オールインワン 経験症例を学会・論文発表するTips

    定価 3,960円(本体 3,600円+税10%)
    見坂恒明
    兵庫県立丹波医療センター/神戸大学大学院医学研究科 地域医療支援学部門
    A5判・304頁
    ISBN978-4-7653-1848-8
    2020年12月 刊行
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    論文発表までのベストルーティーンを伝授!

    内容紹介

    日々の臨床の中で、「学会で発表しては?」「論文にしては?」と上級医から言われることもあるでしょう。しかし、どのように手をつけていったら良いかわからずに、結局、何もせずに終わる場合もあることでしょう。

    著者は、日々の臨床にしっかり向き合い、そこで出会った症例より、症例報告を書き、それを学会・論文で発表するといった流れを実践し、学会では優秀演題賞を受賞し、論文執筆ではお蔵入りゼロです。

    本書は、著者の経験を踏まえ、症例に出会ってから、学会・論文発表までの流れをわかりやすく紹介しました。医師や医療従事者にとって、論文発表までのベストルーティーンになることでしょう。

    序文

    はじめに この本を手にとられたあなたへ

    私の主勤務地である兵庫県立丹波医療センターは2019年7月に新築オープンしました。旧病院の兵庫県立柏原(かいばら)病院は、「県立柏原病院の小児科を守る会」に代表されるように医師不足による医療崩壊を経験した病院です。2013年に、現病院長の秋田穂束先生が赴任され、優れた医学教育を提供し続けることで、若手医師にとって魅力ある病院にしようと取り組んでいます。私は2015年より神戸大学大学院医学研究科地域医療支援学部門 特命教授 兼 県立柏原病院(現丹波医療センター)地域医療教育センター長として赴任し、卒後教育の中心を担う立場となりました。初期研修医は毎年度末に、「基本的臨床能力評価試験」を受験しますが、同じ研修医学年は1年次より2年次に経年的に順位を上げ、総合的な能力が上昇し、特に身体診察・臨床手技においては、他の臨床研修病院に比し格段によい成績を収めています。2019年の丹波医療センターの総合成績は過去最高の全国6位でした。また、新専門医制度においては、総合診療プログラム責任者としてプログラムを立ち上げ、2020年には3学年で11人の専攻医が在籍し、他にプライマリ・ケア連合学会の家庭医療専攻医も3名在籍しております。地域医療の担い手かつ、将来の地域医療のリーダーとなる人材育成に努めております。

    初期研修医は2年間で最低1回、専攻医は年1回の学会発表を目標としております。多い医師は年3~5回発表しています。初期研修医や専攻医の数が増えれば、必然的に学会発表の数が増えます。赴任当初、私が直接的に関与した学会発表数は、年間20演題前後でしたが、2019年度は50演題を超えました。論文作成数も年間10~15本前後で推移しております(いずれの数も症例報告だけでなく、臨床研究も含む)。関連するいくつかの医療機関での症例・研究での数値ですが、大半は病床数320床で対象人口約10万人の丹波医療センターのものです。当然、この規模の病院で、年間何十例もの稀な疾患に遭遇するわけではありません。疾患自体は稀でなくても、学会発表にできる症例の題材は多くあります。発表回数が増えれば増えるほど、症例に対する学術的な洞察力が増し、学会発表できそうな症例を見つける能力がアップしています。

    私は、総合診療医として臨床を行っており、ドクターGと呼ばれるような優れた臨床能力を有する医師や、私自身が尊敬すべき臨床医は多数います。しかし、ことさら学会発表や論文作成においては、そういった方々よりも数多く発表していることを直接的・間接的に実感しております。

    学会発表の抄録や論文発表を通じてきちんと記録を残せば、自分の知らないところで沢山の人が見てくれ、自分自身が診療を行っていなくても、似たような経過を示す患者の診療において困っている医師が文献検索を行い、診療に役立ててくれます。そして似たような経過を示す患者にもメリットがあります。

