副作用? がんによる? 併存疾患? がん患者の精神症状に合わせた 向精神薬の選び方・使い方

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定価 3,740円(本体 3,400円+税10%)
上村恵一
国家公務員共済組合連合会斗南病院精神科・緩和ケア内科
B6判・180頁
ISBN978-4-7653-2086-3
2026年03月 刊行
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★2026年3月中旬 発売予定!★

副作用か、がんによるものか、併存疾患か——迷いやすい精神症状を一冊で整理! 心不全・腎不全にも対応した“使える向精神薬ガイド”が誕生。パッと見てわかりやすい「がん治療薬の精神症状副作用リスト」付録つき!

内容紹介

がんを治療する現場で「これは副作用なのか、がんによるものなのか、はたまた併存疾患によるものか……」と迷う瞬間は少なくありません。本書は、精神腫瘍医であり精神薬理の専門家でもある著者が、腎不全・心不全をはじめとする併存疾患に着目した症例を厳選して収載した、これまでにない精神症状マネジメントガイドブックです。

身体疾患ががん患者の精神症状にどのように影響するでしょうか? そして症状が出現したときに医療従事者は何を優先し、どう対応するべきでしょうか? 様々な状況を鑑み、がん患者の精神症状の原因の見極め方と対応の極意を、実践的に整理しました。特に、併存疾患を踏まえた向精神薬の適切な選び方と使い方を詳述しており、次期診療報酬改定で注目される腎不全については、薬物選択、用量調整、禁忌や注意点をていねいに解説しています。症例ベースで読みやすく、精神科医、がん治療医、当直医・看護師・薬剤師など多職種が共通言語として使える構成としました。併存疾患を抱えるがん患者の精神症状に強くなりたい医療者に向けた、現場直結の必携書です。

序文

まえがき

がん医療の進歩は目覚ましく、治療成績の向上に伴いがんとともに生きる期間が長くなり、患者さんのQOL(生活の質)の維持、特に身体的な苦痛だけでなく、精神的な苦痛への対応の重要性が、かつてないほど高まっています。さらに、がん患者さんの高齢化から、多くの身体合併症を持つ方が増えています。

特に、心不全、腎不全、肝不全といった重篤な臓器障害を伴う場合の向精神薬の調整には、臓器の病態生理と向精神薬の薬物動態(PK/PD)に関する知識、そして豊富な臨床経験が求められます。この領域の向精神薬の使い方はガイドラインにも明記がなく、多くが保険診療上における適応外使用に該当するため成書にも記載がありません。以前からサイコオンコロジーと臨床精神薬理の専門家としてこのテーマについてまとめておきたいという気持ちを強く持っていました。

本書は、「臓器障害を合併するがん患者さんへの、安全で効果的な症状マネジメント」に焦点を当て、症状別の包括的な評価と、個別化された薬物対応指針をまとめたものです。単なる知識の羅列ではなく、臨床の「生きた知恵」として、現場で即座に役立てていただける実践的な内容となるよう、構成を工夫いたしました。

本書が、日々、がん患者さんと向き合い、その苦痛の軽減に尽力されている全ての医療者の皆様の一助となり、ひいては患者さんのQOL向上に貢献できることを心より願っております。

上村恵一

目次

まえがき

PART1 症状別の対応
1 抑うつ症状・不安
薬剤性
原病性
対応
治療中止の考慮
アフターケア

2 不眠
薬剤性
原病性
対応
症例検討
治療中止の考慮
アフターケア
なぜ「感染制御部」が「管理部門」なのか?
感染対策には診療報酬、病院にとっては「買い」

3 幻覚・妄想への心身統合的アプローチ
薬剤性
原病性
対応
治療中止の考慮
アフターケア

4 せん妄・意識障害
薬剤性
原病性
対応
治療中止の考慮
アフターケア

5 認知症症状
薬剤性
原病性
対応
治療中止の考慮
アフターケア

6 てんかん・けいれん
薬剤性
原病性
対応
治療中止の考慮
アフターケア

7 薬剤性パーキンソニズムなどの運動障害
薬剤性
原病性
対応
治療中止の考慮
アフターケア

8 感覚障害
薬剤性
原病性
対応
治療中止の考慮
アフターケア

PART2 精神症状対応のアップデート
1 見過ごされがちな精神・神経症状の真の原因を探る
はじめに:なぜ緩和ケア医がirAE について語るのか
精神・神経症状の落とし穴:脳炎か、それとも……
症状性精神障害を引き起こす内分泌・電解質異常
羅針盤としての定期的な血液検査
症例に学ぶ:倦怠感の真の原因
まとめ:多職種連携と定期的アプローチの重要性

2 高齢者の不眠に対する睡眠衛生指導
問診のポイント:眠れない原因を探る
睡眠衛生指導の具体的な内容
加齢に伴う睡眠の変化と必要な睡眠時間
最後に

3 オレキシン受容体拮抗薬の新しい使い分け
薬理作用の核心:オレキシン受容体へのアプローチ
新しい使い分けの概念

4 COVID-19パンデミック下における向精神薬使用:緩和ケアの視点から
はじめに:パンデミックが変えた緩和ケアの現場
抗精神病薬の選択:QT 延長症候群への留意
睡眠薬の選択:メラトニン受容体作動薬の有用性
患者中心の個別化医療の重要性

5 超高齢社会におけるがん患者の意思決定支援:語りかけ、想像し、受け取るケア
意思決定支援の重要性と高齢がん患者の現状
人口動態の変化と高齢がん患者の現状
認知症患者の意思決定支援:本人の能力と支援者の支援の能力
「語る力」を前提としないコミュニケーション:逆傾聴の提唱
語りかけ、想像し、受け取るケアの実践
多職種連携によるサポート体制の構築
まとめと展望

付録 がん治療薬精神症状副作用リスト

あとがき
索引
著者プロフィール

執筆者一覧

■著
上村恵一 国家公務員共済組合連合会斗南病院精神科・緩和ケア内科

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