生涯論文!忙しい臨床医でもできる英語論文アクセプトまでの道のり

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定価 3,520円(本体 3,200円+税10%)
谷本哲也
A5判・204頁
ISBN978-4-7653-1779-5
2019年05月 刊行
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人生100年時代、医師として人として輝くために、英語論文を書き続ける

内容紹介

医師として人として輝くために、英語論文は、生涯を通じて取り組むだけの面白さや意義があります。しかし、医学部を卒業し、臨床現場に入っていくと、多くの人は論文執筆から離れていきます。
その中、著者は、大病院や大学に所属せずに、臨床医として働きながら執筆を続け、NEJM、the Lancet、JAMAなど数多くにアクセプトされ、150報以上に名を載せています。
本書は、著者が身につけた「執筆テーマへのアプローチの仕方」「共同研究者の見付け方、付き合い方」「国際共同での執筆の進め方」「英語・統計の勉強の仕方」「臨床研究の読み方・考え方」「症例報告、レター・オピニオン、原著論文の書き方」「投稿先の選び方」「査読コメントへの対応」など、英語論文アクセプトまでの実践的なノウハウを紹介した渾身の一冊です。

序文

本書は、「生涯論文!」をタイトルに掲げ、人生100年時代に英語論文の発表を長く続けるための、基礎的な知識の提供を目的としています。著者の私自身は、研究職ではなく医学博士も取っておらず、一般の診療所と病院で働く臨床医に過ぎません。ただし、普通の臨床医の立場でも、英語論文を発表することは十分可能ですし、生涯を通じて取り組むだけの面白さや意義があると信じています。論文執筆に関する類書は数多くありますが、大学などの研究者の立場からではなく、普通の臨床医の目から書かれた本はほとんどありません。そのため本書では、類書では触れられていない、臨床医が英語論文に取り組むための独自の工夫や考え方を特にご紹介しています。

本書の主な読者層としては、初期研修医や後期研修医、一般の診療所や病院で勤務している研究職以外の臨床医を想定しています。特に、英語論文に取り組み始めた若手臨床医だけでなく、英語論文から遠ざかっている中高年の臨床医の先生方にも是非手に取って頂きたいと考えています。また、もし英語論文の執筆に興味があれば、医学、看護学などを勉強している学生や看護師の方にも読んでもらえればと思います。

本書では、忙しい臨床の合間を縫って英文医学誌に少しでも発表する方法を、総合的な教科書というより、実例を用いた分かりやすい読み物としてご紹介します。論文のように簡潔明瞭で、枝葉末節を省いた文章には敢えてしていません。エッセイ風に、時には脱線したり、話を繰り返したり、冗長だったりしていますが、その方が伝えたいことがより分かって頂けるのではないかと考えています。そして、一般の臨床をしながらでも、 the New England Journal of Medicine (NEJM) や the Lancet、the Journal of the American Medical Association(JAMA) など、一流の英文臨床医学専門誌をしっかり読んで、英語論文の発表を目指したいという方に、執筆の参考となる技法や技術を提供しようと考えました。

私の英語論文に関する取り組みの特徴は、特別な研究費も時間もない中で、研究職でもないのに中年になっても活発に発表を行っていることにあります。さらに、一般的な原著論文だけではなく、世界トップレベルの臨床医学専門誌である NEJM や the Lancet とその姉妹誌、JAMA とその姉妹誌に、短いレターを中心に過去約10年間で70報以上を発表しています。その学問的意義はさておいて、これだけの本数を出すのは、日本はもちろん世界的にもかなり珍しい試みになるでしょう。まだまだ発展途上ですが、米国国立医学図書館が運営する学術文献検索サイト PubMed での私の名前の掲載数は、2018年までに150報以上に達しました。今後も共同研究者とともに、300、400、500報と発表出来るよう長く執筆活動を続けて行きたいと考えています。

