頼れる「かかりつけ薬剤師」になる!
-処方箋を手にしたら即チェック-

    定価 4,290円(本体 3,900円+税10%)
    監修深川雅史
    東海大学教授
    編集豊田雅夫
    東海大学准教授
    B5判・208頁
    ISBN978-4-7653-1776-4
    2019年03月 刊行
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    互いに顔も知らない医師と薬剤師の電話越しの疑義照会を円滑に有意義なものにするには?よくある事例、薬剤ガイド、スキルアップの取組み、制度の解説満載のガイドブック

    内容紹介

    お互いに顔も知らない医師と薬剤師の間柄、電話越しの疑義照会を円滑に、そして患者にとって有意義なものにするには何が必要だろうか?批判ではなく、互いに理解し合えるヒントになる本をめざした。
    今後は医師も薬剤師も、患者の「かかりつけ」となることを求められる。本書で、互いに気持ちよくコミュニケーションをはかり「かかりつけ」制度を推進していくための考え方を知ってほしい。
    第1章:実例を用いたケースアプローチから始まる。興味深いエピソードを読みながら、何が落とし穴だったのか?「かかりつけ」に求められる思考回路(ロジカルシンキング)や対応策などが楽しく読み進められるよう工夫した。
    第2章:調剤業務での日々の薬剤チェックに便利な各領域の薬剤一覧を、腎機能に合わせた投与量早見表付きで配置、さらに専門医による疾患や薬剤の最新解説を簡潔にまとめた。
    第3章:今後の日本医療の方向性やかかりつけ薬剤師に求められるワンランク上の様々な考え方や情報を、薬剤師の視点から分かりやすく解説している。
    第4章:かりつけ薬剤師についてのセミナーの講師経験の豊富な著者が、最新の情報を満載して解説した。

    序文

    監修のことば

    近年,院外処方が進み,それぞれの患者さんがお薬手帳を持つようになり,不適切な処方や重複を未然に防ぐことができるようになりつつある.さらに,薬剤に関して,患者さんが十分な説明を受けることができるようになったことも,有益な進歩といえよう.一方で,違う場所の医師と薬剤師から別々に情報を伝えるということで,患者さんに混乱を生ずる危険性を秘めている.したがって,医師と薬剤師のコミュニケーションは今まで以上に重要な意味を持つことになった.
    医師から薬剤師へのコミュニケーションでは,処方箋以外の情報がないため,患者さんの病状,薬剤開始時や変更したときに,どのような意図をもってそうしたかが薬剤師には正確に伝わらない.さらに,患者さんに対して実際どのように話したかがわからないことは,大問題である.聞いていなかった病名や,薬剤の適応,副作用の一般論について,初めて聞いて困惑する患者さんは少なくない.また,違う科や違う施設の医師同士の情報交換が十分でないことや,多くの医師は自分の領域以外で使われる薬剤や相互作用についての知識が乏しいことも問題である.一方,薬剤師から医師へのコミュニケーションの問題点は,内容とタイミングであろう.他の患者さんを診察中にかかってくる電話は,即時の対応に困ることも多い.

    これらを改善するにはどうしたらよいだろうか?例えば,推算糸球体濾過量をお薬手帳に書き込んで,他施設からの薬剤もふくめて,かかりつけ薬剤師に腎機能低下者の用量や相互作用のチェックをしてもらうことや,どのジェネリックを出したかという処方医師へのフィードバックはすでに行われているが,まずはお薬手帳を通じた情報交換が双方向性になる必要があると考えられる.究極的には,一部の病院で始まっている電子カルテのオープン化によって,院外の薬剤師の情報へのアクセスが可能になるかもしれないが,これには内容と形式の統一,セキュリティの確保が前提となろう.

