希少感染症のエビデンスと臨床 ~伝染病予防法から現行感染症法まで 駒込病院44年間の記録~

  • 新刊
定価 6,380円(本体 5,800円+税10%)
編集増田剛太
がん・感染症センター都立駒込病院感染症科特任医師
今村顕史
がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長
味澤篤
前都立北療育医療センター院長
菅沼明彦
新古賀病院総合診療科部長
井戸田一朗
しらかば診療所院長
B5判・256頁
ISBN978-4-7653-1854-9
2021年03月 刊行
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感染症専門病院による豊富な臨床症例の決定版! 希少感染症のトレンドや治療実績など知りたいことがすぐわかる! 44年分の貴重な記録を収録

内容紹介

わが国の代表的な感染症専門病院である、がん・感染症センター都立駒込病院で診療した疾患のうち、旧法定伝染病では、細菌性赤痢、コレラ、腸チフス、パラチフス、髄膜炎菌感染症を、輸入感染症では、デング熱、マラリア、アフリカトリパノソーマ症、ブルセラ症、発疹熱の一例、高熱を伴うA型肝炎、肝蛭症、赤痢アメーバ感染症、ジアルジア症、クリプトスポリジウム症、サイクロスポーラ症、シストイソスポーラ症、ビルハルツ住血吸虫症を、そしてHIV/AIDSでは、全体像や死因の変化など、ニューモシスチス肺炎、カポジ肉腫、特殊なAIDS関連悪性リンパ腫合併例、HIV感染者におけるインフルエンザワクチンの効果、HIV感染生体に発症した淋菌性髄膜炎など、約30疾患について、その臨床像、検査成績、薬剤感受性の変化等、44年間の集積データを時系列で掲載。疾患に特徴的な臨床検体はカラーの口絵ページでも確認可能。

また、症例の診断・治療等は駒込病院内だけでなく、多くの関連医療機関、とくに基礎系機関の協力を得て行い、資料の数値等は診療録等から出来る限り忠実に抽出。各疾患のデータブックとして医療関係者、研究者に利用して頂きたい。

序文

巻頭言

本書は東京都立駒込病院感染症科で診療した主な感染症の臨床データをまとめた論文集です。対象期間は伝染病予防法時代の当院旧「伝染病科」が「感染症科」として再出発した1975年から1999年3月末(伝染病予防法廃止時点)までに加え1999年4月発効の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)施行下の2018年までの計約44年間です。疾患としては旧法定伝染病、輸入感染症、さらに駒込病院が1985年から診療を開始したHIV/AIDS等を収載しました。旧法定伝染病としては細菌性赤痢約900例、腸チフス+パラチフス約250例、また、HIV感染症約2800例のエビデンスを収録してあります。症例数が少ない疾患の多くについては文献検索等により疾患像を補強しました。

これらカテゴリーが異なる感染症を本書では「希少感染症」と包括してみました。希少疾患(rare disease)とは患者数が少ない疾患を意味し、その定義は国により異なりますが、わが国では患者数が5万人以下の疾患としています。「症例数が少ない」という切り口による分類であるため「希少感染症」は「旧法定伝染病」、「新興・再興感染症」、「熱帯病」や「輸入感染症」など多くの感染症群を含みます。今日の感染症法で届け出が義務化されている疾患の多くも希少感染症です。その結果、これらの疾患群を包括する概念である希少感染症の総患者数は極めて多いであろうことが想定されます。しかし、「希少感染症」に属する個々の疾患は症例数が希少であるが故に患者診療の場では鑑別対象疾患のリストになかなか登場せず誤診につながるというという現実があります。すなわち、「希少感染症」は熱帯熱マラリアなどの輸入感染症や免疫不全宿主に発生した重症・難治性感染症などの緊急性が高い疾患を見逃さないために日頃から積極的に知識を習得しておくべき疾患群です。

症例の診断・治療等は駒込病院内だけでなく多くの関連医療機関、とくに基礎系機関の協力を得て行いました。資料の数値等は診療録等から出来る限り忠実に抽出したものであり、各疾患のデータブックとして医療関係者、研究者に利用して頂ければ幸甚です。資料収集にあたっては多くの駒込病院職員のお世話になったことを感謝します。とくに医事課の方々には多忙な日常業務の間に旧時代の資料(多くは電子媒体に保存)の開示をお願いしました。また、2020年~のCOVID-19流行の直撃により論文の執筆・校正作業が遅滞したにもかかわらず、金芳堂編集部のご尽力で、無事出版できたことを感謝します。

