子どものこころの医学

    定価 3,960円(本体 3,600円+税10%)
    編著中村和彦
    弘前大学大学院医学研究科教授
    A5判・277頁
    ISBN978-4-7653-1609-5
    2014年07月 刊行
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    語らない子どもたち、こころを閉ざす子どもたちをいかに理解して支援するか、その切り口が見える!

    内容紹介

    近年、子どものこころの問題は、価値観が多様に広がり様々なところで取り上げられ、国民の関心は高いが、大人たちはその子どもたちを理解し難い現状に戸惑っている。本書は、医療、教育、福祉等の分野においてそれぞれの臨床現場で子どもと向き合うスペシャリストが、子どものこころに焦点を当て子どもたちの現状とその対応策を解説した。まずは子どもたちを知ってもらい、子どもに関する素朴な疑問に答え、対応・対処の仕方を解説する構成になっている。4部構成で1部では学校、社会、家庭での子どものこころ、2部では子どもの対応の仕方、3部でその予防と治療を記述、最後の4部では外国における取り組み(英国の例)も紹介した。親として子どもへの対応、学校へ行かなくなる子ども、いじめや体罰はどういうことか、子どもの自殺とは何か、子どもの虐待、落ち着かない子どもの対応、やせ症、うつ病、薬物療法、こころのケア、ペアレント・トレーニングや怒りのコントロールなど、わかりやすく解説している。執筆者の貴重な臨床経験から導き出された内容から、子どもたちのこころの問題解決の糸口が見えてくる。医療、教育、福祉に携わる専門家や、またその専門家をめざす人たちにお薦めする。