本書の執筆に繋がったのは、2012年から続けている英語論文の発表を目指す「谷本勉強会」について、金芳堂編集者の西堀智子様に注目して頂いたのがきっかけです。この勉強会では、週1回夜22時頃から真夜中まで、所属機関や専門分野を限定せず、医師や看護師が集まって活動を行っています。勉強会といっても特別な形式はなく、それぞれがやりたいことをやって、私が多少アドバイスする程度の緩いものです。遠方や海外の参加者もいるので、電子メールやフェイスブック、スカイプも使って、診療の空き時間に遠隔でのやり取りも行っています。この勉強会は、参加するのも自由、辞めるのも自由で、もちろん給料は出ませんが、参加費を取ることもありません。私自身もこの活動で、特別な所得が発生したり、研究費を取得したりすることもありません。研究会を主宰して弟子を取る、ということではなく、個人と個人がフラットな関係で繋がって、共同作業を進めているイメージになります。

具体的には、NEJM や the Lancet などの一流の臨床医学専門誌を読んでレターを投稿したり、症例報告やオピニオン、臨床研究の原著論文をまとめたり、といった活動を行っています。特別な研究費はなく、大学などの大きな組織ではないので、大掛かりな前向き臨床試験のようなことは出来ませんが、個人単位で出来る面白そうなアイデアがあれば、選り好みはせず何でもやってみる方針です。そのため、私の専門は内科学、特に血液内科学になりますが、血液内科の専門医に限らず、小児科、産婦人科、外科や歯科など他科の先生と、さらには看護師や学生も一緒に英文専門誌での発表を行っています。

このような活動を5年、6年と続けて行くと、自分でも気付かないうちにノウハウが蓄積され、さらに、面白いと思って参加してくれる人たちも僅かながら増えてきました。特に強制力のある活動ではないので、やりたくない人に無理して論文を読ませたり書かせたりすることはしていません。飽くまで自発的に集まった人が、やる気を持っている限り一緒にするという形なので、見学に来た人も含めて、長く続く人は10人に1人いるかどうかです。それでも、診療の片手間で細く長くでも続けて来たおかげで、本書の出版の機会を頂くまでになりました。

本書では、普通の臨床医が英語論文に取り組む際の考え方、英語論文を読み書きするための周辺的な基礎知識、そして執筆から投稿、発表後の対応まで、実例を挙げながら幅広い内容を、読者の皆様が具体的に理解できるよう心掛けました。医学部を卒業してから二十年以上かかって、ようやく身に付けた私の実践的なノウハウが、少しでも皆様のご参考になればと考えています。

本書を読んで興味を持って頂ければ「谷本勉強会」の活動にご参加頂ければ有り難いですし、同じような活動を読者の方それぞれの現場で開始されるきっかけに繋がれば幸いです。よりよい人生、よりよい医療と社会のために、本書が少しでも役立つことを願っています。

2019年4月
谷本 哲也

目次

第一章 時間も研究費もない普通の臨床医でも、英語論文の発表は出来る!
第一節 「生涯論文!」への道

第二章 英語論文を書くための基礎知識
第一節 執筆テーマへのアプローチの仕方
第二節 共同研究者の見付け方、付き合い方
第三節 国際共同での執筆の進め方
第四節 英語・統計の勉強の仕方
第五節 研究不正:捏造、改ざん、盗用
第六節 利益相反を知る

第三章 論文を書くための英文医学専門誌の読み方
第一節 英文医学専門誌は何をどう読むか
第二節 臨床研究の読み方・考え方(1):評価項目
第三節 臨床研究の読み方・考え方(2):交絡因子
第四節 臨床研究の読み方・考え方(3):前後の治療
第五節 臨床研究の読み方・考え方(4):安全性
第六節 臨床研究の読み方・考え方(5):統計学的事項

第四章 英語論文を書く
第一節 症例報告のススメ
第二節 症例報告の書き方
第三節 レター・オピニオンのススメ
第四節 レター・オピニオンの書き方
第五節 原著論文の書き方の概要
第六節 序論・背景
第七節 方法
第八節 図表
第九節 結果
第十節 考察

第五章 いよいよ投稿!英語論文出版までの道のり
第一節 投稿先の選び方
第二節 投稿手続きの実際
第三節 査読コメントへの対応
第四節 受理から出版、プレス・リリース、その次の論文へ

あとがき
索引

執筆者一覧

谷本哲也
医療法人社団鉄医会ナビタスクリニック、公益財団法人ときわ会常磐病院、社会福祉法人尚徳福祉会、霞クリニック、株式会社エムネス、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所

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