あたらしい検案・解剖マニュアル

    定価 7,480円(本体 6,800円+税10%)
    池谷博
    京都府立医科大学教授
    櫻田宏一
    東京医科歯科大学教授
    A4判・150頁
    ISBN978-4-7653-1759-7
    2018年11月 刊行
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    将来の法医鑑定を担う次世代の医師・歯科医師に!法医解剖を経験していない方でも、臨場感を持って法医実務を学べる!

    内容紹介

    ・法医学・法歯学・法科学の分野で、鑑定に必要な基本事項を俯瞰できる内容となるよう、著者一人の視点で執筆した。
    ・法医学はどんなシステムの上に成り立っているのか、実際の解剖はどのようにするのか、検査の具体的な方法、様々な事例をどのように診断するのか、などを記載した。
    ・病理検査しか行っていない教室もあるが、基本的な検査を警察の一組織である科捜研に依頼するのは実は好ましいことではない。中立性公平性の観点から、解剖やそれに関する検査は、大学などの独立した機関で行えるようにするのが妥当である。
    ・従来、法医解剖は職人の「のれん分け」のような形で伝授されてきており、教室ごとに異なる部分が多く、そのレベルも検査内容もさまざまである。
    ・本書では、すべての検査を行うことを目指してきた京都府立医科大学の現状をオープンにした。
    ・医師・歯科医師にはこの本をきっかけに病理学、中毒学、法科学の成書へと是非読み進んでもらいたい。そして是非とも将来の法医鑑定を担ってもらいたい。

    読者対象
    ・学生
    ・医師
    ・歯科医師
    ・法曹関係者
    ・警察官
    ・海上保安官
    ・消防士

    序文

    私が法医学の世界に足を踏み入れたのは1999年のことである.

    当時臨床医として働いていた私は,教授から「大学院で何をやりたいか?」と聞かれたときに,ふと法医学が頭をよぎったのである.もともと法曹界を目指していた私は,医師になっても法曹界に貢献できる分野があると気がついたのである.

    しかし,当時の法医学の現実を見て愕然とした.大学院生として入学してみると,文化勲章を受章した古畑教授や,免疫学教室を誕生させた法医学の絶頂期ははるか遠くに過ぎ去り,法医学教室には研究費もなく,近くの粗大ごみ置き場から他の教室が捨てた機械を拾って来て使っているありさまだった.その中で先生方が明日の法医学を支えるべく必死に努力をしていた.なぜ?素朴な疑問がわいてきた.この答えも本書を読むとわかってくるのではないかと思う.

    法医学には多くの教科書がある.その中で私が名著であると思う教科書に錫谷 徹著「法医診断学」がある.この本が良い点は一人ですべての項目を書いているということである.一人で書くということは,全体としてバランスがよく,何が重要なのかが分かりやすい.今回,このような教科書を執筆する機会を金芳堂様より頂いたことに深く感謝するとともに,2008年に錫谷先生の出身である京都府立医科大学に教授として赴任することになったことも何かの縁を感じている.

    本書は,錫谷先生の名著とは比べるべくもないが,法歯学と法科学のスペシャリストである櫻田教授の力もお借りして,法医学・法歯学,そして法科学の各分野で,なるべく一人の視点で鑑定に必要な基本的事項を俯瞰できる内容にするよう務めた.本書の対象は医学生や法医学に初めて足を踏み入れた医師・歯科医師だけでなく,警察嘱託医,消防士,海上保安官,裁判官,検察官,弁護士といった法曹界の人などを主な対象としている.法医学はどんなシステムの上に成り立っているのか?実際に解剖をどうやってするのか?検査には具体的にどんなことをやっているのか?様々な症例をどのように診断しているのか?こうした一連の初歩的なことを記載した教科書は意外にも非常に少ない.

    法医解剖は職人ののれん分けのような形で伝授され,各々の教室で異なる部分が多い.また検査に関しては,病理検査以外全く行っていない教室も多い.少ない人数がゆえにそのレベルもさまざまである.

