医療情報を見る、医療情報から見る エビデンスと向き合うための10のスキル

  • 新刊
定価 3,080円(本体 2,800円+税10%)
青島周一
医療法人社団 徳仁会 中野病院 薬剤師
A5判・163頁
ISBN978-4-7653-1807-5
2020年01月 刊行
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論文読解のポイントは国語の授業にあった!10のスキルで読み解け最新エビデンス。磨けリテラシー!

内容紹介

論文精読のゼミで読解法を習ったことがなかったとしても年々増加する学術論文、どんどん更新される添付文書、新しくなる成書を吟味して読むことは医療系の道を進む以上避けては通れません。読解のポイントは統計学の知識だけではありません。統計学の正確な知識を身につける前に文章読解のリテラシーを高めてみませんか?

科学的な文章を読むためには身につけるべき10個のスキルがあります。レトリック、経済や人口学的なバイアス、心理的なバイアスなどなど、統計学の教科書を積み上げる前に、まずは本書を読んで基礎力を高めよう。

序文

――傘をさすことは、薬をのむことと似ている

いつだったか、僕の友人はそう言いました。例えば天気予報を確認したところ、今日の降水確率が50%だったとしましょう。あなたは傘を持って家を出るでしょうか? それとも傘を持たずに家を出るでしょうか? あるいは、降水確率が何%だったら、あなたは確実に傘を持って家を出るでしょうか?

降水確率という情報によってもたらされる人の意思決定は、一律には規定できないことが分かると思います。つまり同じ情報を前にしても、人の感じ方、実際の振る舞いは、情報を受け取る人の関心や価値観によって、個別性を帯びているということです。そして、薬やサプリメントを飲むかどうかという判断もまた、医療や健康に関する情報に強く影響を受けているように思います。

情報が人の行動に影響を与えるのならば、情報は常に正しい情報でなくてはならないという直観があります。偽の情報に惑わされることに有益性は少ないでしょう。とはいえ、どのような情報が正しい情報と呼べるものなのでしょうか。情報の良し悪しを評価することは、その分野の専門家であれば容易なことなのかもしれません。しかし、どれだけ質の高い情報があったとしても、その情報を解釈するのが人である限り、客観的、あるいは普遍的に「正しい情報」はこの世界には実在しない、そんなふうにさえ思います。

質の高い医学情報、いわゆるエビデンスを読み続ける中で僕がたどりついたのは、これまで自分が学んできた医学的な常識と言うものは、あくまで局所的な正しさに過ぎない、そんなことだったように思います。大事なのは情報が正しいか否かではないのかもしれません。”情報によって、幸せになれるかは、人それぞれだよね” という理解こそが、情報との向き合い方において大切なのだと思います。

本書はウェブマガジン、地域医療ジャーナル(https://cmj.publishers.fm/)で連載していた「事例から学ぶ疫学入門(2015年9月~2016年9月)」及び「医療情報を読み解くための国語ゼミ(2018年7月~2018年11月)」をもとに、大幅な加筆訂正を加えたものです。医療・健康情報の質を見極めるために必要な考え方を10のスキルとしてまとめました。本書が、医療従事者のみならず、医療・健康情報に関心のある全ての人とって、情報との向き合い方の一助となれば幸いです。

執筆にあたり金芳堂編集部の浅井健一郎さんには大変お世話になりました。本書の企画構成から、原稿内容を細部まで確認いただき、適切なご指摘をいくつも賜ることができたのは、書き手として貴重な経験となりました。また、地域医療ジャーナルでの連載機会を頂くことが無なければ、本書は存在しなかったでしょう。編集長の福士元春先生に、あらためて感謝を申し上げます。

目次

はじめに 医療・健康情報を読み解くための基本的な考え方、情報の文脈依存性と不確実性
第1のスキル 「事実」と「意見」そして議論の「主題」と「前提」を読み解くスキル
第2のスキル 情報内容の一般化が可能かを読み解くスキル
第3のスキル 効果の背後に潜む様々な要因を想像するスキル
第4のスキル 論証の妥当性と根拠の質から情報の信頼性を読み取るスキル
第5のスキル 妥当性の高い研究データを判別するスキル
第6のスキル 交絡を見抜き介入効果の大きさを考察するスキル
第7のスキル 偶然の影響やバイアスの存在を想像するスキル
第8のスキル 情報を偏りなく解釈し多角的に考察するスキル
第9のスキル 前提を疑い「本当はどうなっているのだろう」と問いを立てるスキル
第10のスキル エビデンスを効率よく検索するスキル

執筆者一覧

■著者
青島周一 医療法人社団 徳仁会 中野病院薬剤師

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