パーフェクト 前十字靭帯再建術(ACL)

    定価 13,200円(本体 12,000円+税10%)
    編集石橋恭之
    弘前大学大学院医学研究科 整形外科学講座教授
    黒田良祐
    神戸大学大学院医学研究科 外科系講座整形外科学教授
    前達雄
    大阪大学大学院医学系研究科 運動器スポーツバイオメカニクス学共同研究講座特任教授
    B5判・289頁
    ISBN978-4-7653-1841-9
    2020年10月 刊行
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    前十字靭帯(ACL)再建術の決定版!

    内容紹介

    膝関節のスポーツ外傷の中でもACL損傷は特に頻度が高く、ACL損傷は再建術が必須であり、かつ適切な治療・リハビリテーションを行わない場合、再受傷するリスクが非常に高い怪我です。

    本書は前十字靭帯(ACL)再建術の歴史・機能にはじまり、疫学・受傷機転・自然経過、診断・評価、再建術、合併症対策、リハビリテーションと術者として知っておくべき基本事項を網羅しており、本書を通読することで、ACL再建術の入り口から出口までを一冊で学ぶことができます。

    膝関節に携わる整形外科医必携の一冊です。

    序文

    膝前十字靭帯(ACL)は、スポーツ活動において高い頻度で損傷し、膝関節の安定性と機能を改善するために手術が行われる。整形外科の一般的な変性疾患に対する治療では、日常生活における疼痛改善と生活レベルの向上が目標となる。しかし、スポーツ外傷に対する治療は日常生活動作を目標とするのではなく、元のスポーツレベルへの復帰が期待されるため、当然、治療する側に高い技術と多くの知識が要求される。また、半月板損傷、軟骨損傷や他の靭帯損傷等を合併することも多く、正確な診断能力と合併損傷に対する適切な治療能力、さらにはスポーツ復帰までの術後リハビリテーションに関する知見や復帰時期の判断力も必要となる。したがって、ACL損傷を治療するスポーツ整形外科医は、包括的な知識を持ってその治療を行う必要がある。

    本分野に関する研究は昔から多くなされ、中でもACL付着部の解剖学的研究は再建術式に大きな影響を与え、正常ACLの機能に近似したACLが再建可能となっている。従来のACL再建術は、術後の再建靭帯への過負荷を嫌い、屈曲伸展運動にて靭帯の伸張が少ない等尺性再建術が行われてきたが、付着部の肉眼的・組織学的研究の成果により解剖学的再建術へと変遷した。さらに、太い1本の靭帯を再建する一束法から複数本の線維束を再建する二・三重束法や長方形の骨孔を作製する長方形骨孔法など、ACLの線維配列や付着部を模した再建術が行われるようになった。

    海外では、未だACL再建術を行っても変形性関節症への進行は止められないと考えている整形外科医が多くいるが、正しい知識を持ち、適切な時期に解剖学的な再建術を行えば、変形性関節症性変化を防ぐことできると確信している。本領域において日本は間違いなく世界をリードしている。日本の第一線で活躍されている先生方がACLに関する最新の知識を凝集させた本書が、ACL再建術並びに術前・術後リハビリテーションに携わる医療従事者のバイブルとなることを切に願う。

    石橋恭之
    黒田良祐
    前達雄

    目次

    第1章 解剖と機能
    1.ACL歴史的背景
    2.ACLの解剖
    3.靭帯のバイオメカニクス
    4.ACLのバイオメカニクス
    5.靭帯修復・再建の基礎
    6.再建膝の安定性の変化

    第2章 疫学・受傷機転・自然経過
    1.ACL損傷の疫学
    2.受傷機転
    3.ACL損傷の危険因子
    4.ACL損傷膝の自然経過

    第3章 ACL損傷の診断・評価
    1.ACL損傷の診断・評価
    2.ACL損傷の画像診断
    3.ACL損傷膝・再建膝の定量的評価法、機能的評価法

    第4章 治療
    1.ACL損傷膝の保存治療
    2.ACL再建の適応と再建法の概要
    3.膝蓋腱によるACL再建
    4.ハムストリング腱によるACL再建
    5.その他の自家腱によるACL再建
    6.同種腱によるACL再建
    7.遺残組織を温存した再建術
    8.小児ACL損傷の治療-小児ACL再建術の適応と手術方法-
    9.ACL修復術

