放射線医学

放射線医学総論

    定価 5,060円(本体 4,600円+税10%)
    監修楢林勇
    大阪医科大学名誉教授
    杉村和朗
    神戸大学大学院教授
    編集富山憲幸
    大阪大学大学院教授
    中川恵一
    東京大学大学院准教授
    A4判変型・200頁
    ISBN978-4-7653-1507-4
    2012年01月 刊行
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    新しい情報をコンパクトにまとめた放射線医学の新シリーズ 堂々デビュー!

    内容紹介

    放射線医学シリーズ全9冊のうちの1冊。放射線医学総論として、本書では、放射線物理学、放射線生物学、CTやIVRにおける医療被曝や安全管理、放射線障害について詳細に記述した。放射線医学の基礎といえる放射線の種類・意義など放射線そのものから、続いてX線撮影、CT、MRI、超音波、核医学検査(PET/CTを含む)等の画像診断における進歩・発展を、CTではMDCTに代表される高速撮影技術、3テスラMRIによる高磁場MRI装置、超音波では3次元表示や他画像参照などの新機能、核医学検査では新しい放射性医薬品、PET/CTなど他のモダリティーと融合された装置の臨床利用での診断能の向上について解説。社会的需要の高いIVR、放射線治療の基礎知識、HCCの標準治療のラジオ波焼灼療法などが漏れなく概説されており、放射線医学の基礎から臨床までの知識と理解を深めることができる。

    遠隔画像診断、画像診断の医療情報システム、医療情報システムの安全管理は放射線診断専門医認定試験の受験資格や資格更新には必要となるであろう。死因究明の手法として普及が期待されるオートプシー・イメージング、乳がんの早期発見につながるマンモグラフィ、超高齢化社会の課題となる骨粗鬆症など、これら社会的課題とする項目も取り上げた。

    総論として、これらの基礎から臨床まで最新情報を含め、放射線医学を理解する上で不可欠と考えられる内容がコンパクトに網羅されている。医学生から研修医、診療放射線技師、技師を目指す人、看護師の方々、各科認定医試験受験医まで多くの読者にテキストしてお勧めする。また、東日本大震災以後、放射線医学に対して社会的感心度が高くなった今、本書によって守備範囲が広い放射線医学の全体像をつかみ、更なる知識と理解を深めていただきたい。

    序文

    この放射線医学シリーズは、全9巻からなる放射線の全領域を網羅した医学書である。本書では第一線で活躍しておられる先生方に、放射線医学総論について執筆していただいた。はじめに、放射線医学の基礎といえる放射線の種類・意義など放射線そのものについての項目がある。折しも今年は東日本大震災という未曾有の大惨事により福島第一原子力発電所から多量の放射性物質が外部に漏れ出た。原発周辺はもとより、広く東北関東一円にまで放射能汚染をもたらしている。当然のことながら、放射線は目に見えず、感じることもできない。このことが、一層市民の不安を駆り立てている。テレビや新聞では、連日、放射能汚染について報道されていた。今回の事故で、放射線の専門家である我々は改めて放射線について考えることが必要とされ、正しい知識とデータに基づいた正確な判断が求められている。本書では、放射線物理学、放射線生物学、CTやIVRにおける医療被曝や安全管理、放射線障害について詳細に記述していただいた。

    画像診断は大きく分けて、X線撮影(単純X線撮影・X線透視撮影)、CT、MRI、超音波、核医学検査(PET/CTを含む)がある。いずれの診断装置においても診断能の向上や快適性を目指した進歩・発展が目覚ましい。特にX線撮影においてはCRをはじめとするデジタル化の波が押し寄せてきている。CTではMDCTに代表される高速撮影技術が画像診断に大きなブレイクスルーをもたらした。また、3テスラMRIの登場による高磁場MRI装置も普及してきている。超音波では3次元表示や他画像参照などの新機能が診断に寄与している。CT・MRI・超音波の検査において、病変の検出や診断をより確かなものにしてくれる各種造影剤は、現在多くの種類が開発され利用可能である。核医学検査においては次々と新しい放射性医薬品が開発され、またPET/CTなど他のモダリティーと融合された装置の臨床利用により診断能の向上が図られた。著者の先生方には、基礎から最新情報までを盛り込んでいただいた。