    この書籍を通じて、私自身や丹波医療センターが行っている、学会発表や論文作成のノウハウを、この書籍を手にする多くの方々に広く活用して頂きたいです。これから学会発表や論文作成を始める初期研修医や専攻医だけではなく、指導医にとっても役立つ書籍だと自負しております。読者の方々の新たな学会発表や論文作成を通じて、患者診療で困っている医師や、病気で苦しむ患者に対して、間接的に役に立ちたいと考えています。

    2020年11月 兵庫県立丹波医療センター
    地域医療教育センター長
    見坂恒明

    目次

    第1章 症例報告の学会発表・論文作成、こんなところでつまずいていませんか?

    1-1.つまずく要因
    1-2.つまずきポイント1)期限について
    1-3.つまずきポイント2)症例選択の話
     1)症例選択の基準
     〈例1〉稀な疾患である症例①
     〈例2〉稀な疾患である症例②
     〈例3〉論文化されていなかった症例
    1-4.つまずきポイント3)論文化にあたっての話
     1)論文作成の意義
     〈例4〉検査羅列の症例
     〈例5〉新しい治療の提示が客観的事実に基づく症例
     2)論文投稿時の査読への対応
     〈例6〉査読者の指摘が大いに役立った症例
     〈例7〉査読者の指摘をそのまま記載した症例
     〈例8〉査読者の指摘が納得できなかった症例①
     〈例9〉査読者の指摘が納得できなかった症例②

     

    第2章 学会発表・論文にできる症例の見つけ方

    2-1.貴重な症例、見逃していませんか? 症例の見つけ方
     1)頻度が高い疾患✕よくある症状や検査結果✕一般的な治療経過
     2)頻度が多い疾患✕見逃しがちな症状・報告が少ない症状・所見
     3)頻度が少ない疾患✕よくある症状や検査結果✕一般的な治療経過
     4)日本で発症者が少ない疾患
     5)頻度が少ない疾患✕あまりない症状・検査結果
     6)治療・救命に難渋した症例
     7)非典型所見✕診断に難渋した症例
    2-2.その症例、学会発表できる題材ですか?
     1)一般的な情報検索方法
     2)私の情報検索方法
    2-3. 文献検索の方法について
     1)例1.伝染性単核球症に心筋炎を合併した症例を調べる
     2)例2.青汁によって肝機能障害を来たした症例を調べる
     3)例3.70歳の悪性リンパ腫による腸重積の症例を調べる

     

    第3章 学会発表に向けて

    3-1.学会発表ができそうと思ったらすること
     1)学術的に耐えうる内容にする
     〈症例1〉アロプリノール内服中の60歳代の発熱と皮疹
     〈症例2〉70歳代の発熱と皮疹、多関節痛、フェリチン高値
     〈症例3〉60歳代の発熱と四肢の筋痛、四肢末梢の浮腫
     2)患者とその家族への説明
    3-2.学会発表の準備、発表の持って行き方
     1)臨床的メッセージについて
     2)一般化できる臨床メッセージを示す
    3-3.学会発表までの流れ
     1)余裕を持って、文献的考察を深める
     2)学会発表は計画的に
    3-4.抄録の書き方について
     1)抄録例①
     -〈症例〉
     -〈主訴〉
     -〈現病歴〉
     -〈来院後経過〉
     -〈考察〉
     -〈演題名〉
     -抄録作成時、文献的考察をしっかり行う
     -抄録登録時の注意点
     2)抄録例②
     -〈症例〉
     -〈主訴〉
     -〈現病歴〉
     -〈薬剤使用歴〉〈社会生活歴〉
     -〈臨床経過〉
     -〈考察〉
     -〈演題名〉
     -文字数制限に気をつける
     -抄録作成後、学会発表のスライド作成に着手する
    3-5.学会発表のスライド作成について
     1)スライドのサイズ
     2)書体
     3)スライド内の情報量
     4)スライド中の文字サイズと行数
     5)適切な行間の使用、改行部分への配慮
     6)結語
     7)スライドの構成
     8)スライドの具体例
     -「タイトル」「COI開示」「緒言」のスライド
     -「症例」のスライド
     -「身体所見」のスライド
     -「検査所見」のスライド
     -「画像所見」のスライド
     -「経過」のスライド
     -「一般論」のスライド
     -「考察」のスライド
     -「結語」のスライド
     -「謝辞」のスライド
    3-6.学会発表のポスター作成について
     1)ポスターの基本はわかりやすいことが何より大事
     2)ポスターサイズ
     3)フォント
     4)文字サイズ
     5)レイアウトの方法
     6)ポスターの内容の配列順
     7)改行部分への配慮
     8)余白をとる
     9)背景の塗りと囲いの2重強調
     10)矢印は目立たせない
     11)全体レイアウトも囲い枠をうまく使う
     12)情報の整理
     13)PDF形式に書き出してチェック
     14)ポスターの印刷
    3-7.学会発表について
     1)院内予演会の意義
     2)発表の実際
     3)学会発表後
    3-8.学会発表の意義を理解していますか
     1)似た症例に出会った医療者や患者のために
     2)専門家の見解が聞ける