    この本は,それまでのギャップを少しでも埋めるために,医師と薬剤師のそれぞれが,どのように考えて処方し,それをチェックしているのかをお互いに理解することを目的に編集された.
    医薬連携が真の意味で進み,医療の質と安全の向上に貢献し,患者さんのためになることを期待したい.

    桜の季節を前にして

    東海大学教授
    深川雅史

    編集にあたって

    「かかりつけ薬局」,「かかりつけ薬剤師」という言葉は,もはや珍しくなくなった.しかし,「重複投薬・相互作用等防止加算」に代表される薬剤師から医師への疑義照会は,患者の安全を守る重要な薬剤師業務だが,多忙を極める現場では医師 – 薬剤師間のコミュニケーションにストレスを感じてはいないだろうか?

    「こんなことで電話してこないで!」とか,「慎重投与は百も承知です!」,「もっと処方意図を理解して!」など,決して楽しくないやりとりが存在している.
    不快なコミュニケーションに陥る理由はいくつも挙げられる.例えば,糖尿病患者に抗精神病薬が追加された場合を考えてみると,薬剤師「この薬は,糖尿病患者には慎重投与だから疑義照会しなくちゃ,このドクターうっかりタイプ?でも、逆ギレされたらどうしよう?」,医師「慎重投与でない抗精神病薬なんてむしろないぐらいだよ,こんなことで疑義照会なんて,何も知らないんじゃないのか?」などという,心の叫びが聞こえてきそうである.
    お互いに顔も知らない間柄,電話越しの疑義照会を円滑に,そして何よりも患者のために有意義なものにするには何が必要だろうか?批判ではなく,互いに理解し合えるヒントになる,これが本書作成の出発点である.

    医師の立場は「疾患」そのものに目を向けるため,副作用が多少懸念されても効果を期待し,最適と思う薬剤を選択している(そこに,患者や薬剤師を納得させる十分な説明と情報交換はできていたか?).

    一方,薬剤師の立場は「薬剤特性」に目を向け,処方箋の監査をしている(疾患そのものに対する病態理解や知識を視野に入れ,疑義照会できていたか?).
    さらに「患者」,「家族」,「介護者」などが入り乱れれば,「かかりつけ薬剤師」にはさらに複雑なコミュニケーションスキルと思考回路とともに最新の知識が求められることとなる.

    超高齢化に直面する本邦に求められるものが「かかりつけ」であるのなら,「かかりつけ医師」も「かかりつけ薬剤師」も互いに気持ち良くコミュニケーションをはかり,「かかりつけ」を推進するべきである.

    第1章では実例を用いたケースアプローチから始まる.興味深いエピソードを読みながら,何が落とし穴だったのか?「かかりつけ」に求められる思考回路(ロジカルシンキング)や対応策などが楽しく読み進められるよう工夫した.また第2章では,調剤業務での日々の薬剤チェックに便利な,各領域の薬剤一覧を腎機能に合わせた投与量早見表付きで配置,さらに専門医からは疾患や薬剤の最新解説を簡潔にまとめた.第3章と第4章では,今後の日本医療の方向性やワンランク上のかかりつけ薬剤師に求められる様々な考え方や情報を,薬剤師側の視点から分かりやすく解説している.まさに,薬剤辞書,薬剤ハンドブック,実務解説,コミュニケーションスキル入門書などなど,用途は読者次第で盛りだくさんの一冊に仕上がっている.したがって,薬剤師のみならず,クリニックのかかりつけ医から専門医研修プログラムの専攻医や初期研修医に至るまで幅広い読者を想定して編集した.是非,身近に置いてご活用いただきたい.

    最後に,この企画にご協力いただいた医師,薬剤師,その他大勢の執筆者に感謝するとともに,編集作業に根気強く絶大なる指導をいただいた金芳堂の村上裕子氏に深謝申し上げる.

