頭頸部がん手術ノート 輪層の外科

  • 新刊
定価 9,350円(本体 8,500円+税10%)
長谷川泰久
朝日大学病院歯学部総合医科学講座外科学
B5判・192頁
ISBN978-4-7653-1839-6
2020年08月 刊行
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頭頸部がん手術において安全かつ根治性に優れた手術を容易に行うにはどうすればよいか…答えは本書にあり!

内容紹介

『愛知県がんセンター 頸部郭清術』に続く本書は原発臓器に対して、筋膜と筋間隙から術式の概念化を試みる一冊。

頭頸部のうち、特に頸部はその筋と筋膜を概念化すると同心円モデルと捉えることができ、そのうえで原発臓器の切除術について、剥離の層(Layer(英)、Schicht(独))を明らかにし、術式の解説を行う。

外科はサイエンスとアートと言われ個人技を確立していくものだが、著者の豊富な経験から導き出された手術の法則を豊富なイラストと術中写真で解説しており、本書を熟読し、追体験することで必ず個人技を確立する一助となるだろう。

頭頸部がん手術に携わる外科医必携の一冊。


■姉妹本紹介
長谷川泰久先生ご執筆、姉妹本の情報はこちら

愛知県がんセンター 頸部郭清術 | 株式会社 金芳堂

序文

■推薦の言葉■

著者は2016年に【愛知県がんセンター頸部郭清術】(単著)を上梓した。これは、著者が手術をアートとしてとらえ、手術のたびに著者の中で概念化された「頸部郭清術のベスト」を目指し、自己研鑽の日々を送り、納得できた高みに達した結果を世に問うたものと考えられる。あえて「愛知県がんセンター式」頸部郭清術とした意味は、極論すれば、頸部郭清術を行うには、頸部の筋肉、血管、神経の走行よりもlayer(Schicht)の存在とその連続性を知らねばならないという主張であろう。その主張こそ愛知県がんセンターで学んだ頭頸部外科医共通の理念なのだと思われる。

今回上梓された【頭頸部がん手術ノート】副題「輪層の外科」は前著を補完する部分もあるが、主題は「頭頸部癌・原発巣切除術」である。前著のlayerを頭蓋底から上縦郭まで拡大し、解剖学的に細分化し、原発巣切除へのアプローチにかかわる様々なlayerを詳説する。副題の「輪層」とは、頸椎を中心に同心円状に広がる筋組織と、その間隙に存在する消化管・気道、神経・血管を観念した著者ならではの表現である。特に第4章「頭頸部がん外科治療 輪層の外科の基本概念と筋間隙による理論的手術」では、解剖学教科書では取り上げられることがなかった頸部筋間隙と剥離層をレーヤー0からレーヤー5まで分類し、口腔癌、喉頭癌、上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌、上顎癌、耳下腺癌、甲状腺癌について、それぞれのアプローチと関与するレーヤーを解説している。これらのレーヤーを局所的にとらえるだけで、耳下腺腫瘍、副咽頭間隙腫瘍、側頸嚢胞、甲状腺腫瘍などの良性腫瘍摘出術のイメージトレーニングにも極めて有用である。

本書は、頭頸部外科医を志す方々には手術の基本と理論を、多くの手術を経験したベテラン医師には著者の情熱とレーヤーへのこだわりは更なるモチベーションとなるはずであろう。耳鼻科医局必読図書としてご購入をお勧めする。

2020年4月
千葉徳洲会病院
耳鼻咽喉科・頭頸部外科センター長
鎌田信悦


■はじめに■

手術書というのは数多く出版されている。おそらく頭頸部がんに関する書籍は比較的少ないがそれでも多くはある。その中で他に無い本書の特徴は頭頸部がん手術法の概念を基盤に書かれていることである。私は手術についてこれまで考えてきた。

外科はサイエンスとアートと言われるが、アートの部分に重きが置かれることが多い。元々手術は個人技であり、個々の経験からその多くが成り立っている。多くの外科医は学んだ技術を自己流に消化し己の手技を確立する。

一方、手術には法則がある。安全かつ根治性に優れた手術を容易に行うにはどうしたら良いか、そしてそれは汎用性の高い手術法であることが必要であると考えていた。そして、それは筋膜・筋間隙に基づく手術法であると結論に至った。

それを、どのように伝えたらよいか。本書では自らの手技の確立に著者の経験を少しでも役立ててほしいという思いで書かれている。頭頸部がん手術には数多くの術式があるが、本書では著者が比較的多く経験した手術が著されている。その意味で手術ノートとした。

筋膜・筋間隙に基づく手術法は従来から言われてきたことで特に新しい概念ではない。頸部郭清術については既に「愛知県がんセンター 頸部郭清術」を著し、筋膜の手術としての手技を解説した。

本書ではこれに続き原発臓器に対して、筋膜・筋間隙の手術を多くの手技に適応しその普遍化を図った。その結果、頭頸部がんの手術には解剖学的共通性があり、その共通性を理解し論理的な手法を用いることにより、より安全で習熟の容易な手術法を行うことができると考えた。

その解説には著者のやや独断的な考え方が含まれているかもしれない。読者は批判的な考えも入れて、本書を読んでこれを消化いただきたい。

目次

推薦の言葉
まえがき

1.頭頸部がん治療の歴史
- がんの外科
- 頸部郭清術
- 放射線治療
- 薬物療法

2.手術手技の基本
- 切開
- 剥離
- 結紮
- 縫合

3.手術用エネルギーデバイスの種類と特徴
- 高周波電流タイプ
- 加熱タイプ(熱メス)
- ハサミ(鉗子)型エナジーデバイス

4.頭頸部がん外科治療輪層の外科の基本概念と筋間隙による論理的手術
- 同心円モデルと筋膜
- 筋間隙
- 剥離の層(レイヤー)を定義する

5.頭頸部がん手術の構成
- 原発部位切除術
- 頸部郭清術
- 再建術

6.頸部郭清術
- 全頸部郭清術ND(SJP)
- 選択的頸部郭清術ND(SJ1-2)

7.口腔がんの手術
- 早期口腔がんの手術
- 舌半切-亜全摘術
- 舌全摘術

8.喉頭がんの手術
- 喉頭全摘術と音声再建術
- 放射線治療と薬物療法
- 喉頭機能温存手術
- 喉頭全摘術の手技

9.上咽頭がんの手術
- 上咽頭へのアプローチ法
- 上顎スウィング法

10.中咽頭がんの手術
- 経口法
- 外切開法
- 中咽頭側壁がんの手術
- 前壁がんの手術

11.下咽頭がんの手術
- 経口法
- 外切開法

12.鼻副鼻腔の手術
- 上顎全摘術および拡大上顎全摘術

13.唾液腺の手術
- 耳下腺
- 顎下腺
- 舌下腺

14.甲状腺がんの手術
- 甲状腺葉峡切除術
- 甲状腺全摘術について
- 甲状腺被膜外浸潤の手術
- 甲状腺手術時の副甲状腺温存移植術

15.レイヤー手術のまとめ

文献
あとがき

執筆者一覧

■著
長谷川泰久 朝日大学病院歯学部総合医科学講座外科学

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