多疾患併存患者を臓器横断的に診る! 外来・病棟でのマルチモビディティ診療

  • 新刊
定価 4,840円(本体 4,400円+税10%)
編著石丸裕康
天理よろづ相談所病院 救急診療部部長・総合診療教育部副部長
B5判・220頁
ISBN978-4-7653-1847-1
2020年10月 刊行
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マルチモビディティ患者について、その考え方や診療実践の指針となる、研究と実践の書

内容紹介

マルチモビディティ患者の診かた、考えかたをベースに、臓器横断的に診療するために必要なエビデンスや経験知をまとめたプラクティカルな入門書。

基本編では「対応の原則」「複雑な病態の整理方法」「介入方法」など、マルチモビディティ(多疾患併存状態)診療の実態を理解するうえで必要となる研究成果を収録。

実践編では、症例解説を中心に、一般・救急外来や病棟管理でのマルチモビディティ診療の最善策を実践に移すための指針を収録。

多疾患併存患者の増加・常態化が予想される今の時代に求められる“maltimorbidity”のスターターブックとして読み逃し厳禁!

序文

医師として仕事を始めておよそ30年、病院を場として診療に従事してきた。振り返ってみると、この間に病院の現場の風景は大きく変わった。約30日程度であった平均在院日数は10日前後と短縮され、皆とても忙しそうにしている。さまざまな新しい技術や新規薬剤が日々導入され、病棟ではとても複雑な医療が展開されるようになっている。医師・看護師に加えて、薬剤師やリハビリテーション技師など多くの職種が患者のベッドサイドを入れ替わり立ち代わり訪れるようになっている。

医療を受ける患者はどうであろうか。明らかに患者は高齢化し、その多くが、複数の疾患を持ち、機能的にも多様な状態を呈している。家族のありかたなど、患者をとりまく社会的な状況も大きく変わった。

医療の姿が大きく変わる中、われわれは30年前には想定していなかった新たな問題に直面している。その一つが本書のテーマである、マルチモビディティである。

本書でも随所で述べられるように、マルチモビディティは単に疾患が複数ある、という状態にとどまらず、それぞれの疾患・状態が複雑にからみあい、さまざまな問題を引き起こす一筋縄ではいかない状態である。このマルチモビディティについては、地域のプライマリ・ケアを主なフィールドとする家庭医療の世界でまず注目され、ここ数年急速にその研究が広がり、その実態の解析や臨床実践の蓄積が進みつつある。

病院の診療現場に目を向ければ、やはりこのマルチモビディティの問題が、外来・病棟・救急などさまざまな局面で、診療への影響を増しつつあることは明らかであろう。

マルチモビディティの研究・診療実践は端緒についたばかりであり、病院の現場で直面している問題の対応について、参考となる文献やテキストは少ないのが実情である。本書はそのような問題意識から、病院の診療現場で出会うマルチモビディティ患者について、その考え方、診療実践に指針となることを目的に企画され、日々診療現場でマルチモビディティ患者の診療に取り組んでいる先生方に執筆いただいた。ますます複雑化する診療現場で、マルチモビディティを深く理解し、実践に役立つものとなったのではないかと期待している。

マルチモビディティについてはその評価や介入が確立している領域とは言えず、今後の研究・実践の発展が望まれる状況であり、本書がこの領域の研究と実践の向上につながることを願っている。

2020年9月
天理よろづ相談所病院 救急診療部部長・総合診療教育部副部長
石丸裕康

目次

基本編 マルチモビディティ患者の診かた・考えかた

1 対応の原則
– 1.マルチモビディティとは何か?
– 2.複雑性の判断とゴールの設定
– 3.マルチモビディティにおける診療ガイドラインの考え方

2 複雑な病態を整理する
– 1.ポリファーマシー
– 2.高齢者総合評価
– 3.フレイル/サルコペニア
– 4.慢性疼痛の評価と治療
– 5.慢性臓器障害のとらえ方
– 6.心血管疾患リスクの評価と対応
– 7.担がん患者のshared care
– 8.メンタルアセスメント

