がんの症状緩和に使える! 漢方薬ハンドブック 35の推薦処方とそのエビデンス

    定価 3,080円(本体 2,800円+税10%)
    監修遠山正彌
    大阪府立病院機構理事長/大阪大学名誉教授
    左近賢人
    大阪府立病院機構大阪国際がんセンター病院長
    編集飯塚徳男
    山口総合健診センター所長(前広島大学大学院医歯薬保健学研究科 薬学分野漢方診療学教授)
    A5判・99頁
    ISBN978-4-7653-1804-4
    2020年01月 刊行
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    がん支持療法における必要性がますます高まりつつある漢方薬。そのエビデンスと使い方がスラっとわかる!

    内容紹介

    近年、漢方薬が処方される場面がますます増えつつありますが、がんの支持療法においても例外ではありません。漢方薬は、近年ランダム化比較試験が実施され、薬理作用の解明とともにエビデンスが集積されています。がん支持療法で活用される漢方診療のアプローチは、現時点で東洋医学的アプローチと西洋医学的アプローチの2つのスタイルがありますが、本書では、東西両医学のいずれのスタイルにも対応できるように工夫されています。総論では漢方特有の理論を解説し、各論の「Ⅱ 症状別代表的漢方薬」ではがん支持療法で汎用される35種類の推薦処方とその関連処方を東西両医学の視点から、また、臨床・基礎データに基づき科学的に解説しています。本書を通して、がん支持療法に有効な漢方診療の知識を身につけることができます。

    序文

    序にかえて

    「がんと漢方のテキスト」が東山先生はじめ、多くの第一線のがんの臨床医の先生方のご努力と金芳堂さんのお力により上梓されることになりました。
    漢方で鮮烈に思い出すことがあります。15年近く前になるでしょうか、私が阪大の医学部長の折でした。漢方のメーカーより漢方医学の寄付講座を設置したいとの申し出を受けた際のやり取りです。

    私は基礎の出身でその当時は漢方の効能をほとんど信じていませんでした。またその当時は漢方の効能をきっちり示す科学的証左に欠けていたことも事実です。寄付講座は寄付講座として受けるとして、「漢方はほんまに効くの?」とその時の担当者に失礼な質問をしました。私が脳の研究者と知ったうえで、その時に彼が自信を持って推薦したのが抑肝散でした。「抑肝散は認知症によく聞くと精神科の先生はおっしゃいます。是非科学的な証左をお願いします」と。

    こうして寄付講座とは別に抑肝散の認知症、すなわち脳の神経細胞に対する保護効果の検証を私の研究室がやることとなったのです。その結果、抑肝散は小胞体ストレス(アルツハイマーなどの細胞死を引き起こす源)による神経細胞死を見事に抑制したのには驚きました(PloS One 2010 1))。これを契機に漢方に対する見方が大きく変わり、その流れは近畿大学東洋医学研究所分子脳科学研究部門、漢方の効能の科学的立証の研究に受け継がれています。

    今や漢方は西洋医学との融合の時代に向かっています。本書がガンの克服の第一線の医療従事者にとって座右の書になることを期待してやみません。

    令和1年12月
    大阪府立病院機構理事長、大阪大学名誉教授
    遠山正彌

    文献
    1) Hiratsuka T, et al. Yokukansan inhibits neuronal death during ER stress by regulating the unfolded protein response. PLoS One 2010; 5: e13280.


    編集の序

    想えば外科医になって10年目のある日である。教授室に呼ばれて耳にしたのが、「2年間で良いから、新しくできる漢方講座のスタッフになってくれないか?」という天の声。あの時の戸惑いと戦慄を今でも覚えている。外科から漢方、まさに晴天の霹靂であったが、いつの間にか漢方診療に馴染んで20年余が過ぎる。そんな私にがん専門医のために役立つ漢方の教科書を創る機会を賜わった。天の声に従おう、ようやく漢方を専門にして良かったと感じ入る今日この頃である……。

    読者の皆様には本書を通して、是非、がんと戦う共著者たちの魂の雄叫びを感じ取っていただきたい……。なぜならば、漢方は魂で感じ取るものだから。

    令和1年12月
    山口総合健診センター所長
    (前広島大学大学院医歯薬保健学研究科 薬学分野漢方診療学教授)
    飯塚徳男

    目次

    Ⅰ 総論

    Ⅱ 症状別代表的漢方薬
    症状① 悪心・嘔吐
    症状② 食欲不振
    症状③ 倦怠感
    症状④ 貧血
    症状⑤ 便秘
    症状⑥ 下痢
    症状⑦ 口内炎
    症状⑧ しびれ
    症状⑨ 筋肉痛
    症状⑩ せん妄
    症状⑪ 不眠症
    症状⑫ 抑うつ
    症状⑬ 浮腫・むくみ
    症状⑭ 手足症候群
    症状⑮ 放射線性皮膚炎
    症状⑯ がん性疼痛
    症状⑰ 冷え性・冷え症
    症状⑱ 咳嗽

    Ⅲ 漢方薬の副作用

    執筆者一覧

    〔監修〕
    遠山正彌 大阪府立病院機構 理事長/大阪大学名誉教授
    左近賢人 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター 病院長

    〔編集〕
    飯塚徳男 山口総合健診センター 所長(前広島大学大学院医歯薬保健学研究科 薬学分野漢方診療学教授)

    〔執筆(五十音順)〕
    飯島正平 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター 栄養腫瘍科主任部長
    飯塚徳男 山口総合健診センター 所長(前広島大学大学院医歯薬保健学研究科 薬学分野漢方診療学教授)
    岩西雄大 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター 薬局
    卜部和美 国家公務員共済組合連合会 大手前病院 薬剤部長代行
    上浦祥司 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター 婦人科主任部長
    佐山皓一 国家公務員共済組合連合会 大手前病院総合医学科部長(代謝・内分泌内科)・健康管理センター長
    東山聖彦 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター 副院長(呼吸器外科)
    藤澤文絵 大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター 腫瘍内科副部長
    三井秀紀 国家公務員共済組合連合会 大手前病院 副院長(血液内科)

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