いつも同じ便秘薬を処方するあなたへ エキスパートが贈る 便秘薬との向き合い方

  • 未刊
定価 4,180円(本体 3,800円+税10%)
編著内藤裕二
京都府立医科大学附属病院内視鏡・超音波診療部
A5判・184頁
ISBN978-4-7653-1799-3
2020年01月 刊行
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未刊
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★2019年12月下旬 発売予定!★

「たかが便秘、されど便秘」。便秘について改めて勉強しよう。

内容紹介

便秘は、あらゆる病院や診療所で遭遇する極めてありふれた疾患です。また、超高齢社会になり、便秘で悩む人が増えてきています。近年、便秘薬の新薬も発売され、ガイドラインも発表され、便秘薬への注目が高まっています。本書は、便秘への理解を深めるために、エキスパートが便秘や便秘薬について解説します。また、具体的に、慢性便秘症・便秘型過敏性腸症候群・大腸憩室症・狭心症・高血圧症・弁膜症・糖尿病・甲状腺機能低下症・CKD・慢性透析・膠原病の全身性強皮症・パーキンソン病・脳梗塞・認知症・消化器外科の術後・肺癌の術後・小児・妊婦・高齢者などの便秘への処方例も紹介。いつも同じ便秘薬を処方するあなたへ、エキスパートによる便秘診療の“今”が詰まった一冊を贈ります。

序文

便秘は、あらゆる病院や診療所で、基礎疾病に関わらず遭遇する極めてありふれた疾患であり、患者の日常生活や社会生活あるいは健康関連QOLを著しく低下させる。適切に治療するべき疾患であるにも関わらず、私も含めて多くの医師がこれまでに系統的な便秘治療薬について十分な知識のないまま処方をしてきた現状があった。浸透圧性下剤に分類される酸化マグネシウム製剤と刺激性下剤に分類されるセンナやセンノシドを高頻度に使用してきた。これらの薬剤は有用ではあるが、十分な治療効果を得ることができない患者も多く、様々な問題点が指摘され始めている。このような現状は医学的にはClinical Inertia(臨床的な惰性)と呼ばれている。Clinical Inertiaとは、治療目標が達成されていないにも関わらず、治療が適切に強化されていないことと定義されている。この状況は、患者が適切な治療強化を受けていない場合に医療提供者に責任があることを暗に示している。この現象は、医師、患者、社会システムなど複数の要因が関連しているが、慢性便秘症の治療におけるClinical Inertiaによる経済的および臨床的帰結の全体像については不明な点が多く残されている。現在の医療環境では、残念ながら医療関係者が常に最先端の慢性便秘症治療を提供できるとは限らず、それには、以下のような理由がある。

 

✔ 1人あたりの診療時間が短すぎるために、医師は投薬の調整を先延ばしにせざるを得ない。「たかが便秘」にそんなに時間をさけない現実。
✔ 治療強化に対する専門的情報、科学的情報が少なく、医師、患者が強化することに不安を感じている。
✔ 責任が重い医療の現場では、「事なかれ」になりがちであるが、いろいろと理由をつけて静観してしまうのは、医療従事者側の情熱の欠如かもしれない。
✔ 医師は治療法の変更を躊躇するが、そもそも患者さんが便秘で困っている理由を、見誤っていることも多い。

 

このような現状の中で、便秘診療においてClinical Inertiaという問題があることを知り、問題解決に向けた医師の情熱が必要ではないかと考え、本書を企画した。前半で多くの便秘治療薬の薬効、エビデンス、使用上の注意点、ガイドラインにおける位置づけを示した。後半には、各分野の先生方に便秘症治療に対する現状、私の処方をお願いした。この本には、「ガラパゴス化した」便秘診療を少しでも改善したい思いが込められている。超多忙な臨床の先生方にご無理なお願いをしたにも関わらず、お願いした先生方全員から「私の処方」を寄稿頂いた。厚く御礼申し上げます。最後に、このような機会を頂いた(株)金芳堂ならびに編集担当の西堀智子様に深謝申し上げます。

令和元年秋
京都府立医科大学附属病院内視鏡・超音波診療部
内藤裕二

目次

1章:総論

1.便秘はなぜ起こる?
大便はどのようにしてでき、どのようにして排出されるのか?
便秘の背景因子と原因
便秘はなぜ起こる?

