在宅医療 たんぽぽ先生の 実践!多職種連携

  • 新刊
  • 好評書
定価 3,080円(本体 2,800円+税10%)
永井康徳
医療法人ゆうの森 理事長
永吉裕子
A5判・168頁
ISBN978-4-7653-1831-0
2020年06月 刊行
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日本全国から注目の在宅医療クリニックの多職種連携の実践がココに!

内容紹介

「多職種連携」という言葉をよく耳にするものの、実際のところ「多職種が連携して何をするのだろう?」と今ひとつピンときていないということはありませんか?

本書では、多職種がチームになって活動すれば、「ここまで在宅患者と家族を幸せにできる!」ということを、医療法人ゆうの森 たんぽぽクリニックの多職種連携の実践を通して紹介します。さらに、永井康徳氏が全国の在宅医、在宅医療・介護関係者向けに行う講演会で好評を博している理念やノウハウを詳しく解説しています。

<医師・退院支援担当者に>
地域にどのような専門職がいてどのような役割を果たしているのかといった基本的情報や、「独居の認知症」「末期がん患者」「独居の看取り」など多職種による在宅患者の支援方法を紹介。退院支援のプランニングにも生かせます。退院後の患者の生活を心配する医師や病院の地域医療連携室の担当者にとって役立つ内容です。

<ケアマネジャー・訪問看護師・理学療法士・作業療法士に>
1つのチームとなって協働するために必須の「情報の共有」と「方針の統一」。そのノウハウや、究極の多職種連携である「食支援」「人生会議(ACP)」について詳細に解説しています。日々の連携やケアマネジメントに悩むケアマネジャー・訪問看護師などにとって、明日から使えるヒントが満載です。

その他、薬剤師・歯科医師・歯科衛生士・管理栄養士・介護福祉士といった在宅医療・介護に関わるすべての専門職にも役立つ1冊です。

序文

最近、地域包括ケアシステムや在宅医療を推進するにあたり、「連携」という言葉が多用されていますが、連携は何のために必要なのでしょうか?

日本の医療は単独職種で「それぞれの技術やパフォーマンスをいかに高めるか」という視点で発展してきました。しかし、単独職種だけで業務を行っていくのがいいのでしょうか? 在宅医療は、治せない病や障がい、老化に向き合っていく医療です。そして、在宅医療のゴールは「看取り」です。患者さんが亡くなるときに、それぞれの専門職にできることは本当に限られます。患者さんが亡くなったときに、これで良かったと納得してもらうためには、多職種の力が必要です。単独職種の専門分野だけで医療やケアを行うのは限界があり、様々な職種で構成されたチームで協力して患者さんやご家族に向き合っていかなければ、納得できる最期は得られないと思います。

訪問診療や訪問看護、訪問介護など、それぞれの専門職が行っているサービスのどれか一つだけでは、患者さんは安心して療養生活を送れません。なぜなら、その専門職がサービスを行っていない1日の大半の生活と介護が支えられないと、患者さんが満足できる生活が送れないからです。在宅医療は「医療だけをやっていればいい」、「病気だけを診ていればいい」というものではなく、患者さんと介護をするご家族の生活を支えなければなりません。自分が行うサービスだけでは、患者さんの生活や人生は支えられないという「自らの無力さ」を自覚すれば、自ずと他職種の必要性を感じ、多くの職種と連携が始まります。患者さんを取り巻く多職種チームなくして、患者さんの在宅療養は成り立たないのです。他職種、他事業所であっても一つのチームとなり、患者さんとご家族を支えるという意識を持つことがとても大切です。そのような思いもあって、私自身は在宅医療に「連携」は絶対に必要なものだと強く感じています。さらに質の高いケアを目指すならば、患者の生きがいづくりや家族の支援にも積極的に関わっていただきたいと思います。生きがいや家族の介護、精神的な支えがなければ、患者さんは在宅療養を継続できません。このような一歩踏み込んだ支援にも、ぜひ多職種チームで臨みたいものです。

そして、在宅医療の多職種連携を進めていくには、多職種での「情報の共有」と「方針の統一」が必要です。例えば、看取りの人に点滴をしない方針でみていくことになったとして、医師や看護師だけでその方針を共有していて、ケアマネジャーやヘルパーが「食べられないのに、点滴もしてもらえないのか?」と発言したら、患者さんもご家族も混乱することでしょう。多職種のチームで皆が同じ方向を見て、同じ方針で関わることが大事になってくると思います。

