やっくん先生の そこが知りたかった 中毒診療 ~だから中毒診療はおもしろいんよ~

  • 新刊
定価 3,300円(本体 3,000円+税10%)
薬師寺泰匡
A5判・136頁
ISBN978-4-7653-1805-1
2020年02月 刊行
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みんな苦手な中毒診療の“攻略本”

内容紹介

中毒診療は、現場に入るまでに、実務的なことをしっかり学ぶ機会があまりありません。そのため、現場に入って困る場面にたくさん遭遇します。

「病歴聴取できないよ…」
「警察呼ぶの?呼ばないの?」
「拮抗薬って覚えなきゃいけないの?」
「患者さん、暴れているやん!」

このような困った経験を繰り返すうちに、多くの方は、中毒診療が嫌いになり、苦手意識を持つようになります。

本書は、中毒診療について、どうすれば良いのか体系化された方法を、わかりやすく伝えています。また、中毒診療の実務に役立つ“攻略本”のような書籍になることを目指し、正攻法から裏技的な方法まで紹介しました。中毒診療に携わる医師や研修医、そして、看護師、薬剤師に役立つ一冊です。

序文

皆さん、中毒診療はお好きでしょうか?おそらく、中毒診療は、好きでたまらないという人か、苦手な人に分かれる分野ではないかと思われます。僕も初めて日本中毒学会の学術集会に参加した時、かなりマニアックな世界だなと感じたものです。一方で、日常診療において中毒はありふれており、普段使用している馴染み深い薬剤も、中毒起因物質となる可能性を秘めています。

中毒診療については、おそらく大学などで講義を受ける機会がありますが、多くは比較的遭遇する頻度の高い薬毒物の話や、数少ない解毒薬や拮抗薬の話になるのではないかと思います。大事な知識ですが、普段研修医の指導をしている際に、実際に中毒診療をどのように行えばよいかということがイメージできている研修医は少なく、もう少しここの部分は補填する必要があるのではないかと感じておりました。要するに、自分自身が困ったこと、研修医が困っていることに対する回答が必要なのです。

「病歴聴取できない…」
「警察呼ぶの?呼ばないの?」
「拮抗薬って覚えなきゃいけないの?」
「患者さん、暴れているやん!」

このような困った経験を繰り返すうちに、多くの方は、中毒診療が嫌いになり、苦手意識を持つようになります。苦手だから手をつけたくないと避けていると、最終的に患者さんの不利益となりますので、なるべく多くの方に中毒診療に興味を持ってもらいたいという気持ちから生まれたのが本書です。中毒診療に苦手意識を持つ医師や研修医、そして、看護師、薬剤師にも、ぜひ読んでもらいたいです。

中毒診療は複雑なものではなく、体系化された方法を身につければ対処できます。本書では、その方法を、できるだけわかりやすく伝えることに努めました。また、中毒診療の実務に役立つ“攻略本”のような書籍になることを目指し、正攻法から裏技的な方法まで紹介しました。

この本のタイトルに、「だから中毒診療はおもしろいんよ」とつけています。僕自身、本当におもしろいものだと感じています。読者の皆さんも、本書を読んで中毒診療に触れ、中毒診療がうまくいく楽しさを感じていただけたらと思います。

もっと深めたいと思えば、果てしなく広がる中毒診療の世界を解説した良書がたくさんありますので、この本をきっかけにしていただければ幸いです。1人でも困っている医療従事者、そして患者さんが減りますよう、願いを込めて本書を贈ります。

2020年2月
薬師寺泰匡

目次

第1章 中毒の話 基本原則
1-1 中毒診療は嫌われている?
1-2 中毒診療はこれだけでいい

第2章 ABCDEアプローチ
2-1 「ABCDEアプローチ」とは?
2-2 A(Airway:気道)へのアプローチ
2-3 B(Breathing:呼吸)へのアプローチ
2-4 C(Circulation:循環)へのアプローチ
2-5 D(Dysfunction of CNS:意識障害)へのアプローチ
2-6 E(Exposure and Environmental control:脱衣と体温管理)へのアプローチ

第3章 病歴聴取と身体診察
3-1 病歴聴取
3-2 中毒であるとわかっている場合は
3-3 身体診察

第4章 検査
4-1 血糖測定
4-2 血液ガス検査を使おう
4-3 心電図
4-4 簡易検査
4-5 浸透圧を測定しよう

第5章 除染・体外排泄を考える
5-1 催吐
5-2 胃洗浄
5-3 活性炭
5-4 強制利尿って役に立つのか?
5-5 血液浄化療法

第6章 拮抗薬・解毒薬
6-1 拮抗薬・解毒薬は知っておく
6-2 中毒起因物質や毒性代謝物の受容体を阻害する
6-3 失活した酵素を再活性化させる
6-4 中毒起因物質または毒性代謝物を無毒化させる
6-5 毒性代謝物への代謝を抑制する
6-6 毒性代謝物の代謝を促進する
6-7 中毒起因物質の排泄を促進する
6-8 中毒起因物質の薬理反応に対抗する

第7章 支持療法を行う
7-1 「ABCDE」に戻る
7-2 A(Airway:気道)の管理
7-3 B(Breathing:呼吸)の管理
7-4 C(Circulation:循環)の管理
7-5 D(Dysfunction of CNS:意識障害)の管理
7-6 E(Exposure and Environmental control:脱衣と体温管理)の管理
7-7 P(Psychiatric evaluation:精神科的評価)の管理
7-8 再企図は負け
7-9 入院を拒否されたら
7-10 精神科との連携をする

第8章 行政との協力
8-1 それはチクるといいことがあるのか
8-2 社会正義 vs 治療効果
8-3 守秘義務 vs 通報義務
8-4 届け出が決まっている場合もある
8-5 警察が証拠を求めている時は?
8-6 診察にならない時は?

第9章 実践中毒診療:急性アルコール中毒診療
9-1 日本で多い急性アルコール中毒
9-2 急性アルコール中毒の治療
 ① ABCDEアプローチ
 ② 病歴聴取と身体診察(トキシドロームを参考に)
 ③ 検査
 ④ 除染・体外排泄を考える
 ⑤ あれば拮抗薬・解毒薬を使う
 ⑥ 支持療法を行う
 ⑦ 行政との協力をする
9-3 お話できない人の対応
9-4 検査を拒否する患者さんに検査をしなくても良いか?
9-5 CURVES

おわりに
中毒診療の攻略法のまとめ
索引
著者プロフィール

コラム
・中毒診療のバイブルたち
・ホームズも愛したコカイン
・暴れる患者の鎮静法
・主訴:薬を盛られたかもしれない
・フグでゾンビ化

執筆者一覧

■著者
薬師寺泰匡

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