死体検案ハンドブック
第4版

    定価 7,700円(本体 7,000円+税10%)
    編著近藤稔和
    和歌山県立医科大学医学部法医学講座
    木下博之
    香川大学医学部・医学系研究科法医学講座
    A5判・403頁
    ISBN978-4-7653-1823-5
    2020年03月 刊行
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    死体検案に必要な知識がこの一冊に。好評書籍の最新版。

    内容紹介

    死体検案のノウハウをコンパクトにまとめた好評書の最新版。死因究明等推進基本法の成立・死後画像診断の活用など、大きく変化している法医学の最新状況に対応。カラー写真・資料を豊富に掲載し、実務ですぐ使える内容で、法医学専門家のみならず、法律家・医師・学生から警察関係者まで本領域に携わる方は是非とも手元に置いておきたい一冊。

    ■特設サイト
    本書16章の死後画像診断の補足画像・症例を公開しています → https://www.kinpodo-pub.co.jp/forensic4/

    序文

    本書は、これまでの机上で用いることを主眼とする、いわゆる「法医学の教科書」から脱皮し、講義室のみならず実務現場でいつでも取り出せて、一目で理解できることを目的とした「ハンドブック」である。法医学に携わる初心者からベテランの医学・医療関係者のみならず、警察や司法関係者も含めた幅広い層を対象としており、可能な限り文書表現は平易にし、視覚に訴える写真や図表を多数盛り込むという編集方針で、2005年5月に出版された第1版以降も多数の方々にお読みいただき、改訂を重ねてきた。2014年3月には、いち早く死後画像診断と大規模災害の項を加え、第3版が出版された。第1版の出版当時、最年少の執筆者として、右も左もわからず仲間に入れていただき、諸先輩方に必死について行ったことが思い出される。

    第1版から15年もの月日がたち、執筆された多くの先生方が退職されたことで、第4版では、このハンドブックの生みの親ともいえる大阪大学名誉教授の的場梁次先生に代わり、香川大学教授木下博之先生に編著に加わっていただき、執筆者の大幅な若返りを図った。したがって、過去2回よりも大きな改訂作業であり、さらに生化学検査の法医学への応用や後継者育成に関する新項目を設けるなど、内容的に斬新なものとなったと言っても過言ではない。

    近年、犯罪の多様化に加えて、児童虐待や少子高齢化に伴う高齢者の変死事例の増加により、異状死体数は年間約17万体にも及んでいる。さらに、阪神大震災以後、東日本大震災のみならず、台風や噴火といった大規模災害が数年おきに発生するなど、決して稀な事象とは言えなくなった。そのような状況において、法医学者や監察医・警察医のみならず、一般臨床医・救急医にとっても死体検案の機会が増加している。しかも、異状死体に対する死体検案・解剖は、医師が実施すべき「医行為」であることが2015年の参議院文教科学委員会で明言されたことから、診断の伴う死体検案または解剖は、臨床医の医療行為と同列に位置づけされたことになり、より専門性が問われるものとなっている。また、我が国においても法医看護学が周知され、看護師の方々も基本的な法医学的知識を求められることも多くなってきた。さらに、自身の経験からも、警察捜査や司法の場において、客観的法医学的証拠の重要性が求められる機会が増えたことからも、警察・司法関係者にとっても、従来以上に馴染みやすい内容になったと言える。もちろん、医学生にとっても、法医学に関してはこの本一冊で講義・実習に対応できるだけでなく、卒業後、役立つ内容を盛り込んだものとなっている。

    最後に、木下先生はじめ、執筆いただいた諸先生方、金芳堂 黒澤健 氏並びに編集作業に協力していただいた和歌山県立医科大学 石上安希子先生、川口真理子女史に深甚なる感謝の意を表したい。

    2020年2月
    近藤稔和

    目次

    序 死因究明のための医行為と死因究明等推進基本法
    1 死体及び死体発見現場の見方
    2 死体現象・死後経過時問
    3 生活反応
    4 損傷の見方
    5 窒息死体の見方
    6 中毒死体の見方
    7 異常環境温度に基づく変化
    8 内因性急死
    9 乳幼児突然死症候群
    10 嬰児殺
    11 児童虐待
    12 遺伝標識とその応用 1 物体検査
    13 遺伝標識とその応用 2 個人同定
    14 遺伝標識とその応用 3 血液型およびDNA型
    15 性の法医学
    16 死後画像診断
    17 死体の生化学検査
    18 診療関連死
    19 大量災害
    20 死体検案書の書き方
    21 死体検案医の育成
    22 検案等をめぐる法的諸問題

    執筆者一覧

    ■編著
    近藤稔和  和歌山県立医科大学教授
    木下博之  香川大学医学部教授

    ■著(執筆順)
    的場梁次  大阪大学名誉教授
    宮石智   岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授
    池松和哉  長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授
    前田均   大阪市立大学名誉教授
    青木康博  名古屋市立大学大学院医学研究科教授
    赤根敦   関西医科大学教授
    清水惠子  旭川医科大学教授
    石川隆紀  大阪市立大学大学院医学研究科教授
    大澤資樹  東海大学医学部教授
    林敬人   鹿児島大学大学院医歯学総合研究科教授
    福永龍繁  東京都監察医務院顧問・科学警察研究所所長
    竹下治男  島根大学医学部教授
    井濱容子  横浜市立大学大学院医学研究科教授
    鈴木廣一  大阪医科大学教授
    佐藤貴子  大阪医科大学准教授
    兵頭秀樹  北海道大学大学院医学研究院准教授
    村上友則  長崎大学大学院医歯薬学総合研究科助教
    石上安希子 和歌山県立医科大学助教
    道上知美  岐阜大学大学院医学系研究科教授
    田中圭二  香川大学名誉教授・弁護士

    ■編集協力
    石上安希子 和歌山県立医科大学助教

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