ER・ICU必携 意識障害ファーストタッチ 脳波・MRIで決める次の一手
★2026年3月下旬 発売予定!★
意識障害診療をパワーアップさせる、33の実症例で学ぶ、脳波・MRIのファーストタッチ
内容紹介
ERやICUで遭遇する原因不明の意識障害に対して、その鑑別とてんかん重積状態(SE/NCSE)の管理で、脳波とMRIを読み解く力は強力な武器となります。
特に、一見難解な脳波を視覚的に把握できるDSA(Density Spectral Array)の活用法や、ASLを含むMRI所見との整合性を重視し、実践的な読み方を紹介します。
30例以上の豊富な実症例を通じ、初期対応から鎮静の出口戦略、抗発作薬の調整に至るまで、臨床現場でのDecision Makingを疑似体験することが可能で、二次的脳損傷を防ぎ、患者予後の改善につながる一冊です。
序文
名だたる救急医やジェネラリストはなぜ臨床で無双できるのか、それは目の前の最適解を瞬時に実行しつつ「次に何をするべきか」まで先回りできるからです。臨床はこの反復で成り立っており、意識障害の鑑別もこの延長線上にあります。しかし、そんな猛者にも必ず立ちはだかる壁があります。意識障害の脳波です。
では、なぜ臨床医は脳波にアレルギーを感じるのか。理由はシンプルで「正しく教わる機会がなかったから」にほかなりません。そこで筆者は、非専門医でも簡単にスクリーニングができるよう『はじめての脳波トリアージ(南江堂)』を2024年に上梓しました。同書では、予備知識がなくても緊急性の高い脳波アラートに気づき、最初のアクションを起こせるように構成しています。手に取っていただいた読者の皆様の中には「これなら自分でも読めるかもしれない」と感じた方もいたのではないでしょうか。そして、米国臨床神経生理学会が提唱する Standardized Critical Care EEG(いわゆる ACNS2021)とともに、本領域は転換期を迎えました。しかし、未だ脳波を介した意識障害の診療は激変していません。なぜならまだ圧倒的に「量」が足りないからです。
脳波は嘘をつかない——これは脳波界隈のレジェンドにいただいた言葉です。たしかに電気そのものは嘘をつかないのですが、脳波は単体で臨床の「答え」にはなりません。それこそ脳波専門医がコーヒー片手に「この波形は尖っていて悪そうだね」と涼しい顔でいったとしても臨床は前に進まないばかりか2歩ほど後退します。私たちが求めているのは「意識を回復させるための最適解」であり「脳機能予後の期待値を最大化する次のアクション」といった実践的なものです。そこには病歴があり、診察所見があり、ラボデータや画像検査があります。病態を神経症候学の観点から捉え、さらに脳機能解剖の視点で確認する必要があるのです。大事なことはそれらを統合して『次の一手』に落とし込むことであり、その土台となるのが結局「量」なのです。ただし、ここでいう量とは単なる経験症例数の多さではありませんし、典型的なアトラスを眺めることでもありません。症候―画像―脳波などをセットで組み合わせ「この所見なら次に何をするか」を自分の言葉で決める経験の回数であり、さらに言えば、答えのないグレーゾーンや判断が難しい所見へのアプローチの積み重ねです。だからこそ、臨床のリアルな、しかも泥臭いアトラスが必要ではないか。それが本企画の出発点でした。
本書は、意識障害の初期スクリーニング、画像と脳波の迅速判定、そして所見に基づく「次に行うべきアクション」をテーマとしました。冒頭に総論と簡単なトレーニング症例を置き、その後は各論として領域別の症例を提示します。具体的には、1)脳波・MRIの時間軸での読み分け、2)病態の原因推定、3)免疫介在性へのアプローチ、4)脳機能予後と治療介入のタイミング、5)外科系病態における急性期評価、6)ジェネラリストとして押さえるべき意識障害の診療、そして 7)集中治療領域の枠を越えた脳波活用までを段階的に扱っています。もちろん本書だけで臨床で無双することはできませんが、本書と実臨床でのラリーを積み重ねることで圧倒的な量をこなし、救急医やジェネラリストの皆さんが脳波とMRIを武器として活用できるようになる、その一手に本書があると信じています。
2026年2月 音成秀一郎
目次
Part 1 総論
ER/ICUでの脳波
てんかん・脳波関連の用語
脳波トリアージ周期性放電を捉える
脳波トリアージ・画像発作時脳波のアトラス:律動波
脳波トリアージRPPsは縦読みしない
脳波トリアージRPPsの背景を常に探る
Part 2 症例集
1.脳波とMRIでフェーズを捉える
症例1 鎮静下で脳波モニタリングした若年男性
症例2 健忘を契機に受診し、脳波で発作波を認めた高齢者
症例3 数分毎に意識減損を繰り返す妊娠女性
症例4 脳卒中後てんかん:重積で搬送されモニタリングで治療方針決定
2.RPPsの背景にある意識障害のetiology
症例5 入院後にNCSEとしてMDZで管理した高齢男性
症例6 自宅で倒れていた高齢男性
症例7 急性硬膜下血腫の術後の発作
症例8 テオフィリン中毒に伴うけいれん性てんかん重積状態
3.免疫介在性に強くなる
症例9 視覚異常で発症した抗LGI1抗体陽性脳炎〜歩行可能な非けいれん性てんかん重積状態〜
症例10 胸腺腫合併重症筋無力症の加療中に意識変容をきたした中年女性
症例11 Focal impaired awareness cognitive seizureが群発した中年女性
症例12 ヘルペス脳炎後に出現した自己免疫性を考慮する脳炎の再燃
症例13 SLEのacute confusion state
4.脳機能予後とTherapeutic time window
症例14 自宅で倒れていたアルコール多飲歴のある独居の高齢者
症例15 けいれん性てんかん重積状態の治療後に遷延する意識障害
症例16 低酸素脳症に関連したASL上のhyperperfusion
症例17 蘇生後脳症:脳波での治療方針決定
5.外科系の意識障害と急性期脳波
症例18 重積の脳挫傷と異なる部位に脳波異常を認めた重積症例
症例19 NCSEを呈したくも膜下出血後の症候性てんかん
症例20 CSDHに伴う急性症候性発作の高齢者
症例21 右IC-PC動脈瘤破裂によるSAH spasm期の意識障害
症例22 脳出血に合併した反応性の低下
6.ジェネラリストを強化する意識障害
症例23 アルコール性肝障害の女性のけいれん発作
症例24 精神科外来の待合で倒れた女性
症例25 けいれん発作後のMRI・脳波異常遷延:大酒家の中年男性
症例26 癒着性イレウスの治療中でのミオクローヌスと意識障害
症例27 亜急性に意識障害が進行した中年男性
7.Beyond Critical Care EEG
症例28 統合失調症の治療中に発熱と意識障害で搬送された高齢男性
症例29 脳梗塞加療中に遷延する意識障害
症例30 てんかん患者に出現した薬剤抵抗性の発作
症例31 視覚異常のMRIと脳波異常
症例32 低酸素脳症後の意識障害遷延:周期的に出現する脳波異常
症例33 電極が少なくて大丈夫なのか?:ヘッドセット脳波
NOTE
DSAアトラス
けいれんという単語の意味
NCSEを疑うポイント
この脳波、どう読む? 1
この脳波、どう読む? 2
COLUMN
脳波ビュアーを使いこなそう
発作予測スコアとNCSEのアプローチ
意識障害やてんかん重積の時に必要な画像検査は?
急性期の髄液検査:適応と評価項目





