皮膚病理学講義 皮膚上皮系腫瘍 表皮角化細胞性腫瘍

    定価 9,460円(本体 8,600円+税10%)
    真鍋俊明
    京都大学名誉教授
    B5判・204頁
    ISBN978-4-7653-1944-7
    2023年02月 刊行
    【 冊子在庫 】
    在庫有り

    電子書籍書店で購入

    購入数

    内容紹介

    内容には、必ず基礎的概念を一つの章あるいは別立ての項として加えた。まずしっかりと基礎概念を理解して頂き、それがある病気の病理像を真に理解する近道である。各腫瘍では、定義、病因・組織発生、臨床像、病理組織像、組織学的鑑別、必要に応じて語源的考察や病変の進行と予後を項目として挙げた。そして、よりビジュアルに理解が及ぶように絵による説明を追加し、症例によっては多数の写真を掲載した。

    序文

    本書は、一般的な教科書でもなければいわゆる学術書でもありません。皮膚腫瘍病理に関して系統的にまとめ各腫瘍を紹介した著者の講義録に加筆し、一冊の本としてまとめたものです。講義録には、著者が病理を学び始めて以来、読破してきた皮膚病理教科書、論文、学会での発表症例、恩師からの教えと議論、自ら経験したり貸与された貴重な症例を通して得た知見と自らが思い描いた考えを盛り込んでいました。その考えや解釈が本当に正しいかどうかは分かりません。ただ、最近、著者が今まで理解してきたり、疑問に思い自分なりに納得し解決してきたこと、実際の診断に際して悩みながら実践してきたことの多くは他の同僚にも共通するものではないか、それらを共有のものとするために記載し、残し、読者に提供することは大切なことではないかと考えるようになりました。それが本書をまとめるようになった理由です。

    数年前に、前段階として病理総論について理解して頂く必要があると考え、「目からウロコの病理学総論」を上梓させて頂きました。ヒトの身体の中に起こる病気にはどのような状態があり、それをどのような名称で表現するのか、どのような発生のメカニズムがあるのかをまとめたものです。この本は、病理学を学び始めた人への一般教科書でありながら、敢えて「皮膚科医のための病理学講義」という副題を付けました。それは、検査技師や皮膚科医向けの講義録をまとめたことにもよりますが、皮膚病理を学ぶ人にはこのくらいの病理総論の知識を持っていて欲しいという著者の希望を表現したものでもありました。今回は「皮膚病理学講義」との総表題を付けさせていただきました。しかし、講義内容に追加するように書き始め、写真を集め始めると膨大なものになりそうなことが分かりました。そのため、著者の希望がかなうかどうか分かりませんが、分冊のような形をとり、まずは「表皮角化細胞性腫瘍」のみを取り上げて頂くようにしたのが本書です。

    内容には、必ず基礎的概念を一つの章あるいは別立ての項として加えてあります。まずしっかりと基礎概念を理解して頂きたい、それがある病気の病理像を真に理解する近道だと信じているからです。各腫瘍では、定義、病因・組織発生、臨床像、病理組織像、組織学的鑑別、必要に応じて語源的考察や病変の進行と予後を項目として挙げました。そして、よりビジュアルに理解が及ぶように絵による説明を追加し、症例によっては多数の写真を載せるようにしました。

    病理組織標本や組織写真の蒐集は著者の趣味のようなもので、非常に多くの症例の蓄積があります。ただ、どうしても手に入らなかった症例や古いものでは色褪せたり空気が入ってみえなくなった症例が多数ありましたので、いくつかの症例を知り合いの病理の先生や皮膚科の先生からお借りしました。また、蒐集した症例の中にはコンサルテーションとしてお送りいただいたものも含まれています。そして、いろいろな会で講義させて頂く機会を与えて頂きましたことがこの本の素となっています。本書を出すことによって、それらのご恩に報いることもできるのではないかと思い、この場をお借りして感謝申し上げたいと思います。

    最後になりますが、本書出版の道を開いて頂きました㈱金芳堂の黒澤健編集長、今回も見事な装丁にまとめ上げて下さった市井輝和様に心から御礼を申し上げます。

    2022年11月
    真鍋俊明

    目次

    第1章 皮膚上皮系細胞腫瘍の捉え方

    上皮系細胞とは
    腫瘍とは何か
    皮膚上皮系細胞の種類
    上皮系細胞の形態と上皮系細胞が作る構造形態
    腫瘍細胞の形態と由来細胞の認識
    上皮細胞増殖の方向性とその特徴
    皮膚上皮系腫瘍細胞が作る組織構築形態
    皮膚上皮系細胞腫瘍:良性と悪性腫瘍の形態像の違い
    皮膚上皮系細胞腫瘍の分類

    第2章 表皮層に位置する表皮角化細胞性腫瘍

    A.表皮角化細胞性腫瘍を理解するために
    1.角化と角化細胞
    2.表皮被蓋上皮細胞層の構成細胞
    3.表皮の構造
    4.表皮角化細胞性腫瘍の分類
    5.表皮角化細胞性表皮内癌・異形成と浸潤性表皮角化細胞癌

    B.表皮層内に位置する表皮角化細胞性腫瘍
    1.過誤腫性、過形成性病変
    (1)表皮母斑
    (2)炎症性線状疣贅状表皮母斑
    (3)黒色表皮腫
    (4)黒子様表皮過形成(日光黒子)
    (5)結節性痒疹
    (6)鶏眼と胼胝
    (7)疣贅
    - ①尋常性疣贅
    - ②足底/手掌疣贅
    - ③扁平疣贅
    - ④疣贅状表皮発育異常症
    - ⑤ボーエン様丘疹症
    - ⑥尖圭コンジローマ
    - ⑦疣贅状黄色腫

    2.棘細胞腫
    (1)透明細胞棘細胞腫
    (2)表皮剥離性棘細胞腫
    (3)棘融解性棘細胞腫
    (4)大細胞棘細胞腫

    3.表皮角化細胞性表皮内癌と異形成
    (1)日光角化症型角化細胞性表皮内癌〔日光(光線)角化症〕
    (2)光線口唇炎
    (3)ヒ素角化症
    (4)プバ角化症
    (5)ボーエン病型表皮角化細胞性表皮内癌(ボーエン病とケーラー紅色肥厚症)
    (6)非特異型表皮角化細胞性表皮内癌

    4.表皮角化細胞による扁平上皮癌(浸潤性扁平上皮癌)
    (1)扁平上皮癌、非特異型
    (2)棘融解性(腺様、偽血管性)扁平上皮癌
    (3)紡錘形細胞型扁平上皮癌
    (4)疣贅状型扁平上皮癌(疣贅状癌)
    (5)腺扁平上皮癌
    (6)明細胞・印環細胞性扁平上皮癌
    (7)その他の亜型

    5.参考
    (1)メルケル細胞癌
    (2)リンパ上皮腫様癌
    (3)偽癌性過形成
    (4)表皮内に発生する表皮角化細胞以外の腫瘍

    参考図書
    日本語索引
    外国語索引

    執筆者一覧

    ■著
    真鍋俊明 京都大学名誉教授

    トピックス