医療現場で折れない しなやかな若手医師の仕事術 無理なく成長できる25のこと

  • 新刊
  • 好評書
定価 3,630円(本体 3,300円+税10%)
三谷雄己
広島大学救急集中治療医学
佐藤佳澄
秋田大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学講座
A5判・178頁
ISBN978-4-7653-2103-7
2026年04月 刊行
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ほんのちょっとの知識で楽になる! 心の支え方が変わる! この本を読んで一緒に成長していきませんか?

内容紹介

若手医師の皆さんは少なからず不安を抱きながら、現場に入っているのではないでしょうか。日々葛藤し、失敗し、つまずき……その繰り返しで成長していきます。ただ、「不安がいつまで経っても解消されなかったら?」、「失敗の連続でどうしようもなくなったら?」、「もう続けられる自信がないかも」など心配事が尽きることはないかもしれません。ある日、やっと解決した! と思ったら、また違う問題に直面するのが医師生活でもあります。そうした心の悩みやモヤモヤを取り除き、現場で役立つ、また医師生活の質や生産性を高めるテクニックやアイデアを、実務派メンターと俯瞰型メンターのベテラン医師が伝授します。この本を読んだら、小さなトラブルにも動じなくなるのではないでしょうか。輝いた未来に向け、少しでも気分を楽にして明日を迎えてみましょう。

序文

序文

カービィのエアライドというゲームを知っていますか?(ついに、新作が20年越しに出ましたね!)

あのゲームには「クリアチェッカー」っていう、達成項目を一つずつ埋めていくシステムがあったんです。マスを一つ埋めるたびに音が鳴って、チェックマークがつく。あの感覚が、たまらなく好きでした。

どの受験勉強でも、私はゲームで遊ぶ気持ちで取り組んでいました。単語帳の覚えてない単語に付箋を付けて、覚えたら外す。問題集の問題を一つ残さず解き終える。模試で合格圏内となる目標点を超える。一つ一つがクリアすべきミッションで、達成するたびに満たされていく感覚がありました。

しかし、研修医になった途端、このゲーム化思考が通用しなくなりました。患者さんは問題文はもちろん、正解も教えてくれません。上司からの評価も、点数化されることはほとんどありません。チェックボックスのない世界で、私は完全に迷子になっていました。

ですが、数年間いろんな壁にぶつかって、傷つきながら気づいたんです。医師として生きていく中でも、攻略法と呼べるものはちゃんとあるんだということに。

みんなが漠然と抱える疑問や悩みにも、知っているだけで少し解決しやすくなる考え方が、確かに存在します。ゲームの攻略本を読むように一つ一つ身につけていけば、いつの間にかあなたの困りごともクリアできるようになるかもしれません。この本では、そんな攻略法や、自分では気づきにくいモヤモヤを言語化するコツもまとめてみました。

できるだけ、毎日の手助けになる攻略本を目指したつもりです。ただ、実際に課題を見つけて乗り越えていくのは、みなさん自身です。時に疲れたり、モヤモヤしたりしながらも、一緒に臨床医としての長い旅を続けていきませんか。しなやかに、謙虚に進み続けていればきっと、悩んでいた課題もいつの間にかクリアできているはずです。

さあ、この本を片手に、正解のない臨床医の毎日を楽しんでいきましょう。

三谷雄己


医学生から医師になったときに、なぜこんなに大変なのだと痛感した記憶があります。医師国家試験の勉強をみっちりやって、知識量はおそらく申し分ないはずなのに、なぜか体が動かなくて、もどかしかったです。

しばらく時間が経って救急医になり「ノンテクニカルスキル」というものを知りました。救急医にはノンテクニカルスキルが大切であると教えられるのです。ノンテクニカルスキルとは、手技や知識そのものではなく、それらを安全に働かせる状況認識・意思決定やコミュニケーション、リーダーシップなどの能力を指します。ストレスマネジメントや疲労に対処することもこの一環でしょう。もともとノンテクニカルスキルは、航空事故の分析を通じ「操縦技術が十分でも、チームの連携不全や判断の偏りで事故が起きる」ことが指摘され、訓練対象として体系化されました。

