PPIが効かない!その時にどうする? 胃食道逆流症(GERD)・咽喉頭逆流症(LPRD)の診かた

  • 未刊
定価 5,940円(本体 5,400円+税10%)
編著北方敏敬
ドレキセル大学医学部外科准教授
関洋介
四谷メディカルキューブ外科
鈴木猛司
千葉大学耳鼻咽喉科
A5判・232頁
ISBN978-4-7653-1913-3
2022年07月 刊行
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★2022年7月中旬 発売予定!★

解剖生理から深く斬り込んだ 内科・外科・耳鼻科・米国医師が伝えたい PPI抵抗性GERD・LPRDの攻略本

内容紹介

日本人の約20%が、胃食道逆流症(GERD)や咽喉頭逆流症(LPRD)に悩んでいる。その治療法はPPIの薬物治療が主である。しかし、そのPPIが効かない患者が約40%いると言われる。そのため、患者は各科のたらい回しにあったり、PPIを無駄に長期的に処方されたりしている。

日本では、胃食道逆流症(GERD)や咽喉頭逆流症(LPRD)は、内科的視点で治療が行われることが主であるため、このようなことになっている。一方アメリカでは、内科的治療(薬物治療・食事療法)に加え、外科的治療(逆流防止機能不全を外科的再建することで逆流そのもの止める)を行うため、症状が改善する患者は多い。なおこの外科的視点は、日本では医学生や研修医のときに少し勉強する程度で、専門医となった後は、あまり深く勉強する機会がないので、見落とされがちな視点である。

本書では、このような視点もしっかりと伝え、また「PPIが効かない患者に出会ったら」という切り口で、PPI投与だけでない、胃食道逆流症(GERD)や咽喉頭逆流症(LPRD)の診療を伝える。日常診療で胃食道逆流症(GERD)や咽喉頭逆流症(LPRD)患者を診る医師(内科医、外科医ともに)に役立ち、さらに、総合診療科医、耳鼻科医、呼吸器内科医、アレルギー科医、心療内科医、一般開業医など、消化器関連科以外で日常的に胃食道逆流症(GERD)等を診る可能性のある診療科の医師にも手にとってもらいたい。

序文

「クスリを飲んでいるのに胸やけが取れない」「原因不明の胸痛で、頻繁に救急室に来る」「喘息もアレルギーもないのに、咳が止まらない」「ずっと喉に何かが張り付いているような違和感や圧迫感がある」……。そんな患者さんに出会ったことがありませんか? 内視鏡にてびらん性食道炎がなかったから、精神的なものとして心療内科に紹介したことがありませんか? それを聞いたあなたは、ドキッとされているかもしれませんね。

近年「胸やけ」「呑酸」「逆流性食道炎」といったキーワードによって、胃食道逆流症(GERD)は新たな国民病として注目されてきています。GERDは、一般的には内科的疾患と認識されており、多くの患者さんはプロトンポンプ阻害薬(PPI)にて良好な症状コントロールが可能です。しかし実は、GERDは非常に多彩な症状を呈し、PPIが奏効せずに消化器症状のみならず耳鼻咽喉頭・呼吸器系の慢性的な不定愁訴に悩まされている患者さん群が存在します。本書を手に取ったあなたは、そういった患者さんの治療に難渋した経験があるのではないでしょうか。

GERDを専門にする外科医(Foregut surgeon)は、「GERDは外科的疾患」と認識して診断治療しています。本書を読み進めていただければ、その意味がわかると思います。そして、内科と外科では見ている部分が異なるということを理解していただけるはずです。本書では、一見単純な病態と思われるGERDを解剖生理学の観点から切り込んで、「PPIがなぜ効かないのか」「そんな時に何を考えて、何ができるのか」「PPIに代わる次の一手はあるのか」について解説しています。良性疾患であるGERD は、食道腺癌になる可能性を除いて、直接生命に関わるわけではありませんが、著しくQOLを低下させます。ひどいGERD症状のために、何年にもわたって「常に胸やけや嘔気があって嘔吐する」「食べられない」「眠れない」「勉強や仕事に集中できない」患者さんが存在します。「手術」という次の一手で、このような患者さんのQOLを劇的に改善できる可能性があるのです。

