薬剤師と腫瘍専門医のための がん薬物療法に役立つ腫瘍循環器診療ポケットブック

★2026年3月中旬 発売予定!★
がん治療と循環器管理の両立を支える、薬剤師・腫瘍専門医必携の一冊。
内容紹介
がん治療の進歩に伴い、予後を左右する「腫瘍循環器領域」の重要性が急増しています。
本書は、薬剤師をはじめとする医療従事者が、がん薬物療法と循環器管理を両立させるための実践的ポケットブックです。
心電図・心エコー・バイオマーカーなどの検査値の読み方から、アントラサイクリン系や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)などによる心不全、血栓症、不整脈、心筋炎といった合併症の管理法を網羅しました。特に現場で判断に迷う「抗がん薬の減量・休薬・中止・再開」の基準や、循環器治療薬との相互作用を薬剤ごとに詳細に解説しています。
序文
がん治療の進歩は目覚ましく、かつては「不治の病」であったがんは、今や「克服を目指し、長く付き合う疾患」へと変貌を遂げました。治療技術の向上は多くの福音をもたらしましたが、同時に私たちは新たな課題に直面しています。それが、がん治療に伴う心毒性や血管障害をマネジメントする「腫瘍循環器学(Onco-Cardiology)」の重要性です。
せっかくがんを克服しても、その後に心不全や血栓塞栓症などの心血管疾患によってQOLを損ない、命を落とすことがあってはなりません。またがんの治療が奏功しているにもかかわらず、治療によって心血管疾患を発症したために中断を余儀なくされ、結果としてがんの予後を悪化させてしまう事態も少なくありません。「がんを治すこと」と「心臓を守ること」の両立。これこそが、現代のがん治療において私たちが追求すべき至上命題です。特に高齢化が進むわが国では、もともと心疾患を抱えるがん患者も多く、治療開始前からの緻密なコントロールが不可欠となっています。
こうしたパラダイムシフトの中で、薬剤師の役割もまた劇的な変化を遂げました。近年の薬機法改正やリフィル処方箋の導入、専門医療機関連携薬局やかかりつけ薬剤師の誕生に見られるように、薬剤師には「薬を正しく渡すこと(対物業務)」を超え、「患者の生活と治療を継続的に見守る(対人業務)」ことが求められています。がん治療薬の進歩と複雑化が進む今、副作用の初期サインをいち早くキャッチし、適切な受診勧奨や医師へのフィードバックを行う薬剤師は、治療の安全性を担保する「門番」であり、患者に最も近い「健康のパートナー」にほかなりません。
本書は、多忙な臨床現場で薬剤師が即座に参照できるよう、実践的な視点で編纂いたしました。循環器の基礎知識や心血管合併症への対応の仕方、休薬・再開の判断基準については第一線の循環器医に、また腫瘍薬と循環器治療薬との相互作用やがん治療薬特有の心血管合併症については、がん診療の最前線であるがんセンターやがん研有明病院、大学病院などのエキスパート薬剤師の方々に執筆を依頼しました。
本書が、病院・薬局を問わず、がん患者を支えるすべての薬剤師にとっての羅針盤となることを願っています。患者さんががんを乗り越えたその先の人生を、健やかな心臓と共に歩んでいけるよう、共に知恵を出し合い、手を取り合っていきましょう。
最後に本書を編集していただいた岡亨先生と高木麻里先生、ならびにご執筆いただいた多くの先生方に心より感謝申し上げます。
2026年1月
国際医療福祉大学教授、東京大学名誉教授・特任教授
