カラー図解 人体発生学講義ノート
第3版

    定価 6,820円(本体 6,200円+税10%)
    塩田浩平
    京都大学名誉教授・滋賀医科大学名誉教授
    A4判・281頁
    ISBN978-4-7653-2032-0
    2025年03月 刊行
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    人体発生学の定番テキストが待望の改訂! 日本人研究者による、読みやすく統一感のある解説と、豊富なカラー図版・写真で、発生学をスムーズかつビジュアルに理解できる。初学者の最初の一冊に最適!

    内容紹介

    本書は、個体発生の全体の流れをまとめた総論(第1章~第9章)と、各器官系の器官発生を扱った各論(第10章~第19章)からなる全19章で構成されています。主要な発生現象や器官発生の分子メカニズムについても詳しく記載されており、世界的に有名な京都大学のヒト胎児コレクションからの貴重な写真を多数収載しています。さらに、理解を深めるために関連事項や臨床疾患などを「MEMO」や「TOPICS」として解説しています。限られた時間の中でも効率的に学習できるよう、各章の冒頭には「その章のサマリー」「キーワード」「その章で扱う発生の流れ」をまとめて掲載し、学習内容を振り返るために各章の章末には練習問題を設けました。また、重要語句やキーワードが一目でわかるよう、本文中では太字で表記しています。

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    序文

    第3版の序

    「カラー図解 人体発生学講義ノート」の初版を上梓してから約10年が経過した。初版、第2版と多くの方に利用していただき、また全国の大学で教科書あるいは参考図書として採用していただいたこともあって、増刷を重ねることができた。

    人体発生学は外国の定評ある書物がいくつかあるが、日本人の手になる質の高い学習書を完成したいというのが筆者の念願であった。筆者は永年、京都大学医学研究科で正常・異常発生の研究に従事し、医学部学生に発生学の教育を行ってきた。世界的に知られるヒト胚子コレクション「京都コレクション」の責任者を永く務め、その標本と観察データを用いて様々な研究を行ってきたことから、「京都コレクション」の写真をふんだんに用いていることが本書の特色となっている。

    第3版の改訂に当たっては、第2版の内容を詳細に見直し、また読者からの指摘や関連研究者からの助言を踏まえて、内容の充実とアップデートに努めた。不十分な箇所には加筆や修正を行い、新しい図表を追加した。特に、第9章(発生異常)、第12章(循環器系)、第16章(神経系)は大幅に加筆した。数値データについては、最新のものを採用し、可能なところは日本人のデータを記載した。内分泌器官については、独立した章とはせず、関連の深い章の中に記載した(下垂体:第16章、甲状腺:第17章、副腎:第16章など)。なお、重要な術語等は文中に太字で表記した。

    形態形成は、三次元的な構造が時間経過とともにダイナミックに変化する四次元的な現象である。複雑な形態変化を平面的な図で理解することが容易でないこともある。幸い、世界の研究者や研究機関が個体発生、器官発生の動画(ムービー)を作成しSNS上で公開している。キーワード(例えば「heart development human movie」)で検索すると、多くの動画資料が提示される。優れた動画は、読者の理解を助けるものとなる。ただし、中には不正確なものや極端にデフォルメしたものがあるので、よく取捨選択して活用されたい。

    体や器官の成り立ちや生まれつきの原因による疾患を理解する上で、発生学の知識は不可欠である。また、医学部のCBT試験や医師国家試験にも人体発生学や先天性疾患に関する問題が出題される。本書で学習したあと、各章末の復習問題で理解度を確認していただきたい。

    本書が、ヒトの発生についての理解を深め、発生現象に関する読者の興味を引き起こす一助になれば幸いである。

    2025年2月
    塩田浩平

    目次

    chapter 1 発生とは
    1 発生と発生学
    2 個体発生と系統発生
    3 発生のメカニズム
    4 細胞の分化と分化形質の安定性
    5 遺伝子による発生の制御
    - 1 ホメオティック遺伝子
    - 2 重要な遺伝子は種を超えて共通の機能を担っている
    - 3 多数の遺伝子は互いに階層性(階層的集積性)をもって働いている
    - 4 主要な遺伝子は様々な部位やタイミングで繰り返し働く
    - 5 遺伝子の重複
    6 発生異常
    7 生殖発生医学と出生前医学
    8 発生と再生医学