在宅医療の質を上げるためには、在宅医療のバージョンアップが必要です。コンピュータソフトのバージョンアップにならって在宅医療の質を段階で表現すると、

 

Ver.1.0 家に帰りたい人は帰れる
Ver.2.0 多職種連携ができている
Ver.3.0 地域づくりに取り組む
Ver.4.0 文化を変える

 

「Ver.1.0」は「家に帰りたい人は帰れる」段階です。私が2000 年に在宅医療専門のたんぽぽクリニックを開業した当初は、医師が家に来てくれるのかと周囲に驚かれました。ただ医師が来てくれるだけでありがたいと思われる時代でした。しかし、今では私たちの地域でも在宅専門クリニックや在宅医療を積極的に行う医療機関がたくさんあり、「訪問診療以外に何をしてくれるのか?」という在宅医療の質が問われる時代になりました。

「Ver.2.0」は「多職種連携ができている」という段階です。多くの地域では、このレベルを目指して地域包括ケアシステムの構築を進め、一つの目標となっているはずです。

「Ver.3.0」は「地域づくりに取り組む」段階です。社会の課題解決のため、医療・介護業界以外の人とつながり、どうやって地域を変えていくのか、コミュニティを再構築するのかが問われます。

そして、「Ver.4.0」は「文化を変える」段階です。現在、日本では医療業界に限らず、すべての分野で働き方改革が進もうとしています。医療の分野でも「治す医療」から「支える医療」へと大きな転換を図るうえで、新しい医療のあり方やシステムが必要とされています。在宅医療はシステム医療と言われていますが、まさにこれからの新しい医療の形となるでしょう。現在は病院で約8割の方が看取られる時代ですが、多死社会を迎え、住み慣れた場所で看取られる方が増えていくことでしょう。そのときに、死への意識改革や看取りの概念の理解が国民に進んでいけば、看取りの在り方自体が変わってくると思います。看取りの文化を変えるような在宅医療の提供ができればまさに文化や社会も変わってくるのではないかと思うのです。

患者さんやご家族が「自分らしく生きる」ことを支えるためには、多職種のチームで連携する在宅ケアが大切になると思います。この本が皆さんの地域で多職種のチームが連携して質の高い在宅ケアを提供するきっかけになれば嬉しく思います。

令和2年4月
医療法人ゆうの森 理事長
永井康徳

目次

第1章 なぜ、多職種連携が必要なのか

第2章 多職種連携リアルストーリー
多職種チームで想いをつなぐ
〜障がいを持つ姉弟、末期がんの姉とともに弟をどう支えるか〜

第3章 多職種連携には『方針の統一と情報の共有』が欠かせない

第4章 多職種連携の基礎知識
・在宅医の頼れるパートナー<ケアマネジャー・訪問看護師・薬剤師>
・生きがいを見つけて支える実働部隊<理学療法士・作業療法士>
・口から美味しく食べるを叶え隊<歯科医師・歯科衛生士・言語聴覚士・管理栄養士>
・患者の生活を支える伴走者<ホームヘルパー・デイサービス・福祉用具貸与サービス・訪問入浴介護サービス>
・地域の応援団<民生委員・地域包括支援センター>

第5章 多職種による在宅患者支援、5つのケース
・「末期がん患者」のケース
・「食支援」のケース
・「神経難病患者」のケース
・「独居で認知症患者」のケース
・「独居での自宅看取り」のケース

第6章 『食支援』は究極の多職種連携です!

第7章 多職種連携と『人生会議』

第8章 看取りを高めるために、多職種で実践したい8つのこと

付録 たんぽぽ先生の在宅医療の5つの呪文

コラム
・4人1ユニットで、疲弊なく24時間対応する『たんぽぽ方式』
・楽なように、やりたいように、後悔しないように
・在宅医療に関わる制度 介護保険制度
・在宅医療に関わる制度 障害者総合支援法
・専門職のスキルが上がると、地域の在宅医療のニーズが高くなる!?
・在宅患者を集めるノウハウ

執筆者一覧

■著
永井康徳 医療法人ゆうの森 理事長
永吉裕子 企画・執筆協力

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