Dr.野見山直伝! 今日から迷わない ダイアベティス(糖尿病)治療薬 ファースト&セカンドチョイス処方術

  • 未刊
定価 4,400円(本体 4,000円+税10%)
野見山崇
順天堂大学医学部附属静岡病院糖尿病・内分泌内科教授
A5判・159頁
ISBN978-4-7653-2106-8
2026年06月 刊行
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★2026年5月下旬 発売予定!★

ダイアベティス治療薬のファースト&セカンドチョイスを問題を解きながらトレーニング!

内容紹介

第69回日本糖尿病学会年次学術集会(2026年5月21~23日・大阪市)にて先行発売予定!

近年、ダイアベティス(糖尿病)治療薬は急速に進歩し、さまざまな作用機序をもつ薬剤が登場しています。一方で、薬剤の種類が増えたことで「どの患者に、どの薬を選ぶべきか」に悩む場面も多くなっています。

本書は、ダイアベティス(糖尿病)治療薬の選び方・使い方について、実際の臨床を想定した症例問題を通してトレーニングできるよう工夫されており、やせ型・肥満型など病態の違いに応じたファースト&セカンドチョイスの処方術を身につけることができます。

さらに、高血圧・脂質異常症・腎症など糖尿病に併存しやすい病態への治療にも触れ、総合的な診療力も養います。糖尿病診療の第一線で活躍するエキスパートの思考プロセスを学びながら、治療薬選択の処方術を無理なく習得することができる一冊です。

序文

推薦のことば

わが国では、糖尿病あるいはそれが強く疑われる人の数は1000万人にのぼると報告されています。一方で、糖尿病専門医の数は約7000名程度にとどまっていることを考えると、多くの糖尿病のある人の診療は、専門外の先生方によって担われているのが現状です。糖尿病診療のゴールは、健康寿命の延伸にあり、そのためには合併症の抑制、高齢化で伴う併存疾患への対策およびスティグマに対する適切な配慮が求められております。こうした背景のもと、糖尿病のある人がどの医療機関にかかっても、またどの医師にかかっても同じような診療が受けられることが必要であり、本書はその実現に大きく寄与する一冊として強く推薦いたします。

本書は、糖尿病の基本的概念の解説に始まり、スティグマやアドボカシーといった課題にも言及しています。特に、糖尿病という病名・呼称を「ダイアベティス」へと見直す動きについても、わかりやすく説明されています。治療薬の選択においては、複数の症例を通じて具体的かつ実践的に解説されており、専門医にとっても「確かにその通りだ」と共感できる内容が随所に見られます。さらに、合併症や併存疾患への対応についても、実際の診療に直結する示唆に富んでおり、どのように説明・紹介すべきかを具体的に学ぶことができます。エビデンスに基づきながらも著者の私見が随所に盛り込まれており、まさに“実臨床に即した虎の巻”といえるでしょう。

本書の著者である順天堂大学医学部附属静岡病院の野見山崇先生は、私と同じ平成7年卒の同期ということ、また糖尿病合併症研究に携わる同士として、さらには同じ中部地区で糖尿病診療に従事する仲間として、普段から大変仲良くしていただいております。その野見山先生が、本書のような糖尿病学全般を俯瞰した包括的な書籍を上梓されたことに、驚きとともに深い敬意を表します。なお、先生のお人柄については“おわりに”にもよく表れておりますので、ぜひご一読いただきたいと思います。そこには、すべての医師が診療において大切にすべき“人”としての姿勢が示されています。

本書は、糖尿病学を志そうとしている若い先生方や、糖尿病をご専門ではない一般内科の先生方またメディカルスタッフの方が対象になっているようですが、専門医にとっても改めて学びを得られる内容となっています。糖尿病診療の目標は、健康寿命の延伸にあります。本書を通じて理解が一層深まり、わが国における糖尿病診療の均てん化が進むことを期待しております。

