肥満患者の麻酔

    定価 7,260円(本体 6,600円+税10%)
    編集白石としえ
    四谷メディカルキューブきずの小さな手術センターセンター長/麻酔科部長
    上北郁男
    千船病院麻酔科医長
    A5判・268頁
    ISBN978-4-7653-1760-3
    2018年11月 刊行
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    内容紹介

    ・肥満患者に対する麻酔管理についてまとめた本邦初の成書。海外とはやや事情の異なる日本の肥満患者の病態生理、術前診察、術前準備、術中・術後管理などをわかりやすく解説。
    ・内科・外科・睡眠医療科・精神科など、それぞれの分野で活躍する専門医による、麻酔科医が学ぶべき臨床に役立つ知見などもまとめた。

    序文

    現代病である“肥満”は,欧米のみならず日本においても大きな問題であり,世界の肥満人口は増加しています.また腹腔鏡手術の普及と共に,肥満を手術で治療する肥満外科手術が世界的に増加してきましたが,本邦でもニーズが高まり,2014年には一部の術式(腹腔鏡下袖状胃切除術)が保険収載され,適応が拡大されつつあります.

    このような状況下,私たち日本の麻酔科医にとって,肥満患者の全身麻酔は決して他人事ではなくなりました.しかしいざ高度肥満患者を目の前にしたとき,気道管理や薬剤投与などどうすれば良いか分からない,調べたくても教科書がない,そんなジレンマに日々,多くの麻酔科医がぶつかっています.世界では,米国で2004年にISPCOP(International Society for the Perioperative Care of the Obese Patient)が,ヨーロッパでは2009年にESPCOP(The European Society for Perioperative Care of the Obese Patient)が設立され,これらの学会が中心となって肥満患者麻酔の方法やトピックスを発信していますが,未だ歴史が浅い領域といえます.

    そして今回,上北先生より,「日本にも安全に肥満患者の麻酔を行うための専門書が必要です.」との熱意溢れるお誘いを受け,本書が企画されました.

    私自身は日々,多くの肥満患者と向き合っている麻酔科医ですが,周囲には内科医,外科医,精神科医など,それぞれの分野で活躍されている肥満治療のエキスパートがいます.そこでこれらの専門の先生方に本書の分担執筆をお願いし,麻酔科医が学ぶべき,臨床に役立つ知見をまとめました.

    また日本人を含むアジア人は,欧米人の肥満と異なり,肥満度が低くても糖尿病を代表とするメタボリックシンドロームなどの合併症を生じやすく,肥満そのもの以上に肥満関連合併症による障害が高度であるという特徴があります.海外とやや事情の異なる日本の肥満患者の病理学的・心理学的特徴をも理解していただければ,全身麻酔は決して難しいものではありません.また非肥満患者の麻酔にも応用可能なノウハウがたくさんあります.

    肥満患者の麻酔を依頼されたときに,臆することなく笑顔で引き受け,安全で適確な麻酔管理を行えること,それが本書の目指すところです.ひとりでも多くの麻酔科医が本書を手に肥満患者麻酔を実践していただけることを願っています.

    2018年10月
    白石 としえ


    麻酔科医にとって,たまに担当する肥満患者の麻酔管理には多大なストレスを伴うものです.しかも,担当した患者が肥満であることが判明するのは早くても数日前,ということも多いかと思います.そこから慌てていろいろ調べようにも,これまで肥満患者の麻酔管理に関する日本語の成書はありませんでした.

    2016年春に当院でも肥満手術が始まり,私も海外の文献や教科書を取り寄せるなど準備に追われていました.そのような中,それまで学会などでいろいろ相談させていただいていた白石としえ先生と「肥満患者の麻酔」に関する日本語の成書の話になり,今回の企画が始まりました.

    本書の内容は,普段は肥満患者の麻酔管理に縁遠い麻酔科医が,ある日突然肥満患者の麻酔を担当した場合にでもすぐに参照でき,安全な麻酔管理に役立てられるように心掛けました.執筆をお願いした先生方には最新のエビデンスはもちろんのこと,それだけでは語りつくせない経験やコツも積極的に織り交ぜて解説してくださるようお願いいたしました.

    本書を手に取ることにより,肥満患者の麻酔管理がストレスを感じただけで終わることなく,安全かつ質の高い麻酔が提供でき,さらに興味関心が深まることを願ってやみません.

    最後に,ご多忙中にもかかわらず原稿をお寄せいただいた先生方,そして今回の出版にあたり企画から完成までご尽力をいただいた金芳堂の一堂芳恵氏に,心より感謝申し上げます.

    2018年10月
    上北 郁男

    目次

    1章 肥満とその病態生理
    1 肥満の定義と患者の動向
    2 肥満による心血管系の変化
    3 肥満による呼吸機能の変化
    4 肥満と閉塞性睡眠時無呼吸
    5 腎機能の変化
    6 消化管および代謝の変化
    7 血液の変化
    8 心理状態

    2章 術前評価と管理
    1 術前評価
    2 心機能評価
    3 気道の評価
    4 術前内科管理
    5 抗血栓療法
    6 物品管理

    3章 術中管理
    1 前投薬および絶飲食
    2 手術室セッティング,モニタリング
    3 全身麻酔導入
    4 薬剤投与量
    5 術中体位
    6 循環管理(輸液管理)
    7 呼吸管理
    8 体温管理
    9 血管確保
    10 気腹状態での変化
    11 覚醒・抜管
    12 DVTとPTE
    13 区域麻酔と超音波の活用

    4章 術後管理
    1 術後鎮痛
    2 合併症とその対策
    3 肥満手術とERAS

    5章 肥満手術

    6章 帝王切開術

    7章 小児

    略語一覧,索引

    執筆者一覧

    齋木厚人  東邦大学医療センター佐倉病院糖尿病・内分泌・代謝センター准教授
    白石としえ 四谷メディカルキューブきずの小さな手術センターセンター長/麻酔科部長
    西島嗣生  岩手医科大学医学部睡眠医療学科准教授
    櫻井滋   岩手医科大学医学部睡眠医療学科教授
    大橋靖   東邦大学医療センター佐倉病院腎臓内科准教授
    関洋介   四谷メディカルキューブ減量・糖尿病外科センター臨床研究管理部部長
    上北郁男  千船病院麻酔科 医長
    林果林   東邦大学医療センター佐倉病院メンタルヘルスクリニック講師
    山本雅   千葉大学医学部附属病院糖尿病・代謝・内分泌内科医員
    北原綾   千葉大学医学部附属病院糖尿病・代謝・内分泌内科診療助教
    小野啓   千葉大学医学部附属病院糖尿病・代謝・内分泌内科講師
    横手幸太郎 千葉大学医学部附属病院糖尿病・代謝・内分泌内科教授
    笠間和典  四谷メディカルキューブ減量・糖尿病外科センターセンター長

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