今回、GERD診療に情熱を燃やす消化器内科医2名、外科医6名(食道外科医、減量外科医、呼吸器外科医)、耳鼻咽喉科医1名で共同執筆しており、これまでに類のない、斬新な切り口の書籍になったと自負しています。本書が各科の垣根を取り払った共同診療への布石になり、今まで精神的なものや原因不明とされて放置されてきたGERD患者さんのQOL改善に繋がると信じています。専門科を問わず、できるだけ多くの方に読んでいただけることを願ってやみません。

最後に、本書の誕生に関わっていただいた全ての方に、心より深く感謝いたします。

2022年6月吉日
北方敏敬

目次

序章 PPIが効かない! その時にどうする?:GERD大国アメリカの現状から、最後の砦(外科医)が診るGERD/LPRD診療のoverview

はじめに
1 GERDって何? 日米のGERD事情
2 なぜ、あなたの患者さんにPPIが効かないの? 本当にGERDなの?
3 PPIが効かないのは、GERDは外科疾患だから!?
4 外科的疾患としてのGERDの治療オプション
5 Treatment(therapy)gapをターゲットにした新しい治療法
6 咽喉頭逆流症(laryngopharyngeal reflux disease: LPRD)って何?
7 GERDと肥満
おわりに

Part1 GERD/LPRDって何?:日本の現状

Chapter1 GERDって何?
はじめに
1 日本の疫学的現状・症状・診断と治療戦略
2 内科的治療の現状とエビデンス(PPI、消化管運動機能改善薬、漢方など)
3 PPI抵抗性GERDって、何?
4 PPIの長期投与は安全なの?
おわりに

Chapter2 LPRDって何?
はじめに
1 疫学的現状
2 LPRDの多彩な症状:LPRDにはGERD症状を伴わない場合がある!?
3 日本におけるLPRDの診断と治療の現状
4 欧米諸国で一般的に行われているLPRD診断治療戦略
5 筆者が勧めるLPRDの診断治療戦略
おわりに

Part2 PPIが効かない時、どうする?:PPI抵抗性の不定愁訴を解明しよう!

Chapter1 本当にGERD/LPRDなの?
はじめに
1 PPIが効かない時に何を考えるか?
2 GERD/LPRDを確定診断するにはどうしたらいいのか?
3 症例提示
おわりに

Chapter2 GERD確定診断がついたのに、なぜPPIが効かないの? ~GERDの病態生理からPPI抵抗性の原因を考える~
はじめに
1 食道って、どんな器官なの?
2 「生理的逆流」とGERD
3 LES機能異常(hypotensive LES)とGERD
4 食道胃接合部(esophagogastric junction: EGJ)の解剖:陰の主役とは?
5 EGJの逆流防止機構:GERDは胃の酸失禁!?
6 食道裂孔ヘルニア(hiatal hernia: HH)って何?
7 食道裂孔ヘルニアで、食道内クリアランスが遅延する!?
8 上部消化管内視鏡で、横隔膜の状態はわかるの?
9 GERDの正体は横隔膜異常!?
10 食道裂孔ヘルニアがなければ、GERDではないの?
11 GERDは外科的疾患!?
おわりに

Chapter3 LPRD確定診断がついたのに、なぜPPIが効かないの? ~LPRDの病態生理からPPI抵抗性の原因を考える~
はじめに
1 LPRD症状の発症機序
2 LPRDの特殊な病態生理
3 LPRはどのように発生するのか?
4 LPRが起こると下咽頭喉頭領域では何が起こるのか?
おわりに

Part3 PPIが効かないGERDは、あきらめるしかないの?:別の一手

Chapter1 GERDの外科的治療
はじめに
1 どんな時に手術を考慮するのか?
2 外科的治療のコンセプトと種類
3 食道裂孔ヘルニアは、必ず手術が必要なの?
4 噴門形成術は安全で効果的なの?
5 術後にどんな不具合が出る可能性があるの? その対処法は?
6 噴門形成術の種類による差はあるの?
7 内科的治療と比べて手術は良いの?
8 手術の実際
おわりに