小室一成
目次
Ⅰ 薬剤師の役割
1.腫瘍循環器領域における薬剤師の重要な役割
Ⅱ 腫瘍循環器診療に役立つ循環器検査の基礎知識
1.心電図
2.バイオマーカー
3.心エコー図の読み方
4.心臓MRI、CT、核医学
5.心筋生検の読み方:基礎知識とアドリアマイシン心筋症、心筋炎の病理像の解説
6.下肢静脈エコーの読み方
Ⅲ 心血管合併症への対応
1.高血圧
2.血栓症
3.心不全
4.不整脈
5.心筋炎
6.肺高血圧
7.末梢動脈疾患(動脈硬化性疾患)
8.がん性心タンポナーデ
Ⅳ がん治療薬の減量・休薬・中止・再開の判断
1.がん治療関連心血管毒性とがん治療薬継続の可否
Ⅴ がん治療薬と循環器治療薬との相互作用
1.がん治療薬とDOACとの相互作用
Ⅵ がん治療薬分類別心血管合併症
1.アルキル化薬
2.代謝拮抗薬
3.微小管阻害薬
4.白金製剤
5.トポイソメラーゼ阻害薬
6.分子標的薬(高分子抗体)
7.分子標的薬(低分子化合物)
8.ホルモン療法薬
9.免疫調整薬
10.免疫チェックポイント阻害薬
11.再生医療等製品(CART細胞療法)
12.その他(支持療法薬・緩和領域)
執筆者一覧
■監修
小室一成 国際医療福祉大学教授/東京大学名誉教授・特任教授
■編著
岡亨 埼玉県立がんセンター副病院長
髙木麻里 大阪国際がんセンター薬局長
■執筆者一覧(五十音順)
池下智之 手稲渓仁会病院薬剤部
石川雄大 富山大学附属病院薬剤部腫瘍循環器チーム
泉知里 国立循環器病研究センター心不全・移植部門
井上千菜美 群馬県立がんセンター薬剤部
上原雅恵 がん研究会有明病院腫瘍循環器・循環器内科
大倉裕二 新潟県立がんセンター新潟病院腫瘍循環器科
大橋養賢 国立国際医療センター薬剤部
折山豊仁 東京大学医学部附属病院薬剤部
加藤敦 富山大学附属病院薬剤部腫瘍循環器チーム
角川幸男 大阪国際がんセンター薬局
鎌田宏和 大阪国際がんセンター薬局
北原康行 地方独立行政法人東京都立病院機構がん・感染症センター/都立駒込病院循環器内科
櫻井学 神奈川県立がんセンター薬剤科
塩山渉 滋賀医科大学循環器内科
志賀太郎 がん研究会有明病院腫瘍循環器・循環器内科
渋谷悠真 国立がん研究センター東病院薬剤部
清水克次 大阪国際がんセンター薬局
清水久範 がん研究会有明病院薬剤部
庄司正昭 国立がん研究センター中央病院循環器内科
瀬尾由広 名古屋市立大学大学院医学研究科循環器内科学
高橋幸三 大阪国際がんセンター薬局
竹石恭知 福島県立医科大学循環器内科学講座
田尻和子 国立がん研究センター東病院循環器科
田村雄一 国際医療福祉大学三田病院心臓血管センター・肺高血圧症センター
田村祐大 国際医療福祉大学三田病院心臓血管センター・肺高血圧症センター
土岐真路 聖マリアンナ医科大学病院治験管理室
藤堂真紀 埼玉医科大学国際医療センター薬剤部
中川仁 奈良県立医科大学循環器内科
中山季昭 埼玉県立がんセンター薬剤部
畠山金太 国立循環器病研究センター病理部
福島賢慈 福島県立医科大学放射線医学講座
藤田雅史 大阪国際がんセンター腫瘍循環器科
藤田行代志 群馬県立がんセンター薬剤部
松居一悠 埼玉県立がんセンター総合内科
水頭望 国立がん研究センター中央病院薬剤部
安居琢 大阪国際がんセンター腫瘍循環器科
山下侑吾 京都大学医学部附属病院循環器内科
吉野真樹 新潟県立津川病院薬剤部
渡部大介 国立がん研究センター中央病院薬剤部