救急の現場もまた、次々とやってくる緊急事態に対して、適切な状況認識および意思決定が求められますからノンテクニカルスキルが大切だよと教えられるのですね。しかしノンテクニカルスキルが重要なのは救急医療に限ったことではありません。医師が朝起きてから寝るまで、ノンテクニカルスキルが求められる場面ばかりです。知識の正しさや多さだけでは仕事が回らず、ときに自分の感情に振り回されてしまう。こうした「教科書の外側」の困りごとは、誰にでも起こるのに、教わる機会が意外と少ないと感じてきました。そこで本書では、そうした困りごとを正面から扱うことにしました。

さらに臨床のしんどさは、「自分はこのままでいいのか」という気持ちからも生まれます。うまくいかない出来事が重なると、視野が狭くなり、自分の価値まで下がったように感じてしまう。だから私は、目の前の困りごとを解くと同時に、長い時間軸で折れずに成長するための考えかたも一緒に扱いたいと思いました。大事なのは、完璧になることではなく、修正しながら続けられることです。自分の状態を見立て直し、他者と協働し、学びを循環させる。その繰り返しが、医師としての実感を少しずつ取り戻してくれるはずです。

本書が、忙しさの中でも学びと回復の余白を取り戻し、患者さんとチームに誠実でいられる時間が少し増える。そんな変化のきっかけになれたら嬉しいです。

佐藤佳澄

目次

序文
プロローグ
登場人物紹介

第1章 タイムマネジメント
Q1 時間を節約するために、今すぐできることはありますか
“維持”と“快適”を区別すると、時間の使い方が変わる
毎日10分の短縮が1か月で5時間を生む
時間を仕分けることは、生活をデザインすること

Q2 AIを使って業務や学習を効率化したいのですが、何から始めたらよいですか
生成AIを試す価値は大きい
生成AIの基本的な使い方
生成AIを賢く使うための注意点

Q3 コツコツ勉強を続けたいのに、うまく時間を使えず困っています
勉強の形をもっと自由に捉えよう
学びは机の外でもできるはず―3Bの法則
学びは公園のようなもの

Q4 睡眠不足を痛感していますが、なかなか睡眠時間を確保できません
4時間しか寝られないなら、その4時間を大切にしたい
眠り始めが重要
当直の前日の理想的な睡眠の取り方
昼寝のクオリティをあげよう:パワーナップとカフェインナップ
当直、夜勤中の眠りとの向き合い方
当直明けは寝過ぎに注意

Q5 数少ない休日を使って、リフレッシュする方法を教えてください
休みも計画的に作るもの
4つのエネルギーで自分の状態を把握する
3つの休みモードを使い分ける
休息と成長のバランスを見つける

第2章 モチベーション
Q6 医師という職業の未来が見えません。将来が不安です
不安定な時代を前向きに生き残ろう
目標ばかりでなく、手段から考えてみる
偶然の大きな効能

Q7 大切な試験なのに、やる気が出ません
行動を起こすのに、モチベーションは必須ではない
習慣化の基本的な考え方
勉強を始めやすくする環境
自分像を起点に開始し、中断するときには明日につなげる

Q8 急ぎのタスクに追われて、他のことが手につきません
外発的動機と内発的動機って何が違うのか
内発的動機を意識すると、自分の中の優先度が変わる

Q9 学生時代のように熱中して勉強ができたらいいのに
フロー体験をするためには
なぜ、社会人はフローに入りにくいのか
自己目的的パーソナリティを育もう
フロー理論を実践する
内発的動機の再構築

第3章 インプットとアウトプット
Q10 日々湧いてくる疑問や調べた知識を、まとめきれません
二次資料はAIで手に入る時代に
ストックすべきは「前景疑問」
それでも残すべきものはある