Chapter2 GERDの内視鏡的治療
はじめに
1 内視鏡的治療のコンセプトと現状
2 内視鏡的治療の適応
3 内視鏡的治療の分類
4 内視鏡的治療の限界と将来展望
おわりに

Chapter3 GERD大国アメリカでは、どんなことをしているの?
はじめに
1 なぜ「treatment(therapy)gap」が生まれ、何が求められているのか?
2 Magnetic Sphincter Augmentation(MSA):LINXⓇ Reflux Management System
3 下部食道括約筋電気刺激療法(lower esophageal sphincter electrical stimulation therapy: LES-EST):EndoStimⓇ LES stimulation system
4 Concomitant transoral incisionless fundoplication(cTIF)
おわりに

Part4 えっ! それもGERDなの?:GERD関連疾患における治療の意義

Chapter1 GERDとバレット食道・食道癌
はじめに
1 日本におけるバレット食道の現状とアメリカとの比較
2 GERDの内科的・外科的治療は バレット食道・食道癌の発生を予防できるのか?
おわりに

Chapter2 GERDと肥満
はじめに
1 日本人の肥満、肥満関連疾患としてのGERD
2 肥満症に対する外科治療(減量・代謝改善手術)
3 腹腔鏡下スリーブ状胃切除術と術後GERD
おわりに

Chapter3 GERDと機能性消化管疾患
はじめに
1 内科医は、どのように機能性消化管疾患(FGIDs)に取り組んでいるのか?
2 機能性消化管疾患! 外科医にできることはあるのか?
おわりに

Chapter4 GERD/LPRDと耳鼻科咽喉科・呼吸器科疾患
はじめに
1 内科的治療抵抗性の咽喉頭・呼吸器症状をあきらめていませんか?
2 LPRDに関連する耳鼻咽喉科疾患
3 LPRDに関連する呼吸器科疾患
4 症例提示
おわりに

Chapter5 GERD/LPRDと重症肺疾患・肺移植
はじめに
1 重症肺疾患・肺移植の現状から見る食道疾患治療の重要性
2 適切なGERD治療は肺移植の生存率を改善する!?
おわりに

終章 座談会

外科医の独り言
「GERDって何?」について
「LPRDって何?」について
「本当にGERD/LPRDなの?」について
「GERD/LPRDの病態生理からPPI抵抗性を考える」について
「PPIが効かないGERDは、あきらめるしかないの?:別の一手」について
「GERDとバレット食道・食道腺癌」について
「GERDと肥満」について
「GERDと機能性消化管疾患」について
「GERDと耳鼻咽喉科・呼吸器科疾患」について
「GERDと重症呼吸器疾患・肺移植」について

略語一覧
索引
プロフィール

執筆者一覧

■編著
北方敏敬 Associate Professor of Surgery, Division of Foregut Surgery, Drexel University College of Medicine / Esophageal Institute, Allegheny Health Network
関洋介  医療法⼈社団あんしん会 四谷メディカルキューブ 減量・糖尿病外科センター臨床研究管理部部長
鈴木猛司 千葉大学大学院医学研究院 耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学 助教

■著
北浜誠一 社会医療法人愛仁会 千船病院 肥満・糖尿病内分泌センタ−長 兼 糖尿病・減量外科部長
小松義宏 Assistant Professor of Surgery, Division of Foregut Surgery, Drexel University College of Medicine / Esophageal Institute, Allegheny Health Network
佐藤千晃 東北大学病院 総合外科 助教
重村周文 Professor of Surgery, Division of Cardiovascular Surgery, Temple University Health System and Lewis Katz School of Medicine
馬場哲  医療法⼈社団あんしん会 四谷メディカルキューブ 内視鏡センター長
松村倫明 千葉大学医学部附属病院 消化器内科 診療准教授

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