたいと思います。

    日本中が、教育された医師のもと、医療スタッフとともに正しく、標準化された呼吸管理が行われ、全ての呼吸で苦しんでいる人達のために本書を活用してくれることが我々の望みです。

    最後に、我々と一緒に勉強したいという医療スタッフがいれば連絡してください。

    2020年3月
    日本呼吸ケア教育研究会ワークショップディレクター
    医療法人鉄蕉会亀田京橋クリニック副院長・呼吸器内科顧問
    日本呼吸ケアネットワーク(JRCN)副理事長
    金子教宏


    筆者からのメッセージ

    さて、本書を手に取った皆さんは、“人工呼吸”というものに対してどのようなイメージを持っていますでしょうか?「器械の使い方がわからないし、なんだか難しいよな…」や「最近はAPRVやPAV、ASVなど、いろいろな新しいものが出てきて混乱してしまう…」などの感想を抱く方が多いのではないでしょうか?それは当然のことです。人工呼吸が登場してからもう約半世紀が経過しており、人工呼吸の進化は目まぐるしいものがあります。よって、どんどんと新しいことが登場するのは当然のことであって、その進化についていかなければならない宿命があるのも事実です。しかし、どんなに進化しようとも根底にある基本的な概念は変わらないはずです。その根底の概念を理解せずに新しいものばかりに飛びつく、そのようなことは、結局は本質を理解できず、正しい人工呼吸管理とはほど遠い管理をしてしまうことになります。これを例えるなら、基礎工事がしっかりとしていない欠陥住宅と一緒です。見た目は素晴らしい家であっても、地震などが来れば一気に崩れてしまう、そんな家に皆さんだったら住みたいと思いますか?安心して家族に住んでもらうことができますか?そう思う方は少ないでしょう。これは、人工呼吸管理においても一緒です。基本を徹底して理解せずに、その先の飛び道具(APRV、筋弛緩、腹臥位、など)に期待してはいけません。

    しかしながら、残念なことに、現在の人工呼吸管理の教育においては、基礎工事部分が手薄になっているような気がします。確かに、近年、人工呼吸管理の基礎を取り扱う書籍は多数出版されていますが、その基礎をどのようにして臨床に応用させたら良いのかという点が希薄になっている印象があります。また、基礎を通り越して、APRVやPAV、経肺圧などの応用的な内容が中心の書籍なども出てきています。基礎がしっかりしていない家をデザイナーズ住宅にする、みたいな感覚ですね。一気に飛び級してしまっており、初学者が臨床において基礎的な呼吸管理ができないまま応用編を見せつけられてしまっている状況になっているのです。このような状況ではしっかりとした考えのもとでの人工呼吸管理を患者さんに提供することはできません。

    本書はまさしくその穴を埋めるべく、普段我々日本呼吸ケア教育研究会が開催している、基礎を徹底的に理解し、それを臨床に活用できるということを目的とした人工呼吸管理ワークショップの内容をそのまま本にしたものとなっています。ワークショップの内容は別途解説しますが、“明日からの臨床を変える人工呼吸管理の知識”の習得を目標としたワークショップをもとにした本ですので、今まで「基本的な本を読んでも臨床で実践できなかったんだよな」という方々にうってつけの内容を提供しています。本書の内容をしっかりと理解すれば、正しい・基本的な知識をもとに人工呼吸管理を患者さんに提供することができると確信しています。

     

    “守りつくして、破るとも、離るるとても、本(もと)を忘れるな”(千利休)

     

    2020年3月
    日本呼吸ケア教育研究会
    安田英人

    目次

    Chapter 01.人工呼吸の基本
    Chapter 02.人工呼吸器のモード
    Chapter 03.人工呼吸器初期設定
    Chapter 04.肺メカニクス
    Chapter 05.ARDSの人工呼吸管理
    Chapter 06.閉塞性肺疾患の人工呼吸管理
    Chapter 07.グラフィック
    Chapter 08.トラブルシューティング
    Chapter 09.人工呼吸器離脱
    Chapter 10.急性期リハビリテーション

    執筆者一覧

    ■編集
    日本呼吸ケア教育研究会

    ■執筆者一覧
    安田英人 日本呼吸ケア教育研究会 副代表・主任講師、亀田総合病院集中治療科
    山田紀昭 日本呼吸ケア教育研究会 事務局長、済生会横浜市東部病院臨床工学部
    鵜澤吉宏 日本呼吸ケア教育研究会 副代表、亀田総合病院リハビリテーション事業管理部

    トピックス