    2019年2月
    東海大学医学部腎内分泌代謝内科学 准教授
    豊田雅夫

    目次

    1章 事例から薬剤師の役割を考える
    1 ヘリコバクター・ピロリの除菌で体調不良!?
    2 何となく活気がないのは低血糖??腎機能低下と低血糖?
    3 血糖自己測定から見える患者の心理?好きな数字は139??
    4骨粗鬆症に対する活性型ビタミンD製剤投与と採血?最近、喉が渇く!?
    5 毎年、春にワルファリンを調節する患者?花粉症とPT-INR?
    6 高齢になってもテオフィリンを持続し続けたら?胸がドキドキ、手がプルプル?
    7 通販の便秘薬を無断で追加し続けた高齢者
    8 腰椎ヘルニアの足の痛みの薬でむくみと脱力?
    9 孫がインフルエンザで、祖父が発熱したら?~適切な対応を考える~
    2章 すぐに役立つ疾患・薬剤ガイド
    プロローグ
    1 糖尿病薬剤ガイド
    2 高血圧・脂質異常症薬剤ガイド
    3 CKD関連疾患(高尿酸血症・骨粗鬆症)薬剤ガイド
    4 循環器疾患薬剤ガイド
    5 呼吸器疾患薬剤ガイド
    6 消化器疾患薬剤ガイド
    7 血液疾患薬剤ガイド
    8 リウマチ疾患薬剤ガイド
    9 神経疾患薬剤ガイド
    10 総合内科疾患薬剤ガイド
    11 精神疾患薬剤ガイド
    12 泌尿器疾患薬剤ガイド
    3章 スキルアップへの取り組み
    1 疾患に応じたアプローチ(糖尿病コンシェルジュを目指して)
    2 薬剤師の業務改革への先駆け
    3 薬剤師の生涯学習の必要性とチーム医療
    4章 かかりつけ薬剤師制度とは
    ①地域包括ケアシステムの中で求められる薬局業務の方向性
    ②地域包括ケアシステムの構築と保険薬局の現状・環境変化
    ③かかりつけ薬局に認められた診療・調剤報酬と制度の特徴
    ④2018年度診療・調剤報酬改定に向けて

    執筆者一覧

    ■監修
    深川雅史 東海大学医学部腎内分泌代謝内科教授

    ■編集
    豊田雅夫 東海大学医学部腎内分泌代謝内科准教授

    ■執筆
    豊田雅夫 東海大学医学部腎内分泌代謝内科准教授
    伊苅裕二 東海大学医学部循環器内科教授
    駒場大峰 東海大学医学部腎内分泌代謝内科講師
    友松克允 東海大学医学部呼吸器内科助教
    新美京子 東海大学医学部呼吸器内科講師
    端山直樹 東海大学医学部呼吸器内科講師
    浅野浩一郎 東海大学医学部呼吸器内科教授
    内田哲史 東海大学医学部消化器内科助教
    町田真一郎東海大学医学部血液腫瘍内科講師
    近藤泰 東海大学医学部リウマチ内科助教
    佐藤慎二 東海大学医学部リウマチ内科教授
    高橋若生 東海大学医学部付属大磯病院神経内科教授
    沖将行 東海大学医学部総合内科准教授
    柳秀高 東海大学医学部総合内科講師
    髙木敦司 東海大学医学部付属大磯病院総合内科特任教授
    土屋博基 東海大学医学部精神科助教
    川口要 東海大学医学部精神科助教
    山本賢司 東海大学医学部精神科教授
    花井一也 東海大学医学部泌尿器助教
    宮嶋哲 東海大学医学部泌尿器教授
    堀口道子 株式会社ココカラファイン ヘルスケア調剤事業部
    藤田茂起 望星大磯薬局
    浅見友一 望星大磯薬局
    飯塚敏美 望星大磯薬局薬局長
    厚田幸一郎 北里大学病院薬剤部
    鈴木優司 東海大学大磯病院薬剤科長
    谷澤正明 一般社団法人日本血液製剤機構事業本部事業戦略部参事

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