    また、画像診断とともに放射線医学の大きな柱であるIVR・放射線治療は、その低侵襲性により臓器機能温存や早期社会復帰に寄与しており、近年社会的需要がますます高まっている。本書においてもIVR、それから放射線治療の基礎知識について概説していただいた。HCCの標準治療の地位を確立し保険収載されているラジオ波焼灼療法については別項を設けて解説していただいた。

    放射線診断専門医認定試験の受験資格や資格更新には安全管理(旧被ばく・管理)、医療の質(旧IT)、遠隔画像診断の講習会出席が必要となった。放射線診断専門医としてこれらの知識の習得は、今後ますます重要になってくるとの判断からである。本書においても、遠隔画像診断、画像診断の医療情報システム、医療情報システムの安全管理の項を設け、詳細に記述していただいた。理解の助けとなれば幸いである。

    放射線医学に関する社会的課題として、オートプシー・イメージング(死亡時画像診断)、マンモグラフィ(乳腺X線撮影)、骨粗鬆症がある。死因究明の手法として有用なオートプシー・イメージングは今後認定医制度が始まり、ますます普及すると予想される。近年、乳がん検診の早期受診を勧めるピンクリボン運動などの啓発キャンペーンにより、乳がん検診の受診者が増加している。乳がん検診において、マンモグラフィは乳がんの早期発見に威力を発揮する。超高齢化社会である日本国民にとって骨粗鬆症は大きな問題であり、骨粗鬆症の診断・治療による骨折の予防は、寝たきりの防止や医療経済的にもきわめて有益である。これらについては別項を設けて詳細に記述していただいた。

    このように本書は、放射線医学を理解する上で不可欠と考えられる基本的な多くの情報を含んだ内容となっており、日常診療において、多くの読者のお役に立てるものと確信している。

    平成23年12月
    編集代表
    富山憲幸

    目次

    1.放射線の種類と意義
    1.放射線の種類
    2.放射線の意義

    2.放射線の量と単位
    ①吸収線量
    ②等価線量
    ③実効線量

    3.X線検査装置・機材およびX線検査の種類
    1.アナログ画像とデジタル画像
    2.単純X線撮影装置
    3.CR(computed tomography)
    4.FPD(flat panel detector)
    5.X線透視撮影装置

    4.CT(computed tomography)
    1.歴史
    2.スキャン方式
    3.スキャンモード
    4.CT値とウインドウ機能
    5.基本ユニット
    6.X線管と検出器
    7.CT自動露出機構
    8.周辺機器
    9.MDCT
    10.今後の展望

    5.マンモグラフィ(乳房X線撮影)
    1.乳房撮影装置の特徴
    2.撮影
    3.精度管理(QC:quality control)またはQA(quality assurance)

    6.MRI(magnetic resonance imaging)・MRS(magnetic resonance spectroscopy)
    1.MRIの開発と発展
    2.MRIの原理
    3.MRI診断のための基礎的知識(コントラストと組織の関係)
    4.MRS(magnetic resonance spectroscopy)

    7.超音波検査
    1.超音波検査とは
    2.超音波検査の特徴
    3.超音波検査プローブ
    4.Bモード、2Dモード
    5.ドプラ法
    6.3次元(3D)表示
    7.造影超音波検査
    8.その他のモード、手法

    8.骨塩定量
    1.骨塩定量
    2.骨粗鬆症

    9.医療被曝の軽減とその安全管理
    1.被曝の区分と線量限度
    2.医療被曝管理の経緯
    3.患者線量管理
    4.適切な医療被曝を担保するための安全管理

    10.CT被曝 
    1.患者線量配慮の意味
    2.患者線量配慮のために医療関係者がなすべきこと
    3.スタッフ教育と放射線被曝に不安をもつ患者への説明

    11.放射線障害
    1.放射線障害の歴史
    2.電離放射線による障害の分類
    3.急性全身1回被曝による障害
    4.急性1回被曝による皮膚・水晶体障害
    5.発癌(悪性腫瘍発病リスクの増加)
    6.胚および地味に対する影響
    7.少量慢性被曝の効果

    12.放射線治療の基礎知識
    1.放射線治療の方法
    2.放射線治療の対象となる癌
    3.放射線治療の副作用
    4.リニアックによる放射線治療が効きにくい癌に対して