    しかし,解剖やそれに関する検査は,中立性公平性の観点からは,大学などの独立した機関で行うのが妥当であり,基本的な検査は警察の一組織である科捜研に依頼するのは好ましくない.

    京都府立医科大学に着任して10年,すべての検査をできる限り法医学教室で行うことを目指してきた.はじめは医師1人だった教室も今では医師6名,歯科医師2名を含む大きな教室に育ってきた.彼らは,解剖はもちろん,すべての基本的検査を行うことができる.

    本書を広げてみると,「この程度のことですか」と思われる人もいると思う.その批判は甘んじて受ける覚悟でこれが法医学の現状だとオープンにした.しかし,我々も大学の名前にふさわしい内容となるべく日々努力を続けている.その意味で寛容になっていただければと思う.

    そして,医師・歯科医師にはこの本をきっかけに病理学,中毒学,法科学の成書へと是非読み進んでもらいたい.そして是非とも将来の法医鑑定を担ってもらいたい.

    目次

    第1章 法医学・法歯学の歴史と死亡の現状
    1.法医学・法歯学の歴史
    2.日本における死亡の現状

    第2章 死因と解剖の種類
    1.死因診断の重要性と困難性
    2.死因究明ツールとしての解剖

    第3章 外表所見
    1.身長、体重、体格、栄養状態
    2.皮膚の色
    3.死斑
    4.死体硬直
    5.深部体温(直腸温)
    6.身体各部位の記載
    7.晩期死体現象
    8.白骨死体の性別・年齢・身長推定法
    9.水中死体の外表所見
    10.カスパーの法則

    第4章 損傷
    1.損傷所見の取り方
    2.生活反応
    3.損傷の解釈

    第5章 死後CT撮影
    1.画像診断の流れ
    2.機器の選択と撮影法
    3.撮影の注意点
    4.CT診断の効果

    第6章 解剖の仕方
    1.皮切の仕方・皮下組織の観察
    2.臓器の取り出し方

    第7章 解剖に伴う各種検査法
    1.死体の血液生化学検査
    2.血液型検査
    3.エタノール検査
    4.薬毒物検査
    5.精液検査
    6.血中一酸化炭素ヘモグロビン飽和度検査
    7.プランクトン検査
    8.DNA型検査
    9.その他の検査

    第8章 歯科所見採取の仕方
    1.死後記録の作成
    2.デンタルチャートの記載法
    3.咬傷(バイトマーク)

    第9章 死亡診断書・死体検案書
    1.死亡診断書・死体検案書の発行
    2.死亡診断書・死体検案書の書き方
    3.死胎検案書の発行

    第10章 鑑定書の書き方・綴じ方および訂正の仕方
    a)「第1章 諸言」
    b)「第2章 検査記録」
    c)「第3章 説明」
    d)「第4章 鑑定」
    e)鑑定書の綴じ方
    f)鑑定書の訂正の仕方

    第11章 症例とそのポイント
    1.刃物の刺さった死体 【心臓刺創】
    2.頭部に傷のある死体 【頭蓋内出血】
    3.屋外で倒れていた死体 【銃創】
    4.室内で倒れていた死体 【嘔吐物吸引による死】
    5.火災現場で発見された死体 【焼死】
    6.水中で発見された死体 【溺死】
    7.冬季、屋外で発見された死体 【低体温死】
    8.浴室内で発見された死体 【薬物中毒死】
    9.屋外で首をつっていた死体 【縊死】
    10.自動車内で発見された死体 【一酸化炭素中毒死】
    11.急な意識消失後の死亡 【心筋梗塞による心破裂・心タンポナーデ】
    12.出産中の死亡(産科の突然死) 【羊水塞栓症】
    13.受診後の死亡(医療関連死)【出血による気道閉塞】
    14.白骨死体 【年齢、性別、身長推定】
    15.咬傷のある死体 【虐待死】

    執筆者一覧

    ■著者
    池谷 博 京都府立医科大学教授
    櫻田宏一 東京医科歯科大学教授

    トピックス

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