    序文

    目次

    Ⅰ 学校、社会、家庭でゆらぐ子どものこころ
    1 子どものこころ、こころの発達とは何か
    1.こころの発達
    2.こころの発達を考える際の視点
    3.子どものこころの特徴
    4.こころの発達:特に自己の組織化に向けて
    2 親は子どものこころにどのように対応していけばよいのか
    はじめに
    1.小さな子どもに必要なもの
    2.両親の育った環境
    3.親になること
    4.「基本的な安心感」とは
    5.「安全基地」としての親
    6.無条件の愛
    7.日本の母親はお節介?
    8.子どもが自発的に楽しむことを見つけるために
    おわりに
    3 学校に行かないとはどういうことなのか、どうすればよいのか
    はじめに
    1.不登校を巡る現状
    2.不登校が起こりやすい環境
    3.予防的支援
    4.すべての子どもを対象にした支援
    4 いじめにどのように対応していけばよいのか
    1.わが国のいじめを巡る実情
    2.いじめに関する研究
    3.学校安全調査
    4.まとめ―いじめにどのように対応していけばよいのか―
    5 体罰についてどのように対応したらよいのか
    はじめに
    1.体罰に関する実態調査
    2.教育と体罰
    3.部活動と体罰
    4.指導手段としての体罰
    6 子どもの自殺は防げるか
    はじめに
    1.子ども自殺の統計
    2.子どもの自殺とはどのようなものか
    3.事例特性から見た自殺の類型化
    4.子どもの自傷行為と自殺の関係
    5.いじめと自殺
    6.子どもの自殺は予見できるのか
    7.改めて子どもの自殺を防ぐ対策とは何か
    7 子どもが自殺で亡くなった場合にどう対応すればよいのか
    はじめに
    1.遺された人たちに生じる心理反応
    2.子どもを亡くした遺族のサポート
    3.遺された子どもたちのこころを守る
    4.学校の対応
    おわりに
    8 福祉機関はどこまで子どものこころに対応できるか
    1.福祉機関にはどんなものがあるか
    2.児童相談所はどんなことができるか
    3.児童発達支援センター(特に従来型の医療センター)
    4.児童相談所との連携
    Ⅱ 子どもへの対応をどうすればよいのか
    9 折れた子どものこころとはどのようになっているのか―児童虐待による脳の変化―
    はじめに
    1.性的虐待による視覚野の形態的変化
    2.暴言虐待による聴覚野の形態的変化
    3.厳格体罰による前頭前野の形態的変
    4.両親間のDV 曝露による視覚野への影響
    5.児童虐待ストレスと感受性期
    6.虐待の連鎖と医学的根拠
    7.「生態的表現型」という疾患概念
    10 子ども虐待とは何か、どのように対応していけばよいのか
    はじめに
    1.虐待がもたらす影響とその特徴
    2.対応
    11 落ち着かない子どもたちへの対応はどうすればよいのか
    はじめに
    1.診断・評価
    2.自閉スペクトラム症との関係
    3.児童虐待および反応性愛着障害との併存・鑑別
    4.破壊的行動障害との併存・鑑別
    5.気分障害との併存・鑑別
    6.治療・支援
    おわりに
    12 自閉症スペクトラムについては何がわかってきたのか
    1.自閉症スペクトラムの診断について
    2.自閉症スペクトラムの最新の研究
    13 子どものやせ症についてどのように対応していけばよいのか―
    はじめに
    1.摂食障害、神経性無食欲症とは
    2.神経性無食欲症に特徴的な精神症状
    3.神経性無食欲症に特徴的な身体症状
    4.子どもの神経性無食欲症の特徴
    5.神経性無食欲症の治療
    6.神経性無食欲症の子どもの気持ちの変化
    7.周りの人々の対応について
    8.家族の対応について
    14 子どものうつにはどのように対応したらよいのか
    1.子どものうつとはどのような状態か
    2.うつ病はどんな病気か
    3.子どものうつ病はどんな特徴があるのか
    4.子どものうつ病にはどのように対応したらよいか
    5.子どものうつ病に対する薬物療法はどのように行うか
    6.子どもの双極性障害とはどのようなものか
    15 青少年の薬物問題について
    はじめに
    1.青少年の薬物汚染の実態
    2.脱法ドラッグによる青少年の汚染
    3.注意欠如・多動性障害と薬物依存の関連
    おわりに
    Ⅲ 予防、治療に向けて
    16 子どものこころは生まれてからどのように遅れを示すか
    はじめに
    1.正常な発達と発達の遅れとは
    2.出生コホート研究からうかがえるASD 児の発達の軌跡
    3.こころの発達にかかる予防と治療
    おわりに
    17 子どものこころのひずみはどのようにあらわれてくるのか
    はじめに
    1.乳幼児によくみられる精神障害
    2.児童期によくみられる精神障害
    3.思春期によくみられる精神障害
    おわりに
    18 薬物療法
    1.薬物療法とは
    2.子どもの精神病に対する薬物療法
    3.子どものうつ病
    4.子どもの双極性障害
    5.子どもの不安障害
    6.ADHD
    7.広汎性発達障害の薬物療法
    19 子どものこころをどのようにケアすればよいのか
    ―子どもの認知行動療法―
    1.子どもの心理療法について
    2.認知行動療法について
    3.CBT を子どもに適用する際の工夫
    4.養育者への介入
    おわりに
    20 子どものこころへの対応―ペアレント・トレーニング―
    1.ペアレント・トレーニングとは
    2.ペアレント・トレーニングの歴史
    3.発達障害児の保護者を対象としたペアレント・トレーニングのプログラム概要
    4.ペアレント・トレーニング実施者として注意するべきこと
    5.自閉症スペクトラム障害を対象としたペアレント・トレーニング
    おわりに
    21 子どもの怒りのコントロールをどうするか
    1.怒りとは
    2.認知行動療法による怒りのコントロール
    3.怒りのコントロールプログラムの実践例
    4.怒りと上手につき合っていこう
    VI 英国での対応
    22 イギリスにおける児童精神科医療について
    はじめに
    1.CHAMS の4層構造(The four-tier structure)
    2.Tier3 LYPS での治療の流れ
    3.イギリスCHAMS の最近の現状について
    おわりに
    *記事一覧(コラム、トピックス、サイドメモ)
    Topics 映し返し機能
    Column 「愛された記憶」の大切さ
    Column いじめ予防プログラムの実際
    Column いじめを防止するヒント
    Column 二次被害
    Side Memo  サバイバーズ・ギルト(Survivor’s guilt)
    Side Memo  連携の成功事例
    Column 摂食障害の世界の動向
    Column Autism Spectrum Disorders(ASD)
    Topics 早期発見・早期介入の威力
    Column ペアレンティング
    Column どうして怒ってしまうのだろう?
    Column 多文化の中で学ぶ児童精神医学

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