Q11 医学書の効果的な選び方・読み方が知りたいです
守破離で本選びを考えてみよう
ジャンル読みのススメ
医学書は能動的に読もう
まとめ

Q12 アウトプットする先生たちに憧れますが、どうしたらいいでしょうか
アウトプットが学びを加速させる
では、どうやって忙しい中アウトプットを続けるのか
- (1)時間を“設計”して先に確保する
- (2)30分区切りでポモドーロ・テクニックを活用する
- (3)時間帯で作業内容を変える
- (4)大きな課題は細分化して取り組む
- (5)シングルタスクを徹底する
- (6)小さく始めて続ける
- (7)作業時間以外の日常にアウトプットを散りばめる

Q13 院内勉強会で発表したのですが、手応えがありません
誰に対して、何を目的としたレクチャーなのかをはっきりさせる
スライドには、本当に伝えたいことだけをミニマムに
このレクチャーを受ける動機づけが大切
ステップに沿ってレクチャーを組み立ててみる

Q14 SNSはどのように活用するのが効果的でしょうか
医師が成長するサイクル
SNSを活用して成長するサイクル
さっそく、X(旧Twitter)を始めてみよう

第4章 コミュニケーション力
Q15 上司や他科医師への相談が、もっとうまくなりたいです
結論と緊急性をセットでまずは伝えよう
患者情報はSOAPの型を参考に
聞き手のニーズを推し量ろう
感謝と配慮を忘れずに

Q16 後輩に的確なアドバイスをして、信頼されたいです
いいフィードバックと、実践が難しい理由
フィードバックの型を知っておこう
信頼関係を土台に

Q17 職場で新しいことを始めたいのですが、どうすれば周りを巻き込めますか
新しいことがうまくいかない本当の理由
ステークホルダー分析:誰が何を気にしているのか
立場から利害へ:本質的な関心を掘り起こす
Trading Zone:価値交換の領域を設計する
BATNAとZOPA:交渉空間の境界を測る
感情の構造を理解しよう
時間を味方につけて粘り強く

Q18 紹介状を短時間で、読みやすく仕上げる方法はありますか
開封する相手の顔を思い浮かべる
紹介状の骨組みを意識して、辞書登録をうまく使う
シームレスな治療に必要な情報を過不足なく含める
転院調整の工程を先回りしておく
紹介状の書き方

Q19 先輩から好かれて教わり上手になるには
信頼関係は仕事の成果だけでは築けない
「教わり上手」になる魔法の言葉
感謝と感動を素直に伝える
より上司から信頼されるために
まとめ:好かれるのは“能力”より“姿勢”

Q20 患者、家族に対する病状説明や、治療方針のすり合わせがうまくいきません
ゴールから逆算して次の行動を考える
多職種の力を借りる
EBMだけでは、決められないこともある

第5章 感情マネジメント
Q21 もっと病棟のスタッフと打ち解けたいです
悪循環の犯人は「感情」だ
看護師は24時間患者を看ている
患者のために自尊心を脇に置こう
単純接触効果:顔を出す頻度を上げる
そのうちスタッフが好きになる

Q22 患者やスタッフにイライラしてしまう自分が嫌になります
まずは、“HALT”で自分の状態をチェック
ギリシャ哲学に学ぶ“パトス”と“ロゴス”の切り分け
共感フレーズで情動を受け止める
チームとしてゴールを共有する
最後までコミュニケーションを“諦めない”

Q23 窮地に立たされると頭が真っ白になります。どうすれば落ち着けるでしょうか
焦ったときこそ、わかりやすい原理原則に立ち返る
窮地に備えて、周りの環境を把握し、自分の荷物も整理しておく
何が起きたのか? みんなで窮地を振り返る

Q24 自己肯定感がありません。自信を持つ方法が知りたいです
自分の価値ではなく、自分の遂行能力にフォーカスする
自己効力感を創出するための実践:失敗を共有し合う

Q25 医師が気軽に役立てられるマインドフルネスはありますか
マインドフルネスとは? 忙しい医師にも役立つ理由
すぐに実践できるマインドフルネスの方法

エピローグ
索引
著者プロフィール

執筆者一覧

■著
三谷雄己 広島大学救急集中治療医学
佐藤佳澄 秋田大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学講座

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