「これって自己炎症性疾患?」と思ったら
-疑い,捉え,実践する-

    定価 4,180円(本体 3,800円+税10%)
    國松淳和
    永生会南多摩病院
    A5判・280頁
    ISBN978-4-7653-1753-5
    2018年04月 刊行
    【 在庫状況 】
    在庫有り

    電子書籍書店で購入

    購入数

    内容紹介

    疾患群として定義された歴史が浅く、ほぼ出会わないような遺伝性のレア疾患、かつ緊急性もさほど高くないと考えられているがゆえに、認知度が低い自己炎症性疾患の診療の基本的な方針を、一般診療・日常診療という視点から徹底的に掘り下げた。

    本書を読めば、不明熱・不明炎症を検討するごく稀な機会に自己炎症性疾患が見つかるという一般的なイメージが覆され、自己炎症性疾患はありふれた疾患と診断しているものの中(表1-1 )にも隠れている疾患であり、自分の患者の中にも診断がつかず長年苦しんでいる人がいるのではないかと、患者の病歴・家族歴を確認したくなるだろう。そして自己炎症性疾患の病像観〈ゲシュタルト〉を獲得すれば、都市圏であれば年に何度も遭遇しうる疾患であることがわかるはずだ。本書では診療だけでなく、患者ケアまで扱っており、自己炎症性疾患を診断したい、あるいは診療を引き継ぐことになったすべての医師のための手引書である。

    序文

    自己炎症性疾患の臨床に手を出すと,気づくことがあります.それは「孤独」だということです.他科にコンサルテーションしてもよくわからないと言われ,膠原病の専門医に訊いてもよくわからないと言われ,また,病診連携・病病連携を図ろうとしても「よくわからないので無理」と言われ・・・(紹介状を書いたのに,補液目的の点滴の対応すらしてくれないこともありました).

    ただ,それ以上に孤独なのは患者さんです.「よくわからない」と年の単位で繰り返し言われ続けている患者さんの気持ちを考えたことがあるでしょうか.患者さんがたからしたら,医師の方が本来は包括的な知識があるはずです.医師は,いつから自分がよくわからないものに対応しなくなったのでしょうか.よくわからないものに応用が効くように体系的な”knowledge”を身につけたはずではなかったのでしょうか.よくわからないことにこそ,医師の存在価値があるとは思わないのでしょうか.

    本書は,自己炎症性疾患の臨床に手を出そうとした臨床医が,可能な限り一通り自己完結するための書です.少なくともそう願って書きました.他科の医師にさせるのではなく,自ら疑い,捉え,実践する.そうしたことの一部分でも,皆さまの診療のお力添えになればと願ってやみません.

    目次

    はじめに

    1章 一般臨床において自己炎症性疾患をどう疑うか?
    1 「自己炎症」とは
    2 「自己炎症とその周辺」のとらえ方
    3 小児科と成人内科のあいだをどうするか
    4 専門科と自己炎症性疾患

    2章 発熱を主徴とする自己炎症性疾患を分類する
    1 「繰り返す発熱」をどうとらえるか
    2 「周期性発熱」という言葉
    3 自己炎症性疾患における発熱パターン(いわゆる熱型)を把握するにあたって
    4 自己炎症性疾患における発熱パターンの分類の試み
    5 まとめ

    3章 家族性地中海熱から考える
    1 なぜ家族性地中海熱からなのか
    2 家族性地中海熱とは
    3 診断
    4 家族性地中海熱の鑑別疾患

    4章 家族性地中海熱の治療の実践
    1 概要
    2 コルヒチン開始後のタイムライン
    3 コルヒチンの副作用について
    4 コルヒチン治療がうまくいかないときの対策
    5 モニタリングの実際
    6 コルヒチンの作用機序
    7 ヨーロッパリウマチ学会によるFMFのマネジメントのための18の勧奨
    8 遺伝子検査の適応とタイミングの設定
    9 遺伝子検査の依頼の手順
    10 補遺

    5章 家族性地中海熱のvariationについて
    1 「これが地中海熱??」を考える
    2 家族性地中海熱と「+α」

    6章 発熱を主徴とするが、コルヒチンが効かない自己炎症性疾患
    1 TNF受容体関連周期性症候群
    2 クライオパイリン関連周期性症候群
    3 メバロン酸キナーゼ欠損症 / 高IgD症候群
    4 PFAPA症候群
    5 N LRP12関連周期性症候群
    6 NLRC4異常症

    7章 発熱が主徴とならない自己炎症性疾患
    1 Schnitzler症候群
    2 若年発症サルコイドーシス / Blau症候群
    3 中條-西村症候群
    4 PAPA症候群
    5 自己炎症性骨疾患

    8章 自己炎症性疾患の近縁疾患・類似疾患
    1 再発性心膜炎:家族性地中海熱様の症候をもつもの
    2 回帰性リウマチ:関節の症状を主徴としそれが反復するもの
    3 全身型若年性特発性関節炎:炎症性疾患・サイトカインストームの様相を呈するもの
    4 広義の自己炎症性疾患をどこまでとるか?
    5 まとめ

    9章 自己炎症性疾患の治療に関連する問題点?――治療motivation”について
    1 なぜ治療するのか
    2 どこまで治療するのか
    3 症状なくても治療するのか
    4 妊婦でも治療するのか
    5 コルヒチン不耐・抵抗性のときどうするのか
    6 本当のコルヒチン不耐・抵抗性と思えるとき
    7 他にできることはないのか

    10章 自己炎症性疾患における心理社会的な側面について
    1 成人移行を見据えた思春期医療の点から
    2 心身症としてのFMF
    3 機能性高体温症とFMFの鑑別
    4 遺伝学的検査・遺伝カウンセリングについて

    11章 自己炎症性疾患と患者さん
    1 自己炎症性疾患という病気の説明のしかた
    2 患者からの「Q and A」

    あとがき

    コラム
    コラム 1 蕁麻疹様血管炎と好中球性皮膚症
    コラム 2 ゲシュタルトとは
    コラム 3 創始者効果について
    コラム 4 「コルヒチン抵抗性」とは?

    執筆者一覧

    著 國松淳和(永生会南多摩病院)

    トピックス

    推薦の言葉 大阪医科大学附属病院総合診療科 鈴木富雄

    とんでもないものを書く人が、とんでもない本を出してきた。
    碩学かつ熟練の臨床家ならではの豊かで深い圧倒的な記述。自己炎症性疾患に対する國松先生のニッチなこだわりが出色の書を生んだ。その根底には、希少疾患であるがゆえに、長年診断されずに毎日を送る患者への思いが流れている。原因不明の発熱疾患を扱う医師たる者は、本書を一度は開くべし。刮目して読むべき一冊となるであろう。