    chapter 2 生殖細胞の発生
    1 体細胞分裂と減数分裂
    - 1 体細胞分裂
    - 2 減数分裂(成熟分裂)
    2 原始生殖細胞
    3 精子の発生
    - 精子形成
    4 卵[子]の発生

    chapter 3 排卵から着床まで
    1 卵細胞の成熟と排卵
    2 排卵
    3 月経周期とホルモン
    4 卵細胞の移動
    - 黄体の形成
    5 受精
    - 1 受精能獲得
    - 2 先体反応
    6 接合子の形成
    7 卵割と初期胚の形成
    8 着床

    chapter 4 二層性胚盤(発生第2週)
    1 着床の進行
    2 栄養膜の分化と胚盤の形成
    3 胚外中胚葉の発生と胚外体腔の形成
    4 子宮胎盤循環の成立
    5 着床部位の異常

    chapter 5 三層性胚盤(発生第3週)
    1 原始線条の形成
    2 胚内中胚葉の発生
    3 脊索突起と脊索の形成
    4 沿軸中胚葉の発生と分化
    5 胚内体腔の発生
    6 外胚葉の分化と神経管の形成
    7 初期血管系の発生
    8 胚葉の分化

    chapter 6 胚子期後半(第4~8週)
    1 神経管の形成
    - 神経堤(神経冠)細胞
    2 胚子の屈曲
    3 咽頭弓の形成と分化
    4 体節の分化
    5 各週における主要な形態的変化
    - 1 第4週
    - 2 第5週
    - 3 第6週
    - 4 第7週
    - 5 第8週
    6 胚子の発育と胎齢

    chapter 7 胎児期
    1 妊娠期間と胎齢
    2 胎児の発育
    3 胎児期における主要な形態的変化
    - 1 妊娠3か月(第7~10週、最終月経齢の8~11週)
    - 2 妊娠4か月(第11~14週)
    - 3 妊娠5か月(第15~18週)
    - 4 妊娠6か月(第19~22週)
    - 5 妊娠7か月(第23~26週)
    - 6 妊娠8か月(第27~30週)
    - 7 妊娠9か月(第31~34週)
    - 8 妊娠10か月(第35~38週)
    4 子宮内の胎児の位置
    5 分娩
    6 新生児
    7 出生前診断
    - 1 超音波診断法
    - 2 羊水穿刺
    - 3 絨毛生検
    - 4 母体血を用いる検査
    - 5 胎児鏡(子宮内内視鏡)
    - 6 その他の胎児観察法

    chapter 8 胎盤と胎膜
    1 絨毛膜と胎盤絨毛
    2 脱落膜の形成
    3 胎盤の機能
    - 1 物質輸送
    - 2 物質代謝
    - 3 胎盤のホルモン産生
    4 妊娠末期の胎盤
    5 𦜝帯
    6 羊膜と羊水
    7 卵黄嚢と尿膜
    8 多胎妊娠
    - 1 多胎妊娠の卵性
    - 2 多胎妊娠の卵性診断

    chapter 9 発生異常
    1 発生異常の種類
    2 発生異常の頻度
    3 先天奇形の病理発生
    4 発生異常の原因
    - 1 単一遺伝子の異常 single gene defect
    - 2 ゲノムインプリンティングの異常
    - 3 染色体異常
    - 4 環境要因
    - 5 多因子遺伝による先天異常
    5 先天異常の原因の多様性
    6 先天異常の治療
    - 1 外科的治療
    - 2 胎児手術
    - 3 胎児輸血
    - 4 経胎盤内科的治療
    - 5 養育
    7 先天異常の予防

    chapter 10 運動器系(骨格と筋)
    1 骨格系の発生
    - 1 軟骨の発生
    - 2 骨の発生
    - 3 主な骨格の発生
    - 4 関節の発生
    - 5 骨格系の発生異常
    2 筋の発生
    - 1 筋分化の分子機構
    - 2 骨格筋
    - 3 心筋
    - 4 平滑筋

    chapter 11 体腔と漿膜
    1 体腔の発生
    2 胚内体腔の分割
    3 横隔膜の発生

    chapter 12 循環器系
    1 初期の血管発生
    - 初期血管発生に関与する分子
    2 心臓の形成
    - 1 原始心筒の形成
    - 2 心ループの形成
    - 3 心室と心房の形成
    - 4 心臓内腔の分割
    - 5 心臓の発生と神経堤細胞
    - 6 心臓形成に関与する分子
    - 7 先天性心臓奇形患者に見られる遺伝子異常
    3 血管の発生
    - 1 動脈の発生
    - 2 静脈の発生
    4 出生に伴う血行動態の変化
    5 胎生期の造血
    6 リンパ系の発生

