症例2:原発肺腺癌による気道狭窄

患者:60代 男性

右上葉の原発肺腺癌(cT1aN3M1b stageⅣ)で治療中。 EGFR mutation(-) EML4-ALK融合遺伝子(-)です。右前頭葉に4mmほどの転移性脳腫瘍もあります。化学療法を行いましたが、縦隔リンパ節転移が気管・右主気管支狭窄を来たしPDとなり、同時併用化学放射線療法を行いました。しかし、気道狭窄は進行し、聴診器を当てなくても、ウィーズを聴取するようになりました。

聴診部位

肺音リスト

横軸は時間で24秒間、上の段に左前胸部、下の段に右前胸部の音を示します。最下段の黄色の曲線が、換気曲線で上向きが吸気、下向きが呼気です。

健側の左前胸部では、正常の肺胞音が記録されています。吸気に比べて呼気が明らかに弱いことが分かります。一方、患側の右前胸部では吸気と近いほどの強さの呼気が記録されています。気管支音です。正常では肺胞音が聴こえる部分で気管支音が聴かれるのを気管支音化と呼びます。