3 マルチモビディティへの介入
– 1.価値に基づく診療の考え方
– 2.チーム医療/多職種による介入

 

実践編 症例に学ぶマルチモビディティ診療

1 一般外来・救急外来
症例 1.慢性疾患合併例での急性増悪
症例 2.痛みの背景にメンタルのある患者と慢性疼痛の考え方
症例 3.慢性疾患合併例での治療上のジレンマ
症例 4.腎障害での疼痛管理
症例 5.慢性臓器障害(心臓・呼吸器)の合併
症例 6.関節リウマチ、慢性心不全、甲状腺疾患をそれぞれ別のDrが診ている例
症例 7.透析患者の治療拒否+社会的問題
症例 8.高齢者、フレイルの患者の入院のメリットとデメリットの比較

2 病棟管理
症例 1.出血傾向 vs 血栓治療のバランス
症例 2.合併症例での糖尿病管理の調整、急性期のセッティング
症例 3.抗がん剤の有害事象による血栓症を招いた場合
症例 4.相反するアウトカムのコントロール
症例 5.標準治療が合併症のため困難な場合の治療の考え方の原則
症例 6.マルチモビディティの患者の急性期入院で、基礎疾患の治療の中止・中断・継続
症例 7.閉塞性動脈硬化症(ASO)の治療の場合に考慮するべき因子
症例 8.高齢、フレイル、心不全のある患者が肺炎で入院
症例 9.高齢、骨粗鬆症、骨折歴のある患者の巨細胞性動脈炎
症例 10. 悪性腫瘍終末期のマルチモビディティ患者をどうマネジメントするか?

執筆者一覧

■編著
石丸裕康 天理よろづ相談所病院 救急診療部 部長・総合診療教育部 副部長

■執筆者一覧(執筆順)
佐藤南斗 勤医協苫小牧病院 内科
川口篤也 函館稜北病院 総合診療科 科長
南郷栄秀 東京城東病院 総合診療科 科長
矢吹拓  栃木医療センター 内科医長
中神太志 大阪大学大学院医学系研究科 老年・総合内科学 医学部講師
森川暢  市立奈良病院 総合診療科
佐藤健太 勤医協札幌病院 内科・総合診療科 科長
長野広之 洛和会丸太町病院 救急総合診療科
東光久  白河厚生総合病院 総合診療科 部長
田口静  やまと精神医療センター
大西弘高 東京大学大学院医学系研究科 医学教育国際研究センター 医学教育国際協力学部門 講師
北村友一 京都岡本記念病院 リウマチ・膠原病内科 医長
川島篤志 市立福知山市民病院 総合内科 医長
田巻庸道 天理よろづ相談所病院 循環器内科
勝島將夫 京都大学医学部付属病院 免疫・膠原病内科
近藤博和 天理よろづ相談所病院 救急診療部 副部長・心不全センター センター長・循環器内科 副部長
蓑田紗希 大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学
辻本絵美 金井病院 総合診療科
田川竣介 天理よろづ相談所病院 総合診療教育部
土橋直史 北播磨総合医療センター リウマチ・膠原病内科
田村俊寛 天理よろづ相談所病院 循環器内科 部長
古家美幸 ふるや糖尿病・甲状腺クリニック 院長
森井奈央 天理よろづ相談所病院 乳腺外科
山城大泰 天理よろづ相談所病院 乳腺外科 部長
中山洋一 京都大学医学部附属病院 免疫・膠原病内科
橋本成修 天理よろづ相談所病院 呼吸器内科 副部長
田口智朗 天理よろづ相談所病院 脳神経内科
岡田宜孝 天理よろづ相談所病院 総合診療教育部
明保洋之 天理よろづ相談所病院 総合診療教育部
三宅啓史 天理よろづ相談所病院 総合診療教育部

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