症例4:喘息によるモノフォニック・ウィーズ

患者:58歳 男性

喘息で吸入ステロイドで治療中、感冒をきっかけに悪化し喘鳴も出現したが、息切れは余り強くなかったため、数日後の定期受診の予約日まで待っていました。発熱はなく、夜間も余り問題なく眠れるそうです。

聴診では吸気に短いウィーズ、呼気にはモノフォニック・ウィーズを聴取します。左肺底部で記録した肺音図 を示します。少し息苦しさもあるのでβ2刺激薬を吸入させたところウィーズは消失しました。β2刺激薬は気管支平滑筋を広げるだけでなく、気管支粘膜の繊毛運動を活発化させて去痰にも有効です。

聴診部位

背側左肺底部(聴診部位⑭)

上の段には9秒の肺音記録、下の段の黄色い曲線は換気曲線です。上向きが吸気、下向きが呼気になります。吸気に短い0.5秒ほどのショート・ウィーズ(最初の吸気は200~180Hz、2番目の吸気は250~200Hz前後なので低調ウィーズですが、ロンカイと呼んでもよい)、呼気には持続の長い500Hz弱から260Hzに下がっていくモノフォニック・ウィーズを認めます。