実習にも役立つ人体の構造と体表解剖
第2版

  • 新版
定価 4,620円(本体 4,200円+税10%)
三木明徳
神戸総合医療専門学校学校長・神戸大学名誉教授
A4判・469頁
ISBN978-4-7653-1989-8
2024年04月 刊行
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解剖に関する基本的な知識と解剖実習の際の要点がひと目でわかる!

内容紹介

第1版から8年の歳月が経ち、第2版を制作することになりました。内容を再度精査し、21章中枢神経系と22章神経伝導路は大幅に修正を加えています。もともと丁寧な解説用語付きでわかりやすかった図ですが、追加・修正した箇所もあり、より理解を深められる内容としています。イラストも一つ一つチェックしなおし、わかりづらかったものは訂正しました。また、高次脳機能や運動調節系など、臨床的に重要と思われる機能の記載を行いました。具体的には21章の中枢神経系、22章の神経伝導を中心に加筆と修正を行っています。線維連絡、聴覚路、視覚性言語中枢、錐体路、連合野、優位半球と劣位半球(右脳と左脳)、大脳核とその発生、「解剖学的大脳核」と「機能学的大脳核」、大脳辺縁系の構成と機能、前庭脊髄路、臨床的に重要な腱反射、脊髄損傷部位の模式図、ブラウン・セカール症候群、大脳核による運動調節、小脳による運動の調節など詳述しました。

序文

改訂版刊行にあたって

本書の原本は神戸大学医学部保健学科において解剖学実習の手引きとして作成されたものである。私が医学部解剖学講座から保健学科へ配置転換になったのは阪神淡路大震災の直後(1995年4月)で、当時は体表解剖や人体解剖の実習・見学に必要なコメディカル用の実習マニュアルがなかったので自分で作るしかなかった。またこれを機会に医学科とは違って解剖学に生理学の一部を取り入れ、構造と機能を関連付けた講義を目指すことにした。そんな時西村書店よりドイツで発刊されたばかりの生化学、生理学、解剖学を融合させた新しいタイプのテキストを紹介され、早速共同で翻訳して「からだの構造と機能」という書名で同書店から出版した。この教科書は私がイメージしていた教育内容に近く、ボリュームや価格の面でもコメディカル教育に適していた。ただ筋・骨格系、脈管系、神経系などの章では、職種によって多少の違いはあるものの、国家試験のことを考えると内容的に不足していた。しかし学生に、それだけのために医学科で使う高価な教科書を別途購入させるのは忍びなく思い、これらに関しては必要と思われる内容で教材を作り、「からだの構造と機能」の不足分を補うことにした。

2016年3月に神戸大学を定年退職し、神戸総合医療専門学校に移動したのを機に、神戸大学で使用していた実習マニュアルをほぼそのままの形で金芳堂より出版して頂いたが、それから7年の歳月が流れ、この度本書を改訂してはどうかというお誘いを頂いた。この四半世紀の間にコメディカル用の解剖生理学の教科書が数多く出版されているが、いずれも内容は似ていて、今でも多くの本で上記の章の内容が不足していると思われる。従ってケアレスミスや不適正な表現を訂正してそのまま残すことにした。中枢神経系や神経伝導系の章も神戸大学で行っていた脳解剖の実習マニュアルで、中枢神経系の構造や機能についてはある程度詳しく記載されている。しかし記憶、思考、判断、言語、情動といった高次脳機能や運動調節系など、臨床的に重要と思われる機能の記載が不十分であった。そこで今回の改定では脳の働きと機能の局在を中心に加筆修正を加えた。

スケジュール的に少しタイトではありましたが、お陰様で初版よりも随分改善されたように思います。色々な面でご協力頂いた株式会社金芳堂の編集部の皆様に心よりお礼を申し上げます。本書が将来医療の世界で社会に貢献しようという高い志を持って日々勉学に励んでおられる若い皆さんのために少しでもお役立てば望外の喜びです。