     

    第4章 論文発表に向けて

    4-1.学会発表した症例は論文化できそうですか
     1)ある疾患で症状・所見・経過が新規
     2)副作用、薬剤相互作用が新規
     3)二つの疾患間に予想外の関連性
     4)新規の診断方法
     5)新規の治療方法、予想外の治療効果
     6)稀・新規の疾患・病原体
    4-2.論文化の意義について
     1)症例報告が臨床研究につながった例
     2)記録として残す
    4-3.同意書のとり方について
     1)倫理規定を把握する
     2)研究とみなされる症例報告の例数は
     3)同意書をとるタイミング
    4-4.論文投稿先の選択について
     1)論文投稿先の相談
     2)IFが高いジャーナルが良いか
     3)内容に応じた投稿先
     4)論文採択率と論文掲載料
    4-5.論文を書いてみましょう!どの部分から書きますか?
     1)私の執筆順
     2)Introduction
     3)Discussion
     4)References
     5)Abstract
    4-6.論文を書いてみましょう!実際の本文の書き方について
     1)Introduction
     2)Case
     3)Discussion
     4)Abstract
    4-7.論文を書いてみましょう!タイトルのつけ方
     1)良いタイトルとは
     2)「症例報告」と入れるべきか
    4-8.論文を書いてみましょう! 意外に手間のかかる本文以外のところ
     1)References
     2)Figure Legends
     3)Keywords
     4)List of abbreviations
     5)Declarations
     6)Consent for publication
     7)Availability of data and materials
     8)Competing interests
     9)Funding
     10)Authors’ contributions
     11)Acknowledgements
    4-9.英文校正について
     1)英文校正会社に依頼をする
     2)英文校正会社でできること
     3)カバーレター
    4-10.論文を投稿してみましょう!
     1)オンライン投稿前に
     2)オンライン投稿の実際
    4-11.査読者とのやりとり
     1)論文投稿後の流れ
     2)査読コメントへの対応方法
     3)再投稿する
    4-12.Reject後の流れ
     1)査読に回らずrejectの場合
     2)査読されrejectの場合
     3)査読コメントに対する対応
    4-13.論文のAccept後の流れ
     1)論文掲載料の支払い
     2)出版社から校正依頼
     3)いよいよ刊行
    4-14.論文のPublish後に起こること
     1)学会等へのお誘い
     2)投稿の依頼
     3)Letterへの対応
     4)査読の依頼
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    ■著者
    見坂恒明 兵庫県立丹波医療センター/神戸大学大学院医学研究科 地域医療支援学部門

    トピックス

    ■2021-02-10
    本書の著者である見坂恒明先生が、丹波新聞にて取り上げられました。本書の特長についてのインタビューが掲載されています。

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