    13.各種造影剤の種類と用法(X線検査、CT、MRI、US)
    1.造影剤とは
    2.造影剤の体内動態と排泄
    3.造影剤の副作用

    14.放射線物理学
    1.放射線の種類と性質
    2.X線の発生機構
    3.放射線と物質の相互作用
    4.原子核と放射能

    15.放射線生物学
    1.放射線に対する細胞の反応
    2.放射線に対する組織や臓器の反応

    16.画像診断の医療情報システム
    1.PACS(picture archiving and communication system)
    2.DICOM規格
    3.レポート機能

    17.医療情報システムの安全管理
    1.安全管理の基礎
    2.運用とシステム機能
    3.セキュリティ方針
    4.監査と発展的反復
    5.利用者の識別

    18.遠隔画像診断
    ①遠隔画像診断の目的と推進する理由
    ②遠隔画像診断に備わっているべき態勢
    ③ハードウエァおよびネットワーク
    ④画像情報の管理体制
    ⑤運営形態
    ⑥今後の課題

    19.IVR(interventional radiology)
    1.IVRとは
    2.IVRの種類
    3.IVRの問題点と今後の展望

    20.IVRにおける被曝
    1.患者被曝
    2.術者被曝

    21.ラジオ波焼灼療法(RFA)
    1.ラジオ波焼灼療法とは何か
    2.ラジオ波焼灼療法の原理と方法
    3.ラジオ波焼灼療法の臨床

    22.オートプシー・イメージング(死亡時画像診断)
    1.オートプシー・イメージングとは
    2.解剖とAiの比較
    3.Aiの今後

    23.核医学の基礎
    1.核医学とは
    2.核医学検査の映化法
    3.核医学検査の安全性と診療実態
    4.核医学治療

    24.診断・治療用放射性医薬品
    1.RIの製造と供給
    2.診断用放射性医薬品

    25.核医学検査・SPECT(single photon emission computed tomography)
    1.核医学検査
    2.SPECT/CT

    26.PET/CT(positron emission tomography/CT)
    1.FDG-PETの特徴と保険適用の現状(2011)
    2.悪性腫瘍と鑑別すべき生理的集積、良性腫瘍
    3.腫瘍診断の概要
    4.癌検診とPET
    5.炎症性疾患
    6.PET検査の注意事項

    執筆者一覧

    ■監修
    楢林勇   大阪医科大学名誉教授
    杉村和朗  神戸大学大学院教授

    ■編集
    富山憲幸  大阪大学大学院教授
    中川恵一  東京大学大学院准教授

    ■執筆者一覧(五十音順)
    井垣浩   東京大学医学部附属病院放射線科講師
    宇都宮啓太 関西医科大学放射線科学講座講師
    大野和子  京都医療科学大学医療科学部教授
    岡田真広  近畿大学医学部放射線診断学教室講師
    小川恭弘  高知大学医学部放射線医学講座教授
    海堂尊   独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センターAi情報研究推進室室長
    金澤右   岡山大学大学院医歯薬学総合研究科放射線医学分野教授
    窪田和雄  独立行政法人国立国際医療研究センター放射線科核医学医長
    河野由美子 関西医科大学放射線科学講座
    小須田茂  防衛医科大学校放射線医学講座教授
    齋田幸久  聖路加国際病院放射線科部長
    佐々木良平 神戸大学大学院医学研究科放射線腫瘍学部門特命准教授
    塩谷清司  筑波メディカルセンター病院放射線科科長
    杉本幸司  神戸赤十字病院放射線科部長
    鈴木滋   さいたま赤十字病院放射線科
    富山憲幸  大阪大学大学院医学系研究科放射線医学教授
    中川恵一  東京大学大学院医学系研究科放射線治療学准教授
    中山雅央  神戸大学大学院医学研究科放射線腫瘍学部門特命技術員
    西山佳宏  香川大学医学部放射線医学講座教授
    原田雅史  徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部放射線科学分野教授
    平井都始子 奈良県立医科大学附属病院中央内視鏡・超音波部准教授
    藤井正彦  神戸大学大学院医学研究科内科系講座放射線医学分野准教授
    本田育子  大阪大学医学部附属病院医療技術部放射線部門診療放射線技師
    本田憲業  埼玉医科大学総合医療センター画像診断科・核医学科教授
    村上卓道  近畿大学医学部放射線診断学教室主任教授
    山口雅人  神戸大学医学部附属病院放射線科・血管内治療センター講師
    山本由佳  香川大学医学部放射線医学講座講師
    山本隆一  東京大学大学院情報学環准教授
    吉川秀司  大阪医科大学附属病院中央放射線部診療放射線技師

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