なお、末尾に1975~2018年のわが国における感染症発生数を本書で採り上げた疾患のうち6疾患について国立感染症研究所感染症情報センターホームページ(http://idsc.nih.go.jp/idwr/)等からの年間症例数を経年的グラフとしました。疾患による症例数にゼロ~数例~数千例/年と大きな開きがあるので大凡の傾向しか掴めませんが、ご参考頂ければと考えます。

増田剛太、今村顕史、味澤篤

目次

口絵
巻頭言

PART 1 旧法定伝染病
- chapter1 細菌性赤痢(Shigellosis)
- chapter2 コレラ(Cholera)
- chapter3 腸チフス(Typhoid fever)
- chapter4 パラチフス(Paratyphoid fever)
- chapter5 髄膜炎菌感染症(Meningococcal infection)
[参考資料] 伝染病予防法時代の腸管感染症入院患者2638例の集計成績

PART 2 輸入感染症・その他
- chapter1 デング熱(Dengue fever)
- chapter2 マラリア(Malaria)
- chapter3 アフリカトリパノソーマ症(African trypanosomiasis)
- chapter4 ブルセラ症(Brucellosis)
- chapter5 発疹熱の一例
- chapter6 高熱を伴うA型肝炎(Febrile Hepatitis A)
- chapter7 肝蛭症(Fascioliasis)
- chapter8 赤痢アメーバ感染症
- chapter9 ジアルジア症(Giardiasis)
- chapter10 クリプトスポリジウム症(Cryptosporidiosis)
- chapter11 サイクロスポーラ症(Cyclosporiasis)
- chapter12 シストイソスポーラ症(Cystoisosporiasis)
- chapter13 ビルハルツ住血吸虫症(Bilharziasis)

PART 3 HIV感染症・AIDS
- chapter1 HIV/AIDS 全体像や死因の変化など
- chapter2 ニューモシスチス肺炎(PCP)
- chapter3 カポジ肉腫(Kaposi’s sarcoma)
- chapter4 特殊なAIDS関連悪性リンパ腫合併例
- chapter5 HIV感染者におけるインフルエンザワクチンの効果
- chapter6 HIV感染生体に発症した淋菌性髄膜炎
[参考資料] 特発性CD4陽性リンパ球減少症

執筆者一覧

■編集者
増田剛太  がん・感染症センター都立駒込病院感染症科特任医師
今村顕史  がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長
味澤篤   前都立北療育医療センター院長
菅沼明彦  新古賀病院総合診療科部長
井戸田一朗 しらかば診療所院長

■執筆者一覧(五十音順)
味澤篤   前都立北療育医療センター院長
池内和彦  東京大学医科学研究所附属病院感染免疫内科医員
泉谷秀昌  国立感染症研究所細菌第一部第二室室長
井戸田一朗 しらかば診療所院長
今村顕史  がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長
加藤博史  国立感染症研究所ウイルス第1部第3室研究員
加藤康幸  国際医療福祉大学医学部感染症学教授
狩野繁之  国立国際医療研究センター研究所熱帯医学・マラリア研究部部長
木下一美  元国立感染症研究所感染症疫学センター研究員
小林正規  慶應義塾大学医学部感染症学教室非常勤講師
佐々木秀悟 埼玉医科大学医学部総合診療内科助教
佐藤裕徳  国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センター主任研究官
菅沼明彦  新古賀病院総合診療科部長
鈴木智一  東京都立神経病院検査科
関谷紀貴  がん・感染症センター都立駒込病院臨床検査科・感染制御科医長
髙崎智彦  神奈川県衛生研究所所長
竹下望   国立感染症研究所企画調整主幹
武部豊   国立感染症研究所エイズ研究センター客員研究員
田子さやか 湘南記念病院内科/感染症科
橘裕司   東海大学医学部医学科基礎医学系感染防御学教授
田中勝   がん・感染症センター都立駒込病院感染症科医員
所正治   金沢大学医薬保健研究域医学系寄生虫感染症制御学准教授
錦信吾   国立感染症研究所細菌第一部
春木宏介  獨協医科大学埼玉医療センター感染制御部教授
比島恒和  がん・感染症センター都立駒込病院病理科部長
福島一彰  がん・感染症センター都立駒込病院感染症科医員
古畑匡規  デロイトトーマツコンサルティング合同会社
細田智弘  川崎市立川崎病院感染症内科医長
前田卓哉  埼玉医科大学医学部臨床検査医学中央検査部教授
増田剛太  がん・感染症センター都立駒込病院感染症科特任医師
丸山治彦  宮崎大学医学部感染症学講座寄生虫学分野教授
森田昌知  国立感染症研究所細菌第一部第二室主任研究官
矢嶋敬史郎 がん・感染症センター都立駒込病院感染症科非常勤医師
柳澤如樹  柳沢クリニック院長/元がん・感染症センター都立駒込病院感染症科医長

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