    chapter 13 消化器系
    1 消化管の初期発生
    2 口腔の発生
    - 1 口蓋の形成
    - 2 舌の発生
    - 3 唾液腺の発生
    3 咽頭の発生
    4 食道の発生
    5 胃の発生
    - 1 網嚢の形成
    - 2 胃の組織発生
    6 十二指腸の発生
    - 十二指腸の組織分化
    7 空腸、回腸、結腸の発生
    - 1 小腸の組織発生
    - 2 排泄腔の分化
    - 3 大腸の組織発生
    8 膵臓の発生
    - 1 膵臓の組織発生
    - 2 膵島細胞の分化
    9 肝臓と胆道の発生
    - 1 肝臓の組織発生
    - 2 胆道系の発生

    chapter 14 呼吸器系
    1 鼻腔の発生
    - 副鼻腔の発生
    2 咽頭の分化と喉頭の発生
    3 気管の発生
    4 気管支と肺の発生
    5 肺の組織発生
    6 気道と肺の分化に関与する分子
    7 呼吸器系の先天異常

    chapter 15 泌尿生殖器系
    1 泌尿器系の発生
    - 1 腎臓の発生
    - 2 腎臓発生に関与する分子
    - 3 腎臓と尿管の発生異常
    - 4 膀胱と尿道の発生
    - 5 前立腺と尿道球腺の発生
    - 6 膀胱、尿道の発生異常
    2 生殖器系の発生
    - 1 性の決定
    - 2 性腺(生殖腺)の形成と原始生殖細胞
    - 3 精巣の発生と分化
    - 4 卵巣の発生と分化
    - 5 生殖管の分化
    - 6 外生殖器の発生と分化
    - 7 性腺の下降
    - 8 性分化の制御メカニズム
    - 9 性分化疾患と生殖器の先天異常

    chapter 16 神経系
    1 脳胞の発生と分化
    2 ニューロメア(神経分節)
    3 神経管における細胞の動態と分化
    4 グリア細胞の発生
    5 ニューロンとグリア発生の分子機構
    6 脊髄の発生
    7 髄鞘形成
    8 脳の発達
    - 1 延髄
    - 2 橋
    - 3 小脳
    - 4 中脳
    - 5 間脳
    - 6 終脳
    - 7 大脳基底核
    - 8 交連
    9 大脳皮質形成の分子機構
    10 髄膜と脈絡叢の発生
    11 末梢神経系の発生
    - 1 体性感覚神経
    - 2 体性運動神経
    - 3 自律神経
    12 神経系の発生異常

    chapter 17 顔面および頭頚部
    1 顔面の初期発生
    2 咽頭弓の分化
    3 咽頭弓の間葉から分化する筋と骨格
    4 咽頭嚢の分化
    5 頭頚部の形態形成メカニズム
    6 頭蓋骨の発生
    - 1 軟骨性神経頭蓋
    - 2 膜性神経頭蓋
    - 3 軟骨性内臓頭蓋
    - 4 膜性内臓頭蓋
    7 頭頚部の発生異常

    chapter 18 眼と耳
    1 眼の発生
    - 1 眼の初期発生
    - 2 網膜
    - 3 虹彩
    - 4 毛様体
    - 5 水晶体
    - 6 硝子体
    - 7 角膜と前眼房
    - 8 脈絡膜と強膜
    - 9 外眼筋
    - 10 眼𥇥
    - 11 眼の発生の分子メカニズム
    - 12 眼の発生異常
    2 耳の発生
    - 1 内耳
    - 2 卵形嚢と半規管
    - 3 球形嚢、蝸牛、ラセン器
    - 4 中耳
    - 5 外耳
    - 6 耳の発生の分子メカニズム
    - 7 耳の発生異常

    chapter 19 皮膚および付属器
    1 皮膚の発生
    2 毛の発生
    3 脂腺の発生
    4 汗腺の発生
    5 乳腺の発生
    6 爪の発生
    7 歯の発生
    8 皮膚および付属器の発生異常

    復習問題の解答と解説
    文献
    索引

    執筆者一覧

    ■著
    塩田浩平 京都大学名誉教授・滋賀医科大学名誉教授

    トピックス