みんな、かつては研修医だった。医師が答える医師たちの悩み

    定価 2,860円(本体 2,600円+税10%)
    柳井真知
    神戸市立医療センター中央市民病院救命救急センター医長
    編集協力有吉孝一
    神戸市立医療センター中央市民病院救急科部長兼救命救急センター長
    A5判変型・256頁
    ISBN978-4-7653-1837-2
    2020年09月 刊行
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    心がすり減って落ち込んだり、燃え尽き症候群に陥ったりする前に! 一人で悩みを抱えず、この本を手に取って!

    内容紹介

    医学部を無事卒業し、国家試験を見事に通過できたとしても、研修時代が続きます。研修期間中、右も左もわからない状態から、板挟みの状態、指示を出す状態と状況は変わっても、次から次へと問題が起こり得ます。何もかもがうまくいかない、どうしていいかわからない、そんなふうに思っている人もいるでしょう。「医師に向いていないかもしれない……」、「この先続けられるか自信がない……」。このような悩みを抱えた医師たちは大勢います。あなただけではありません。第一線で活躍し、すべてをそつなくこなしているように見える上級医も、今なお悩み続けています。そして、みんなかつてはあなたと同じように研修医でした。経験が浅いあなたに、また経験を積み重ねた医師にも、すべての方に贈るやさしい「こころ」の処方せんです。

    序文

    ■はじめに■

    「今日は完璧だった!」。医者人生20年が経過した今でも、そう思える日など滅多にありません。診療を振り返ってああすればよかったかも、こう言えばよかったかもと悩む日々です。

    そんな中で出会ったのがダニエル・オーフリの『医師の感情 「平静の心」がゆれるとき』(医学書院)でした。経験豊かな医師でも現場では同じように悩み迷っている。その事実は私に明日も診療現場に立つ勇気を与えてくれました。

    こんな本が日本の医療現場からも生まれたら。そう思っていた矢先、なんと自ら執筆する機会をいただきました。私にはオーフリ先生のような重厚なエッセイは書けないけれど、毎日、研修医の先生たちの話を聞いています。それを悩み相談という形でまとめたいと考えました。といっても平凡な一臨床医に過ぎない私には荷が重い面もあります。自分をこれまで支えてきてくれたものは何か、そう考えたときふたつ、頭に浮かびました。

    一つは、患者さん、家族、先輩、同僚、後輩からの言葉。ひとりでは到達できなかった解決策に気づかせてくれた言葉です。もう一つは、本。自分の人生にはいつも傍らに本があります。出会ったこともない、時代も違う人たちでも、同じように悩んだり苦しんだりしたことを知ること、それは本を読むことの最大の楽しみの一つです。本から聞こえてくる言葉は時代や国境を超えて悩む私たちに答えをもたらしてくれます。

    そんな経緯で、研修医や専攻医の先生たちからよく尋ねられる質問や、私自身や他の医師たちがこれまで直面してきた悩みを集め、心に響いた本(や映画、ドラマ)から文章やセリフを拝借しながらお答えする、この本が生まれました。あくまで「こころ」の処方箋です。医学的な知識を得たいという目的には、残念ながらこの本は適していません。たくさんのエキスパートが書いておられる、名著の数々をお読みください。

    教科書は通読するものと教えられましたが、この本は教科書ではありません。ご自身の悩みに近いものを見つけたら、ぜひ、そこから読んでみてください。

    「自分だけではない」と気づくとどんなこともちょっと楽になるのではないでしょうか。渦中にあるときは足元しか見えていないことも多いですが、他人の考えや経験を聞くことが深い悩みの森から抜け出す第一歩となることもあります。悩み多き研修医、専攻医、そして答えに迷う上級医の先生たちが、この本をきっかけに、みんな同じように悩んでいるんだ、そしてこんな考え方もあるかもな、とちょっとでも思って楽になっていただけたら、これほどうれしいことはありません。

    巻末には今回力を借りた本(一部、ドラマ、映画)の一覧を付け、紹介文を添えました。興味のある方はぜひ「孫引き」してみてください。

    執筆の機会をくださった金芳堂・編集部の藤森祐介氏、研修医時代から相談相手となりこの本のアイデアをくださった有吉孝一部長、時には叱責し、時には励ましの言葉をくれた患者さん、家族、先輩後輩、友人たち、さらに、自分の道しるべとなった本を世に出してくださった世界中の方々に心より感謝申し上げます。

