アンダートリアージを回避せよ! アセスメントスキルがぐんぐん高まる トリアージナースのための臨床推論トレーニングブック

    定価 3,520円(本体 3,200円+税10%)
    監著有吉孝一
    神戸市立医療センター中央市民病院救急救命センター
    水大介
    神戸市立医療センター中央市民病院・救命救急センター医長
    柳井真知
    神戸市立医療センター中央市民病院・救命救急センター医長
    A5判・272頁
    ISBN978-4-7653-1792-4
    2019年10月 刊行
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    救急現場で働くナースのためのトリアージで役立つ臨床推論の入門書。「断らない救急」を理念に厚労省の評価で今年5年連続1位を記録した施設の集大成がこの1冊に!

    内容紹介

    救命救急センターに搬送される患者さんやウォークインで訪れる患者さんを最初に評価してトリアージを行うのは、ほとんどの施設で看護師(トリアージナース)の役割となっている。そうした患者さんの疾患や病態を予測し、その緊急性を見極めるために役立つのが「臨床推論」という考え方である。本書では、救急の最前線で働く医師と新人ナースで繰り広げられる対話を通して、トリアージを行ううえでの重要な思考過程やポイントをわかりやすく解説している。

    さらに、実践編では、発熱や意識障害など頻度の高い11の主訴から5科のマイナーエマージェンシーまで具体的な症例を挙げ、紙面を通して実際のトリアージを行っているかのような臨場感が味わえる、まさにトレーニング本としてふさわしい作りになっている。全編にわたり、看護師(トリアージナース)に向けた励ましや温かいメッセージも込められた必読・必携の1冊である。

    序文

    「コーベ・ブルー」へ捧ぐ

    わがER、神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センターの受診者統計では、毎年2名程度の方が病院に向かうタクシー内や待合室で心肺停止になります。心筋梗塞や大動脈解離などの重症心疾患、くも膜下出血、脳梗塞など、重症神経疾患もそれぞれ200人くらいの患者さんが自力受診します。重症外傷でさえ20人近くの患者さんが救急車を使いません。これらの患者さんを最初に診るのはトリアージナースです。
    皆さんは大ヒットテレビドラマ「コード・ブルー」のようにドクターヘリに搭乗したり災害現場に赴いたり、フライトナースやDMAT隊員に憧れて救急ナースを目指しているのかもしれません。もしかすると、ERで明らかな軽症患者や泥酔者を相手にするのは不本意と感じることがあるかもしれない。けれども気づいてほしい。ドクターカーやドクターヘリで搬送される重症症例のみを対象とする救急医療では、カバーできない患者さんたちが今日も存在するのです。
    社会のセーフティネットを構築するためには高い専門知識と経験をもったトリアージナースが必要です。不満を言わず昼夜いそしんでいる当院のトリアージナースを、私はひそかに「コーベ・ブルー」と呼んでいます。

    目次

    1章 トリアージの基本を押さえる
    1.トリアージの基礎知識
    トリアージってどんなもの? 危険な疾患を見抜くために…
    トリアージ基準とエビデンス どのトリアージシステムが一番いいの?
    トリアージってどうやるの? いざ実践!
    うまくトリアージをするための心構え コツと注意点

    2.最初に診(視)ること・考えること
    バイタルサイン ほんの一握りを見逃さないための基本中の基本
    第一印象 ABCDを迅速に判断しよう
    問診 系統立てた問診で,危険な病歴を察知しよう!
    小児の注意点  高齢者の注意点

    2章 実践トリアージ! 臨床推論トレーニング
    1.これは!!(典型例)と,ひょっとして!?(非典型例)
    発熱 意識障害 頭痛 めまい 失神 咽頭痛
    胸痛 呼吸困難 腰背部痛 腹痛 嘔気・嘔吐
    小児 高齢者 外傷 妊婦

    2.マイナーエマージェンシー
    眼科 耳鼻科 皮膚科 泌尿器科 精神科

    Dr.柳井のワンポイントレクチャー
    砦としてのトリアージ/治療学から診断学へ/患者さんは結構, 待っている/「戦い方は教えた. 戦うのはお前だ」/最後の晩餐方式/基本の基本, 感染対策/頻脈じゃなければ大丈夫?/泣かせてはいけない/敗血症?どこから来てどこへいくのか?/意識障害≠頭蓋内疾患! 大原則, のはずが…/五感, じゃなくて四感を使おう!/めまい七変化/失神=頭部CT, とは限らない/寝かせれば楽になる…とは限らない!/腹痛は, アッペに始まりアッペに終わる/子どもは何でも口にする/熱中症? 低体温? ちょっと待った!/女性を見たら妊婦と思え!?/過換気の落とし穴

    救急センター長“Dr.有吉”のひとこと
    「傷つき恐れる患者の家族もまた患者である」/発熱患者で大事なことは/めまいの患者さんでは…/失神/失神の中では…/まさかの心筋梗塞!/スピードを出すべきとき,胸痛/自分が深呼吸をしてから…/まさかの心筋梗塞! 再び!/高齢者の処方/お説教≠患者教育/気にかけてあげてください/子癇! アカン!/患者さんへの声かけを忘れずに/免疫獲得情報を知っていますか?/反射的に動きましょう/セキュリティ対策も必要です

    執筆者一覧

    監著:有吉 孝一(ありよし こういち)神戸市立医療センター中央市民病院・救命救急センターセンター長
    著:水 大介(みず だいすけ)神戸市立医療センター中央市民病院・救命救急センター医長
    著:柳井 真知(やない まち)神戸市立医療センター中央市民病院・救命救急センター医長

    トピックス

    2019年10月開催の「第21回一般社団法人日本救急看護学会学術集会」にてご好評いただきました。詳細は下記リンクをご覧ください。

    第21回一般社団法人日本救急看護学会学術集会 – 株式会社 金芳堂