2.日本人は便秘で悩んでいる
便秘の症状
増加する便秘患者数
患者は悩んでいる
便秘の重症度評価、QOL評価

3.慢性便秘症診療ガイドラインを読み解く
便秘症の定義
診断基準
便秘症の検査

4.便秘薬に頼る前に考えるライフスタイル(食・運動など)
食事
運動
排便習慣

5.腸内細菌叢と便秘症
ブリストル便形状スケールからみた腸内細菌叢
粘膜関連細菌叢と便秘症
糞便移植からみた便秘症患者の腸内細菌叢

6.便秘薬の分類
慢性便秘症治療薬とエビデンス

①膨張性下剤
カルメロースナトリウム
ポリカルボフィルカルシウム

②浸透圧性下剤
a.塩類下剤
酸化マグネシウム
水酸化マグネシウム
炭酸マグネシウム
b.糖類下剤
ラクツロース
マクロゴール4000(ポリエチレングリコール4000)

③刺激性下剤
a.アントラキノン系
センノシド
センナ・センナジツ
b.ジフェノール系
ピコスルファートナトリウム水和物

④上皮機能変容薬
ルビプロストン
リナクロチド

⑤胆汁酸トランスポーター阻害剤
エロビキシバット

⑥消化管運動賦活薬
モサプリドクエン酸塩水和物

⑦末梢性オピオイド受容体拮抗薬
ナルデメジントシル酸塩

⑧坐剤・浣腸
ビサコジル
炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウム配合剤
グリセリン

⑨造影補助剤
D-ソルビトール

⑩漢方薬
大建中湯
大黄甘草湯
麻子仁丸

7.医師も知っておきたい 薬剤師目線の便秘薬の注意点
便秘薬を処方する前に
薬剤師からみた便秘薬の注意点

2章:私の処方
1.循環器−狭心症・心筋梗塞
2.循環器−高血圧症
3.循環器−弁膜症
4.代謝−糖尿病
5.代謝−甲状腺機能低下症
6.腎臓-慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)
7.腎臓-慢性透析
8.膠原病-全身性強皮症
9.神経−パーキンソン病
10.神経−脳梗塞
11.認知症
12.自閉症関連疾患
13.消化器外科-術後
14.肺癌術後
15.消化器−慢性便秘症
16.消化器−便秘型過敏性腸症候群
17.消化器−大腸憩室症
18.消化器−肝疾患
19.小児科領域
20.妊婦
21.在宅医療
22.緩和医療

索引
編集者プロフィール

コラム
摘便・洗腸、バイオフィードバック療法
慢性便秘と死亡率
慢性便秘と脳心血管疾患死亡
慢性便秘と神経変性疾患
慢性便秘と糞便移植
慢性便秘と大腸癌
おなかの調子を整える食品
慢性便秘とビフィズス菌
慢性便秘と酪酸産生菌
慢性便秘と食物繊維

執筆者一覧

■執筆者一覧(五十音順)
有賀悦子  帝京大学医学部緩和医療学講座
石川剛   京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学
石山裕介  自治医科大学内科学講座循環器内科学部門
内山和彦  京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学
角谷慶人  京都府立医科大学大学院医学研究科循環器内科学
鎌田和浩  京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学
神村英利  福岡大学薬学部/福岡大学病院薬剤部
苅尾七臣  自治医科大学内科学講座循環器内科学部門
木村貴純  木村内科・胃腸内科
栗生宜明  京都府立医科大学消化器外科
阪上由子  滋賀医科大学医学部小児科学講座小児発達支援学部門
塩谷昭子  川崎医科大学消化管内科学
島田順一  京都府立医科大学呼吸器外科
清野弘明  せいの内科クリニック
全完    京都府立医科大学大学院医学研究科循環器内科学
髙木智久  京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学
富永和作  若草第一病院消化器内科
内藤裕二  京都府立医科大学附属病院内視鏡・超音波診療部
野村栄樹  仙台市立病院消化器内科
長谷川剛二 京都第二赤十字病院糖尿病内分泌・腎臓・膠原病内科
八田告   医療法人八田内科医院
半田修   川崎医科大学消化管内科学
福田亙   京都第一赤十字病院リウマチ膠原病センター
福本兼久  西陣病院外科
福本義弘  久留米大学医学部内科学講座心臓・血管内科部門
法水淳   大阪労災病院消化器内科・肝臓内科
的場聖明  京都府立医科大学大学院医学研究科循環器内科学
眞鍋雄太  神奈川歯科大学附属病院認知症・高齢者総合内科
水野敏樹  京都府立医科大学神経内科学
満生浩司  福岡赤十字病院腎臓内科
向井理英子 朝日大学病院消化器内科
山口滋紀  横浜市立市民病院脳神経内科
和田基   東北大学大学院医学系研究科発生・発達医学講座小児外科学分野

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