ウイルスってなに?

    定価 1,980円(本体 1,800円+税10%)
    今西二郎
    京都府立医科大学大学院医学研究科教授
    四六判・164頁
    ISBN978-4-7653-1401-5
    2009年12月 刊行
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    内容紹介

    本書では、ウイルスとは何か、その特徴などについて述べ、さらにウイルスがどうして病気を起こすのか、ウイルスが生体に感染したときの防御機構はどのようになっているのか、について説明している。そして主なウイルス疾患の特徴、ウイルス感染症の治療や予防についても解説した。
    また、ウイルスは病気を起こすだけではなく、生活に役立っている面についても触れており、興味深い。馴染みのない領域であったウイルス学を身近に感じ、日々の生活の中で遭遇するウイルスに多少なりとも興味を持ち、最近世の中を脅かしているウイルスに関する流言飛語に惑わされることなく正しい知識を身につけることができる。医療従事者のみならず、一般読者にもお勧めする。

    序文

    ウイルスの研究は、日々進歩しており、私たち専門家にとっても、ウイルス学領域全般を捕捉するのは結構難しい。まして、一般の方にとっては、ウイルス学は馴染みのない領域かもしれない。

    しかし、ウイルスによって起こってくる病気は、私たちが日常、しばしば遭遇するものも結構多く、よく知られている。身近なウイルスによって起こってくる病気としては、インフルエンザ、はしか、水ぼうそう、手足口病、ウイルス性肝炎、ノロウイルス感染症、エイズなどがあり、非常に多い。

    天然痘(痘瘡)は、人類の手によって初めてこの世の中から駆逐された病気である。このようなことを聞くと、ウイルス感染症もしだいに克服されていっているのかなと思いがちである。現実は、それどころか、次々と新しいウイルスが、出現し、新しい病気をもたらしているのである。エイズ、重症急性呼吸器症候群(サーズ:SARS)、新型インフルエンザなどである。また、いったん廃れていたウイルスが再び出現してくることもある。

    このように、私たちはいつもさまざまなウイルスの脅威にさらされているのである。本書では、ウイルスとは、何か、その特徴などについて述べ、さらにウイルスがどうして病気を起こすのか、ウイルスが生体に感染した時の防御機構はどのようになっているのか、について説明していくつもりである。また、主なウイルス疾患の特徴などについて述べ、ウイルス感染症の治療や予防についても解説する。最後に、ウイルスは病気を起こすだけではなく、私たちの生活に役に立っていることもある。このようなことについても触れていきたい。

    本書を通じて、ウイルスというものに少しでも興味を持っていただければありがたいことである。

    本書の刊行にあたりご尽力を頂いた金芳堂編集部三島民子様に感謝いたします。

    2009年10月
    著者 今西二郎

    目次

    1 ウイルスってなに?
    1.ウイルスの大きさ、身なり
    ●ウイルスの大きさ
    ●ウイルスは何からできている?
    ●ウイルスの分類
    2.ウイルスの子づくり
    ●ウイルスの子づくりの原理
    ●核酸の複製はウイルスによって異なる
    3.ウイルスはどこから来た?
    ●人類の誕生とウイルス
    ●ウイルスの起源
    ●ウイルスの進化論

    2 ウイルスは何をする
    1.体に入り暴れまわる
    ●局所感染の場合
    ●全身感染の場合
    2.体にもぐり込む
    3.がんを起こす
    ●レトロウイルスによるがんの発生機構
    ●パピローマウイルスによるがんの発生の機構
    ●その他のがんウイルスによるがん発生
    4.細菌性疾患もウイルスで起こる?
    ●細菌の出す毒素はウイルスの遺伝子産物
    a.細菌を食うウイルス
    b.おとなしいバクテリオファージ
    c.ジフテリア毒素はウイルス産物
    d.ブドウ球菌から分泌される毒素
    e.腸管出血性大腸菌O157はウイルス病だった?
    ●薬剤耐性菌もウイルスが原因
    5.糖尿病、リウマチ、動脈硬化もウイルスで起こる?
    ●糖尿病
    ●関節リウマチ
    ●動脈硬化

    3 ウイルスに対する生体の反応
    1.感染防御機構
    2.免疫のしくみ
    ●免疫って?
    ●抗体
    ●免疫を担当している細胞
    ●抗体産生のしくみ
    ●感作リンパ球の誘導とサイトカイン
    3.ウイルス感染防御を担う免疫
    4.ウイルス病の発症

    4 ヒトに起こるウイルス感染症
    1.カゼとインフルエンザ
    2.肝炎
    ●A型肝炎ウイルス
    ●B型肝炎ウイルス
    ●C型肝炎ウイルス
    ●D型肝炎ウイルス
    ●E型肝炎ウイルス
    ●G型肝炎ウイルス
    3.子どもにかかるウイルス感染
    ●麻疹
    ●ムンプス(おたふくかぜ)
    ●ヒトヘルペスウイルス感染症
    ●伝染性軟属腫
    ●小児下痢症
    ●風疹
    ●手足口病
    4.胃腸炎を起こすウイルス
    5.頭にくる(?)ウイルス
    ●ポリオ
    ●日本脳炎
    ●ヘルペス脳炎およびその他の脳症
    ●髄膜炎
    6.飽くなき欲望の果てに
    ●エイズ
    ●性器ヘルペス
    ●ヒトパピローマウイルス感染症
    ●その他
    7.動物のウイルスがヒトに

    5 文明社会とウイルス感染症
    1.エマージングウイルス
    ●エマージング感染症って何?
    ●なぜエマージング感染症が出現したか?
    ●エボラ出血熱
    ●ラッサ熱
    ●腎症候性出血熱
    ●名なしウイルス
    ●ニパウイルス
    ●重症急性呼吸器症候群(SARS)
    ●トリ・インフルエンザとブタ・インフルエンザ
    ●プリオン病
    2.環境とウイルス
    ●森林伐採
    ●ダムの建設
    ●地球の温暖化
    a.マラリア
    b.デング熱
    c.アルボウイルス脳炎
    ●ウエストナイル熱
    ●大気汚染
    ●農業被害
    ●紫外線の影響
    ●環境破壊によるウイルス感染症の流行を阻止するために
    3.事故、事件
    ●薬害エイズ事件
    ●薬害肝炎
    ●変異型(新型)ヤコブ病

    6 ウイルス病の征服
    1.予防
    ●ワクチンの発明─種痘
    ●種痘法をわが国に広めた江戸時代の医師たち
    ●天然痘根絶宣言
    ●ワクチンの原理
    ●パスツールの偉業
    ●生ワクチンと不活化ワクチン
    ●新しいワクチン
    2.治療
    ●抗ウイルス薬
    a.抗ヘルペス薬
    b.エイズ治療薬
    c.インフルエンザ治療薬
    d.ウイルス性肝炎治療薬
    ●インターフェロン

    7 役に立つウイルス
    1.森林を守るウイルス
    2.ウイルスによるがんの治療
    3.バイオテクノロジーに不可欠のウイルス

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    索引

    執筆者一覧

    ■著者
    今西二郎 京都府立医科大学大学院医学研究科教授

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