症候からわかる irAE逆引きマニュアル

  • 新刊
定価 4,950円(本体 4,500円+税10%)
野口哲男(呼吸器ドクターN)
市立長浜病院呼吸器内科
A5判・183頁
ISBN978-4-7653-2070-2
2025年11月 刊行
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研修医や非専門医が救急外来などで、がん患者のirAEに出合ったら、症状(+検査)→診断(病名)→治療でirAEを適切に処置!

内容紹介

本書は、近年注目を集めている免疫チェックポイント阻害薬(ICI)に伴って発現する副作用、「免疫関連有害事象(irAE)」への実践的な対応法をまとめた、医療従事者向けの実用書です。ICIの登場によりがん治療は大きく進展しましたが、それに伴い、従来とは異なる副作用であるirAEへの理解と適切な対応が求められるようになっています。

著者は、経験の浅い医師や看護師をはじめとするすべての医療従事者がirAEに自信を持って対応できるよう、「連携体制の構築」「患者教育の徹底」、そして著者が独自に作成した「irAE逆引きマニュアル」の3本柱を提唱しています。

なかでも「irAE逆引きマニュアル」は、症状から疑われる疾患を迅速に確認できる構成となっており、診断・検査・治療の流れをワンストップで把握できる実用的なツールです。現場での即応力を高める一助となるでしょう。

また、irAEの治療には多様かつ専門的な対応が必要とされるため、各診療科やメディカルスタッフとの密な連携が不可欠です。さらに、患者さんやご家族への丁寧な説明の重要性にも焦点を当て、チーム医療における各職種の役割についても紹介しています。

序文

呼吸器専門医として、情報発信を続けて20年以上
私は呼吸器ドクターNのハンドルネームで2000年にホームページを開設し、その後、ブログ、YouTubeと媒体を増やしながら、呼吸器に関わる医療情報を発信し続けてきました。2024年には肺がん診療の初心者向け解説書『肺がん診療のリアル -この1冊で肺がん診療がまるごとわかる-』を執筆し、おかげさまでご好評をいただいています。

免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療に伴う免疫関連有害事象(irAE)に、どう立ち向かうか?
近年、がん治療の分野では、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が目覚ましい効果を上げており、その適応となるがん種は増える一方です。ICIは、従来型の抗がん薬とは異なるメカニズムでがん細胞を攻撃するため、副作用の現れ方も大きく異なります。

ICI治療に伴う代表的な副作用が、免疫関連有害事象(irAE)です。免疫細胞ががん細胞だけでなく、正常な細胞まで攻撃してしまうことで、irAEが起こります。irAEは、皮膚炎や甲状腺機能低下症など、様々な症状を引き起こす可能性があります。

irAEは既存の抗がん薬の副作用とは全く異なるため、対応に苦慮する医療従事者も少なくありません。特に、経験の浅い医師や看護師にとっては、irAEの早期発見や適切な対応は大きな課題です。

連携体制、irAE逆引きマニュアル、患者教育の3本柱で、irAE対策を万全に
irAE対策の3つの柱として、私は「連携体制の構築」「irAE逆引きマニュアル」「患者教育の徹底」を提唱しています。

❶ 各診療科のスペシャリストと連携し、チームでirAEに対処する
irAEは、多岐にわたる症状を引き起こすため、各診療科のスペシャリストとの連携が不可欠です。また、看護師、薬剤師といったメディカルスタッフとの連携や、開業医との連携も不可欠です。本書を参考に各診療科の専門医と緊密な連携を取って、チーム医療でirAEに対処しましょう。

❷ どんな症状から、どんな病気が疑われるか?(irAE逆引きマニュアル)
irAE逆引きマニュアルは、irAE症状から疑われる病名を提示しました。各病名については、マニュアルの後半部分で症状の特徴、検査方法、治療法などを簡潔にまとめています。

これにより、irAEの症状が現れた際に、どのような病気が疑われるのか、どのような検査をすればよいのか、そしてどのように治療すればよいのかといった情報を、迅速にワンストップで把握することができます。

❸ 患者さんへの丁寧な説明(患者教育)こそ、最良のirAE対策
irAE対策で最も重要なのは、患者さんへの丁寧な説明だと思います。患者さんやそのご家族は、irAEの症状が現れた際に、不安や疑問を抱えていると思います。

そのような患者さんに対して、irAEの原因や症状、治療法などを丁寧に説明することで、患者さんの不安を軽減し、治療への協力を促すことができます。この際、医師からの説明よりも、薬剤師、看護師からの繰り返しの説明の方が患者さん、ご家族にとっては理解しやすいと思います。

メディカルスタッフの方は、ぜひ患者教育で中心的役割を担ってください。

おわりに
本書はirAE対策の道しるべとして日々の診療でご活用いただけることを確信しております。本書を手に取った皆さんがirAE対策に自信を持ち、患者さんに安心安全な医療を提供できるようになることを心より願っています。

最後に、本書の出版を提案していただいた金芳堂 西堀智子さん、編集でお世話になった一堂芳恵さん、そしていつも支えてくれている家族に心より感謝します。

2025年9月
市立長浜病院呼吸器内科
野口哲男(呼吸器ドクターN)

目次

一般略語
抗がん薬略語

第1章 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)と免疫関連有害事象(irAE)概論
① 肺がん治療における免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の位置づけ
② ICIの作用機序
③ 免疫関連有害事象(irAE)
④ irAEの治療(ステロイド)
⑤ irAEの治療(免疫抑制薬)
⑥ irAE対策の3つの柱

第2章 irAE逆引きマニュアル
① irAE逆引きマニュアルの全体像
② irAEの8つの症状とその原因疾患
③ irAEを疑う際の検査(ICI使用前・投与中・終了後)
④ 超緊急対応を要するirAE
⑤ 緊急対応を要するirAE
⑥ 準緊急対応を要するirAE

第3章 irAEケースレポート
case ① 副腎障害+甲状腺機能低下症
case ② 大腸炎・下痢
case ③ 間質性肺疾患(ILD)
case ④ 重症筋無力症
case ⑤ だるさと頻脈で救急受診
case ⑥ サイトカイン放出症候群(CRS)

第4章 臨床的疑問(CQ)
CQ① irAEが起こるとICIの効果が期待される?
CQ② ICIの効果に影響する因子は?
CQ③ ICIの効果の特徴(long tail)は?
CQ④ TPSが陰性でも、抗PD-1抗体/抗PD-L1抗体の効果があるのはなぜ?
CQ⑤ ICIはいつまで続ける必要がある?
CQ⑥ PS不良患者へのICIの投与は?
CQ⑦ 抗PD-1抗体と抗PD-L1抗体の違いは?
CQ⑧ ICIと血管新生阻害薬の併用は?

付録 肺がんで使うICI

コラム
① 「ニブ」と「マブ」
② pseudo-progression(偽病勢進行)
③ TMBとMSI
④ 外来化学療法室のベッド予約は困難
⑤ 介入試験と観察研究
⑥ ICIの効果と腸内細菌
⑦ 22C3抗体とSP142抗体

執筆者一覧

■著
野口哲男(呼吸器ドクターN) 市立長浜病院呼吸器内科

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