    第5章 合併症とその対策
    1.ACL損傷再受傷の現状
    2.ACL再損傷・不全膝の治療
    3.骨欠損に対する対応
    4.半月板損傷に対する治療
    5.軟骨損傷に対する治療
    6.MCL損傷の治療
    7.複数回手術例への対応
    8.二次性関節症に対する治療
    9.ACL再建後の感染の治療

    第6章 リハビリテーション
    1.術前リハビリテーション
    2.術後リハビリテーション
    3.動作評価の基本
    4.再受傷予防を目指したリハビリテーション

    執筆者一覧

    ■編集■
    石橋恭之  弘前大学大学院医学研究科整形外科学講座教授
    黒田良祐  神戸大学大学院医学研究科外科系講座整形外科学教授
    前達雄   大阪大学大学院医学系研究科運動器スポーツバイオメカニクス学共同研究講座特任教授

    ■執筆者一覧■
    山本祐司  弘前大学大学院医学研究科整形外科学講座准教授
    鈴木大輔  北海道千歳リハビリテーション大学健康科学部教授
    藤江裕道  東京都立大学大学院システムデザイン研究科教授同大学医工連携研究センターセンター長
    新井祐志  京都府立医科大学大学院医学研究科スポーツ・障がい者スポーツ医学准教授
    原邦夫   JCHO京都鞍馬口医療センター整形外科主任部長兼スポーツ整形外科センター長
    井上裕章  京都府立医科大学大学院医学研究科運動器機能再生外科学学内講師
    三浦和知  弘前大学大学院医学研究科リハビリテーション医学講座講師
    古賀英之  東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科運動器外科学分野教授
    中瀬順介  金沢大学大学院整形外科助教
    土屋弘行  金沢大学大学院整形外科教授
    木村由佳  弘前大学大学院医学研究科整形外科学講座助教
    松下雄彦  神戸大学大学院医学研究科整形外科講師
    荒木大輔  神戸大学大学院医学研究科整形外科助教
    星野祐一  神戸大学大学院医学研究科整形外科助教
    中前敦雄  広島大学病院整形外科准教授
    安達伸生  広島大学大学院医系科学研究科整形外科学教授
    橘優太   大阪労災病院スポーツ整形外科医長
    史野根生  行岡病院スポーツ整形外科センター長
    入内島崇紀 上牧温泉病院整形外科
    相川淳   北里大学医学部整形外科講師
    東山礼治  茅ヶ崎中央病院整形外科部長兼北里大学医学部整形外科学助教
    近藤英司  北海道大学病院スポーツ医学診療センター教授・センター長
    安田和則  八木整形外科病院名誉院長兼附属スポーツ医学・関節鏡センターセンター長
    佐々木静  弘前大学大学院医学研究科整形外科学講座助教
    田代泰隆  九州労災病院スポーツ整形外科副部長
    武冨修治  東京大学大学院医学系研究科整形外科学講師
    中川匠   帝京大学医学部整形外科講座教授
    古松毅之  岡山大学病院整形外科講師
    石川正和  広島大学大学院医系科学研究科人工関節・生体材料学准教授
    出家正隆  愛知医科大学医学部整形外科学講座主任教授
    野崎正浩  名古屋市立大学整形外科講師
    中山寛   兵庫医科大学整形外科学教室講師
    大西慎太郎 兵庫医科大学整形外科学教室助教
    熊橋伸之  松江赤十字病院整形外科部長
    相澤純也  順天堂大学保健医療学部理学療法学科先任准教授
    木村佳記  大阪大学医学部附属病院リハビリテーション部
    小柳磨毅  大阪電気通信大学医療健康科学部理学療法学科教授
    伊藤郁恵  弘前大学大学院医学研究科リハビリテーション医学講座理学療法士
    津田英一  弘前大学大学院医学研究科リハビリテーション医学講座教授
    大見頼一  日本鋼管病院リハビリテーション技術科副科長
    川島達宏  いちはら病院リハビリテーション科理学療法士長

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