    ”No man is an island.”私たちはみな、たくさんの人に支えられて生きているのですね。

    2020年6月
    柳井真知

    目次

    はじめに
    朝のように 花のように 水のように

    研修医のときしかできないことがある
    - 研修医と名乗ることに不安があります。
    - どうすれば信頼されるでしょうか?
    - 患者さんにうまく病状説明ができません。
    - 患者さんから叱責されて落ち込んでいます。
    - 限られた時間でうまく話を聞き出すにはどうしたらいいですか?
    - 重症患者さんの前ではパニックになり、何をすればいいのかわからなくなってしまいます。
    - 手を尽くしても亡くなっていく患者さんをみていると、無力感を感じてしまいます。
    - 生命維持も難しい状況で、家族はできることは何でもしてくださいと言います。どうしたらいいのでしょう。
    - 患者さんからのクレームが理不尽に思えます。
    - 患者さんに治療の必要性を理解してもらえません。
    - コンサルテーションがうまくいきません。
    - 優れたリーダーの条件はなんでしょうか。
    - 看護師さんが指示を聞いてくれません。
    - 片付けって医者の仕事ですか?
    - 雑用が嫌いです。
    - 人前で話すのが苦手です。
    - 医療事故を起こしてしまいました。
    - 医師は、感情を見せてはいけないのでしょうか。
    - マルチタスクの救急の仕事についていけません。
    - 忙しい現場でどうすれば即座に決断できるようになるでしょうか?
    - ひとりで当直するのが怖くてたまりません。

    怒られるうちが花
    - 上級医の尻拭いをさせられているような気がしてなりません。
    - 指導医によっていうことが違います。どうしたらいいのでしょうか。
    - 後輩の前で指導医に叱責され落ち込んでいます。
    - 上級医に理不尽に怒られて、怒りのやり場がありません。
    - 研修医って、教えてもらえるものではないんですか?
    - 同期がみんな自分より優秀に見えて自信をなくしています。
    - メンターがいません。
    - 興味のない科のローテーション中はやる気が出ません。
    - 学会発表って、必要ですか?
    - 講習会が苦手です。
    - 忙しくて論文を読んだり調べたりする時間がありません。

    会いに行く。それだけでいい
    - ローテーションでころころ科が変わり、ひとりの患者さんと関わる時間が少ないのが不満です。
    - 後輩が言うことを聞きません。
    - 違うことをやってみたくなったのですが、方向転換すべきか悩んでいます。
    - 後期研修先をどう選ぶべきでしょうか。
    - 研究の道に進むか悩んでいます。
    - 英語が苦手です。
    - 資格って、必要でしょうか。

    時には病院を出よう
    - 体力がなく、すぐ体調を崩して仕事を休んでしまいます。医者としてやっていけるのか心配です。
    - 病院に長くいればいいものなんでしょうか。
    - メールで「休みます」はダメなのでしょうか。
    - 忙しくて勤務中にご飯を食べる暇がありません。
    - 仕事中の身だしなみではどんなことに気をつけたらいいですか。
    - 当直明け、寝ている間に1日が終わっています。
    - 家族が忙しさに理解を示してくれません。
    - 一緒に時間を過ごす友人がいません。
    - 健康相談ばかりされます。
    - 仕事のしんどさについて愚痴を言う相手がいません。
    - 仕事漬けで、いいんでしょうか。

    column
    女医は得?/臨床には自分を削る瞬間がある/リーダーは万能!? /名前を覚えよう 面白くなくていい。自分の長所を活かそう/いつもどこかで、誰かに助けられている/信じる者は、救われない?/勘違いしないで/化粧は誰のため?/たくさんの人と会おう

    本・ドラマ・映画の紹介
    おわりに
    著者・編集協力者プロフィール

    執筆者一覧

    ■著
    柳井真知 神戸市立医療センター中央市民病院救命救急センター医長

    ■編集協力
    有吉孝一 神戸市立医療センター中央市民病院救急科部長兼救命救急センター長

    トピックス

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    本書が、医学・医療情報サイト「ケアネット」のコーナー、【Dr.倉原の“俺の本棚”】にて紹介されました。

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