愛知医科大学医学部内科学講座糖尿病内科 神谷英紀


はじめに

糖尿病診療の進化と深化

糖尿病学がこんなにも広く深く、また重要視される時代が来るとは誰が予想できたでしょうか。筆者が医師になった1995年、糖尿病治療薬はスルホニル尿素薬とインスリンしかありませんでした。ビグアナイド薬もありましたが、当時は「乳酸アシドーシスが怖くて使いにくい薬」とされていました。あの頃の血糖コントロールは、とにかくインスリンを3回、4回自己注射することを熱心に指導し、厳格な食事・運動療法を強いるというもので、今でいう“乖離的スティグマ”の押し付けだったのかもしれません。さらに、低血糖になると「良かったですね。血糖コントロールが良くなってきた証拠ですよ!」と、今では心血管イベントのリスクを上昇させているとされるインシデントを普通に喜んでいました。当時は“超マイナー”な内科の一疾患であった糖尿病の診療を生業とする我々の肩身は狭く、糖尿病内科は暇な人が入局する診療科、急変が苦手な人が入局する診療科と揶揄されていました。しかし、その状況が一変したのが1998年、わが国の透析導入の原因疾患第1位が糖尿病性腎症になったことです。筆者はちょうどこの年に順天堂大学医学部代謝内分泌学講座・河盛隆造先生の門下生となり、その後糖尿病学が驀進していくのを肌身で感じながら、診療と研究に邁進してきました。また、新たな糖尿病治療薬の発展が糖尿病学の進化と深化に大きく貢献してきたことは言うまでもありません。多種多様でユニークな治療薬が臨床応用され、血糖を下げるための糖尿病治療薬が、血管や腎臓をも護れるようになりました。さらに、ダイアベティス・ケアは医学的な治療を超えて、ダイアベティス(糖尿病)と共に歩む人の人生をより豊かにするためのアドボカシー活動も重要視されるようになり、まさに血糖管理は人生設計といえる時代がやって来たのです。

本書に込めた思い

そんな糖尿病診療激動の時代を生きてきた一人の糖尿病医(Diabetologist)として、自分史の一部ともいえる一冊を執筆させていただける機会を今回享受しました。第1章では糖尿病に関する基本的な知識を整理し、第2・3章では糖尿病治療薬の筆者流の具体的な投薬方法を解説し、第4章では糖尿病のある人に関わる高血糖以外の病態に対する対処法を可能な限りわかりやすくまとめています。本書は、これから糖尿病学を志そうとしている若い先生方や、糖尿病がご専門ではない一般内科の先生方、メディカルスタッフで糖尿病診療に興味をお持ちの糖尿病療養指導士(CDE:Certified Diabetes Educator)の皆様などを対象に執筆しました。読み始める前に、必ず心に留めて置いていただきたいことは、本書の内容がすべて筆者の私見であることです。日本糖尿病学会の評議員、JADECの理事という筆者の肩書とは一切関係ないことを十分にご理解ください。

本書の内容を、読者の皆様の明日からの糖尿病診療に少しでもお役立ていただければ幸いです。

2026年4月
順天堂大学医学部附属静岡病院糖尿病・内分泌内科
野見山崇

目次

第1章 糖尿病概論
糖尿病とは
病態の本陣は膵β細胞の体質にあり
糖尿病発症の促進因子、意外な存在とは
糖尿病の分類
“糖のながれ”を読み解く
糖尿病の診断と検査
糖尿病の診断基準
血糖コントロールの指標
内因性のインスリン分泌能を測定する
インスリン抵抗性を測定する
糖尿病の合併症と併存疾患
糖尿病性神経障害
糖尿病網膜症
糖尿病性腎症
動脈硬化性疾患
がん
歯周病
認知症
サルコペニア・フレイル
心不全
感染症
アドボカシー活動
糖尿病にまつわるスティグマ
“ことば”を見直すプロジェクト
“糖尿病”から“ダイアベティス”へ病名・呼称の変更
その他のアドボカシー活動

第2章 糖尿病治療薬のファーストチョイス
症例1 やせ型2型糖尿病のファーストチョイス
難易度★☆☆☆☆
症例2 肥満2型糖尿病のファーストチョイス
難易度★★☆☆☆
症例3 DPP-4阻害薬が使えないやせ形の症例
難易度★★☆☆☆
症例4 メトホルミンが使えない肥満の症例
難易度★★★★☆
症例5 やせ形か肥満か迷う症例①
難易度★★★☆☆
症例6 やせ形か肥満か迷う症例②
難易度★★★☆☆

第3章 糖尿病治療薬のセカンドチョイス
症例1 やせ形の症例の次の一手①
難易度★★☆☆☆
症例2 やせ形の症例の次の一手②
難易度★★☆☆☆
症例3 肥満2型糖尿病の次の一手①
難易度★★★☆☆
症例4 肥満2型糖尿病の次の一手②
難易度★★★★☆

第4章 高血糖以外の病態への治療薬
高血圧症
脂質異常症
糖尿病性腎症
糖尿病性神経障害
脂肪肝
動脈硬化

索引
おわりに

執筆者一覧

■著
野見山崇 順天堂大学医学部附属静岡病院糖尿病・内分泌内科教授

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