症例3:珪肺結節による圧迫

患者:70代 男性

自営で砥の粉(とのこ)の製造から販売までしていた職人気質の方です。仕事にならないと言って(最後は息切れが強いこともあり)マスクは使用していませんでした。じん肺として近医で治療されていましたが感冒をきっかけに急速に悪化し、救急車で搬入されました。急性呼吸不全としてすぐに挿管、人工呼吸されましたが、さらに肺炎、敗血症性ショックを合併し、数日後に気管切開を受けて当科に転科しました。胸部X線では両肺門外側に珪肺結節の大陰影を認めます。

聴診部位

肺音リスト

横軸は約30秒の経過です。上段は右前胸部の肺音で750~800Hzにピークを持つモノフォニック・ウィーズであることが分かります(図の右端、縦軸の650と1300はHzを示します)。下段は左前胸部の肺音で、よく見ると右側と同じ周波数と形状のウィーズが淡く描出されています。右側を音源とするウィーズが左にも伝播したことが分かります。