令和6年3月吉日
さぬき明徳塾にて
三木明徳

目次

序文

1章 人体の概要

1 身体の区分と解剖学的表現
1.1 人体の特徴
1.2 身体の区分
1.3 解剖学的表現

2 全身の骨格
2.1 頭蓋骨
2.2 脊柱
2.3 胸郭
2.4 上肢の骨
2.5 下肢の骨

3 全身の動脈と静脈
3.1 動脈系
3.2 静脈系
3.3 胎生期の循環系
3.4 リンパ系

4 末梢神経系
4.1 脳神経
4.2 脊髄神経
4.3 自律神経系

2章 体表解剖学実習

5 頭頚部の体表解剖
5.1 頭頚部の表面観察
5.2 頭頚部の骨性指標
5.3 頭部筋の触察
5.4 頚部筋の触察

6 体幹の体表解剖
6.1 体幹前面の観察
6.2 体幹前面筋の触察
6.3 体幹後面の観察
6.4 体幹後面筋の触察
6.5 内臓の体表投影

7 上肢の体表解剖
7.1 上肢の概要
7.2 上肢の骨性指標
7.3 上肢筋の触察
7.4 手の機能

8 下肢の体表解剖
8.1 下肢の概要
8.2 下肢の骨性指標
8.3 下肢筋の触察

3章 人体解剖学実習

9 体幹前面の解剖
9.1 体幹前面の観察
9.2 胸部筋の解剖
9.3 腹部筋の解剖

10 頭頚部の解剖
10.1 頚部の体表解剖
10.2 頚部の解剖
10.3 頭部の体表解剖
10.4 顔面の解剖
10.5 頭蓋内の解剖

11 腹腔および腹部内臓器の解剖
11.1 腹膜腔の開検
11.2 消化管の摘出と観察
11.3 摘出した腹部臓器の観察

12 体幹後面の解剖
12.1 体幹後面の体表解剖
12.2 体幹後面筋の解剖
12.3 頭頚部後面の解剖
12.4 環椎後頭関節と頭部離断
12.5 頭頚部内臓の解剖

13 胸腔および胸部臓器の解剖
13.1 胸腔の開検
13.2 肺の摘出と観察
13.3 縦隔の解剖
13.4 摘出した心臓の解剖

14 上肢の解剖
14.1 上肢の体表解剖
14.2 上肢前面の解剖
14.3 上肢後面の解剖

15 下肢前面の解剖
15.1 下肢前面の体表解剖
15.2 前大腿部の解剖
15.3 前下腿部の解剖
15.4 足背部の解剖
15.5 骨盤壁の解剖

16 後腹壁と骨盤内臓器の解剖
16.1 後腹壁臓器の解剖
16.2 会陰の解剖
16.3 骨盤腔の解剖
16.4 摘出した骨盤内臓器の観察
16.5 男性生殖器の解剖
16.6 女性の泌尿生殖器の解剖

17 下肢後面の解剖
17.1 下肢後表の体表解剖
17.2 殿部の解剖
17.3 後大腿部の解剖
17.4 後下腿部の解剖
17.5 足底部の解剖

18 頭頚部内臓の解剖
18.1 咽頭の観察と解剖
18.2 口部の解剖
18.3 口蓋の解剖
18.4 鼻部の解剖
18.5 喉頭の観察と解剖

19 関節と靱帯の解剖
19.1 体幹の関節
19.2 上肢の関節
19.3 下肢の関節

20 感覚器の解剖
20.1 視覚器の解剖
20.2 聴覚・平衡器の解剖

4章 中枢神経系

21 中枢神経系
21.1 中枢神経系の概要
21.2 脊髄
21.3 脳幹と小脳
21.4 間脳
21.5 終脳
21.6 脳の被膜と脳室系
21.7 中枢神経系の血管

22 神経伝導路
22.1 反射弓
22.2 求心性伝導路
22.3 遠心性伝導路

5章 骨格筋の発生と神経支配

23 骨格筋の発生と神経支配
23.1 骨格筋発生の概要
23.2 頭頚部筋の発生
23.3 体幹筋の発生
23.4 体肢筋発生の概要

参考文献
索引

執筆者一覧

■著
三木明徳 神戸総合医療専門学校学校長・神戸大学名誉教授

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