大圃組はやっている!! 消化器内視鏡の機器・器具・デバイスはこう使え!

    定価 4,400円(本体 4,000円+税10%)
    編集大圃研
    NTT東日本関東病院 内視鏡部 部長
    A5判・340頁
    ISBN978-4-7653-1726-9
    2017年10月 刊行
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    最強の機器マニュアル、現る!

    内容紹介

    ますます増加、進歩していく消化器内視鏡の機器・器具・デバイス。その使い方を、カリスマ内視鏡医が率いる「大圃組」が親切丁寧に教えます。基本操作から使いこなすためのヒント・コツ・裏技まで、600点におよぶ写真・図表を駆使して、視覚的に解説。まさに最強の機器マニュアルが完成しました。さらに、各種デバイスのスペック表などを収録したポケットサイズのお役立ち冊子も付いています! 内視鏡技師、看護師から内視鏡医まで、消化器内視鏡に携わる全てのスタッフ必携!

    序文

    消化器内視鏡診療はその手技のみならず、それを取り巻く環境を含めて日進月歩の進化を遂げています。

    私が医師になってもう20年になりますが、卒後すぐの頃は内視鏡室にはいわゆる覗きの胃カメラもまだあり、移動用の内視鏡としてそれを病室に持っていき、胃瘻造設を行ったりしていました。イレウスチューブを入れるのは透視下で用手のみで行い、どうにもならない時には経口内視鏡を用いてスネアでチューブ先端をつかんで十二指腸に誘導したこともあります。経鼻内視鏡がまだありませんでしたから、それを用いてイレウスチューブを入れるなどということを考えもしませんでした。私のライフワークのひとつである内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)に至っては、いわゆる黎明期から携わりましたが、高周波装置の設定などほとんどなく、機器そのものも非常にシンプルでした。今では機器の進歩のおかげで様々な処置を以前とは比較にならないほどスマートに行えるようになり、当時を思うと若輩者ながら隔世の感があります。

    一方で、昔は内視鏡本体をはじめとした機器の構造もアナログ・直観的でわかりやすいものでしたが、今の機器はコンピューター化され、ある意味ブラックボックスになっており、医療者が機器に使われているように感じることさえあります。特に私のようにある程度の年代になってくると、何かあって困ったら“主電源を切ってつけ直す”という手段しか思いつかない、そんな医療従事者も少なくないのでは……。今の内視鏡機器は精密電子機器です。そんな専門性の高い機器を扱う方の全ての方が内視鏡専属で勤務をしている訳ではないと思います。むしろ専属の方は少なく、ローテーション業務をしている、初めて内視鏡機器に関わる、といった方が多いのではないでしょうか。そんな勤務の中で精密機器の仕組みや使い方を理解するのは難しいと思います。毎日いじっている私でもよくわかっていないことだらけですから……。

    そこで、より専門性の高い知識をもった職種である内視鏡技師と協業することが必要になってくるのだと思います。当院も念願の臨床工学技士兼内視鏡技師である、志賀拓也君を2016年度から採用することができました。そして彼の豊富な知識を当院内にだけ留めるにはあまりに惜しいと思っていたその時、金芳堂の黒澤さんとお話する機会をいただきました。そして機器取り扱いのマニュアル本を通じて、彼のノウハウを伝道してみてはという提案をいただきました。そして、それならもう一人、看護師兼内視鏡技師としての立場でも全体をまとめる人材が欲しいと思い、剛腕の弟子、佐藤貴幸君を共同執筆とさせていただきました。彼は国内のみならず海外でも私の内視鏡診療に同行し、二人三脚で歩んできたので、私のスタイルや考えをよく理解しています。そして、この私の誇る飛車・角の二人には、その思いを伝えるために、極力単著に近い形で執筆をお願いしました。

    こんなに詳しいのにわかりやすい、そんな機器取り扱いを詳述した本は見当たらないと自信をもってお勧めできます。本書は大病院から診療所まで、専門職から兼務の方まで、様々な立場の内視鏡診療に従事する看護師、技師さんに必読の一冊だと思います。

    内視鏡機器への深い理解は、必ず安全かつ有用な内視鏡診療の土台になるはずです。そして、それらが患者さんへ還元されていくために、本書が内視鏡診療に携わる種々の立場の方に手に取っていただき、活用いただけることを祈っております。

    2017年9月
    大圃 研

    目次

    1章 はじめに覚えるべき基礎知識
    ①内視鏡システム
    ②内視鏡の名称・構造
    ③撮像方式の種類と原理
    ④内視鏡システムのセッティング手順

    2章 内視鏡周辺機器
    ①画面モニタ
    ②システムプロセッサ
    ③光源装置
    ④内視鏡用送水ポンプ
    ⑤炭酸ガス送気装置

    3章 電子スコープ
    ①上部/下部/処置用スコープ
    ②十二指腸用スコープ
    ③超音波内視鏡
    ④カプセル内視鏡
    ⑤バルーン内視鏡
    ⑥保守管理

    4章 高周波装置
    ①高周波装置の基礎知識
    ②ERBEの高周波装置
    ③オリンパスの高周波装置
    ④APC

    5章 処置具・デバイス
    A 検査・診断等で用いられるデバイス
    ①生検鉗子
    ②マウスピース
    ③散布チューブ
    ④NTチューブ
    ⑤先端フード
    ⑥オーバーチューブ

    B 止血術で用いられるデバイス
    ①回転クリップ装置
    ②高周波止血処置具
    ③留置スネア
    ④静脈瘤結紮用Oリング
    ⑤アルト原末、アルトシューター

    C ESD・EMRで用いられるデバイス
    ①局注針
    ②高周波ナイフ
    ③高周波スネア
    ④回収デバイス

    D ERCPで用いられるデバイス
    ①ガイドワイヤー
    ②造影カテーテル
    ③乳頭切開処置用デバイス
    ④乳頭拡張バルーン
    ⑤EBDステント
    ⑥ENBDチューブ
    ⑦採石処置具
    ⑧砕石バスケット
    ⑨細胞診ブラシ
    ⑩EUS-FNA/FNB針

    E 拡張術で用いられるデバイス
    ①拡張バルーン
    ②メタルステント

    F PEGで用いられるデバイス
    ①造設キット
    ②胃瘻カテーテル

    6章 内視鏡・処置具の洗浄と消毒
    ①内視鏡の洗浄・消毒
    ②自動洗浄・消毒機の種類
    ③処置具の洗浄・消毒

    執筆者一覧

    ■編集
    大圃研  NTT東日本関東病院内視鏡部部長

    ■執筆
    佐藤貴幸 士別市立病院内視鏡センター内視鏡技術科長
    志賀拓也 NTT東日本関東病院内視鏡部

    ■編集協力
    港洋平  Karolinska Institutet, Department of Clinical Sciences,Danderyd Hospital, Division of Surgery

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